【東京学芸大学附属幼稚園】竹早vs小金井|選考の順番が逆の2園舎を解説
東京学芸大学附属幼稚園の竹早園舎と小金井園舎。この2つは、別々の幼稚園ではありません。どちらも「東京学芸大学附属幼稚園」という一つの園の園舎で、明治時代に生まれた一つの園が、大学の小金井統合のときに分かれました。
ところが、入り方は逆です。小金井園舎は先に抽選があり、それを通った方が面接と観察に進みます。竹早園舎は先に発育総合調査があり、その通過者が抽選に進みます。運を先に引くか、後に引くか、順番が逆になっています。さらに、片方は説明会に参加していないと出願できず、もう片方は説明会も公開行事もありません。この記事では、公式に公表されている情報と、これまでの出題傾向をもとに、2園舎の違いと求める家庭像を整理します。募集人数や日程は毎年変わりますので、最新は募集要項でご確認ください。
動画でも解説しています。
押さえておきたい基本の違い
小金井園舎は3年保育で、3歳児から入ります。園全体で6学級150名、募集はおよそ50名です。竹早園舎は2年保育のみで、公式に「※本園は3年保育を行っておりません。」と明記されています。4歳児から入り、募集は男児15名、女児15名。園全体で2学級60名です。
この2園舎は、同じ年に並べて受けられる園ではありません。3歳児で小金井園舎、ご縁がなければ翌年に竹早園舎。この順番なら、両方に挑戦できます。
なお、公式の表記にも違いがあります。竹早園舎は「第一次選抜」「第二次選抜」、小金井園舎は「第1次検定」「第2次検定」です。
押さえておきたい3つの違い
1つ目は、選考の順番
小金井園舎は二段構えで、公式の呼び方は「検定」です。第1次検定が抽選で、来園するのは保護者の方お一人です。第2次検定が「面接・観察」で、出願されたお子様と保護者の方お一人が、午前中1時間程度で受けます。出願された方は、全員が両方を受けます。
竹早園舎も二段構えですが、公式の呼び方は「選抜」です。第一次選抜が発育総合調査、つまり考査で、出願された方は全員これを受けられます。そして第二次選抜が抽選です。竹早園舎は応募者数も公表しています。男女それぞれ190名前後の応募から、第一次選抜の通過が20名前後。そこから抽選で15名です。小金井園舎は、応募者数の公表を確認できませんでした。
準備した力を見ていただく場に、まず立てるかどうか。ここが大きな違いです。
2つ目は、園に触れる機会
小金井園舎には説明会があり、年に6回です。内容は園の使命と教育方針、入園について、保育と施設の見学です。応募資格には「出願幼児の保護者が、幼稚園説明会に参加済みであること」と書かれていて、説明会への参加が応募資格そのものです。さらに、申し込み不要の未就園児の園庭開放もあり、電話での問い合わせも受け付けています。
竹早園舎は、「本園では、入園に関する説明会は開いておりません。また、特別に公開するような行事などもありません。」とされています。さらに「公平、公正を期すため、また、園児の保育活動に支障が生じるため、電話やメール等での個別のお問い合わせ、ご相談は一切お断りしております。」とも書かれています。竹早園舎は、公式サイトと募集要項がすべてです。
3つ目は、通園の条件
ここは、受けられるかどうかが決まるところです。竹早園舎は、東京都23区内で、なおかつ自宅から園まで、お子様が徒歩または公共の交通機関を使って35分程度で通園できる範囲に、保護者の方とともに住んでいることが条件です。受験のための一時的な住所の変更、いわゆる寄留は認められません。
小金井園舎は、行政区の指定がありません。代わりに、住民票のある自宅から園までの通園時間が、徒歩、公共交通機関、自転車で1時間程度の範囲であることが条件で、車の利用は不可です。自転車が認められている点が違い、多摩地区にお住まいでも対象になり得ます。
もう一つ、公式の説明資料には「全学年、保護者(またはそれに代わる方)と通園します。」と書かれています。なお、どちらの園舎も預かり保育はありません。昼食はお弁当で、水曜日は半日保育です。
| 項目 | 竹早園舎 | 小金井園舎 |
|---|---|---|
| 保育年数 | 2年保育のみ(4歳児から) | 3年保育(3歳児から) |
| 募集 | 男児15名、女児15名 | およそ50名 |
| 選考の順番 | 発育総合調査、その後に抽選 | 抽選、その後に面接・観察 |
| 説明会 | 開催なし | 年に6回(参加が応募資格) |
| 通園条件 | 23区内、徒歩または公共交通機関で35分程度 | 徒歩・公共交通機関・自転車で1時間程度(車は不可) |
| 預かり保育 | なし | なし |
考査で見られるものの違い(先に結論)
竹早園舎は、親御様から離れて集団で過ごすお子様の姿と、親子で一緒に考える過程が見られます。小金井園舎は、考査の詳しい内容が公表されていません。その代わり、園の使命を理解して応募しているかが、出願の段階から問われます。問われるタイミングが違う2園舎だとお考えください。
竹早園舎の求める家庭像
1つ目は、研究と実習、そしてボランティアに協力できるご家庭
竹早園舎も、大学の附属として研究と教育実習の使命を持っています。面接では、これまでこうした趣旨のことが聞かれています。
- 本園の概要は読んだか
- 教育実習や研究活動が多い園だが、理解しているか
- ボランティア活動に協力できるか
説明会も個別相談もない園だからこそ、「概要はお読みになりましたか」という質問が重みを持ちます。ご夫婦それぞれが公式サイトを読んで、印象に残った一文を持ち寄ってみてください。その話し合いが、そのまま面接の準備になります。
2つ目は、遊びを通した学びと、自主性を尊重するご家庭
竹早園舎の公式サイトには、「遊び・環境を通した総合的な学びを保障する教育を行っています」と書かれています。掲げているのは「明るく元気に取り組む」「よく考え工夫して遊ぶ」「自分も友達も大切にする」の3つです。面接では、自主性を重んじるのが本園の方針だが、どのように考えるか、という趣旨のことが聞かれています。
これは答えを合わせにいく質問ではなく、ご家庭が「教え込む」より「待つ」を選べるかを確かめる質問だと考えられます。一日10分でいいので、お子様が何をするか決める時間を作り、大人は声をかけず見ているだけにしてみてください。
3つ目は、しつけの方針を具体的なエピソードで語れるご家庭
竹早園舎では、お子様の考査中に親御様がアンケートを記入する形がとられてきました。これまでの項目はとても踏み込んでいて、与えたくないおもちゃやお菓子をお子様が欲しがったときにどうするか、そしてそれにかかわる最近のエピソードを書きます。さらに面接では「そのように対処されたのはどうしてですか」と理由を聞かれます。
実際に受験されたお母様からは、「アンケートの所要時間は15分で、筆記具はボールペンが用意されていました。書き損じによる用紙の交換はできないとのことだったので、急ぎつつも丁寧に書くよう心掛けました」というお話を伺っています。ご夫婦で「うちはこうしている」を、実際にあった出来事とセットで3つほど書き出しておくと、当日の15分がぐっと楽になります。
4つ目は、親御様から離れて動けるように支えているご家庭
竹早園舎の第一次選抜は、これまで竹早小学校の校舎で行われてきました。お子様は15人から17人ほどの単位で調査室に入り、集団での活動を受けます。所要時間は1時間ほどと伺っています。
実際に受験されたお母様からは、「発育総合調査の誘導時に泣いてしまった子は、落ち着くまで待機していました。調査中に泣いてしまった子は、親が呼ばれてつき添っていたようでした。母子分離できるように準備することが大切だと思いました」というお話を伺っています。また、「第一次選抜の誘導係は竹早小学校の6年生でした。トイレのお世話をすることもあるので、子どもが申し出られるようにしておいてほしい旨、事前に案内がありました」というお話もあります。
誘導するのは先生ではなく、小学生のお兄さん・お姉さんです。こうした運用から、知らない相手にも自分の困りごとを言葉にできるかが大切だと考えられます。「トイレに行きたい」を、ご家族以外の大人にも言えるか、確かめてあげてください。竹早園舎の面接については、こちらの記事でも解説しています。【東京学芸大学附属幼稚園竹早園舎】面接で聞かれることは?質問例とアンケートをプロが解説/【東京学芸大学附属幼稚園竹早園舎】考査・過去問は?発育総合調査の内容と対策をプロが解説
小金井園舎の求める家庭像
1つ目は、説明会に足を運び、園の使命を自分の目で確かめるご家庭
小金井園舎は、説明会に参加していないと出願できません。そこで語られるのが園の使命です。募集要項の冒頭には、本園は幼稚園教育を行うほか、教育実習、教育研究及び教員研修、社会貢献を行う使命を持っている、と書かれています。そのうえで「この趣旨を十分に理解し」応募してください、と続きます。出願の入り口に、この一文が置かれています。
説明会では撮影も録音もできませんので、その場でメモを残すしかありません。行く前に聞きたいことを3つ書き出していくと安心です。個別相談も受け付けている園ですので、直接伺える機会を活かしてください。
2つ目は、研究と教育実習の場であることを、具体的に受け入れられるご家庭
小金井園舎の説明資料には、「教育実習(教員養成)の一環として、年間を通して学生が観察や手伝いに来園したり、幼稚園として学生への研究協力もします。」と書かれています。さらに「教育研究・教員研修、社会貢献の一環として、教員が研修会の講師となったり、子どもたちの様子が書籍等に掲載されたりします。」ともあります。お子様の様子が書籍などに掲載されることがある、と入園前に園が自ら伝えています。
こうした書きぶりから、求められているのはなんとなくの了承ではないと考えられます。学生さんが保育に入ること、研究の対象になることを前向きに受け止められるかを、ご家庭の言葉で語れるようにしておきましょう。「うちの子が研究に協力するとしたら、どんな良さがあるか」をご夫婦で話してみると、志望動機の芯が変わります。
3つ目は、園に入っていく関わりを、3年間続けられるご家庭
まず、通園そのものが保護者同伴で、それが3年間続きます。園に入ってからも、関わる機会が多くあります。保育参観が平均で月2回、子育て相談が平均で月2回、個人面談が随時、保護者会が年5回です。学年ごとに保護者の保育参加も組まれていて、「「お母さん先生」「お父さん先生」等、保護者が日常の保育に関わる機会もあります。」と書かれています。年長は、大学の農場で田植えと稲刈りもします。
国立ですので、費用の負担は私立に比べて軽くなります。ただ、その軽さの裏側に、これだけの時間と関わりがあります。紙に一週間の予定を書き出して、送り迎えと保育参観、保護者会を置いてみてください。回るかどうかは、紙の上で確かめられます。
4つ目は、附属小学校への進学を前提にせずに志望されるご家庭
小金井園舎の説明資料には、「※卒園生は主に地域の公立小学校に就学します。本学附属小金井小学校への連絡進学システムはありません。」と書かれています。連絡進学はなく、主に地域の公立小学校に就学します、と園が自ら書いています。附属幼稚園に入れば附属小に上がれる、という前提は否定されています。
つまり志望する理由は、その先の進学ではなく、3年間そのものに置かれることになります。説明資料には「人と関わるからこそ、うまくいかないことや嫌な気持ち、それと同時に、人に認められる嬉しさや人を認める体験を大切にします。」ともあります。園が掲げる子ども像は、感動する子ども、考える子ども、行動する子どもの3つです。志望理由を書くときに、小学校の話を一度すべて外してみてください。その状態で書けたなら、その理由は園にまっすぐ届きます。小金井園舎の出願や考査については、こちらの記事も参考になります。【東京学芸大学附属幼稚園小金井園舎】出願はいつ?必要書類と窓口受付の流れをプロが解説
考査内容の違い
小金井園舎は、考査の詳しい内容が公表されていません。第2次検定にお子様が同席することは分かりますが、何名の先生が入るのか、何を聞かれるのか、観察でどんな課題が出るのかは公表されていません。つまり小金井園舎の対策は、考査の中身を当てにいくものにはならず、説明会に足を運び、園の使命を理解し、通園と保護者の関わりが現実に成り立つことを整理して、願書と面接で伝えることに重心が寄ります。
一方の竹早園舎は、これまでの出題が具体的に伝わっています。発育総合調査は1時間ほど。集団テストでは、お店屋さんごっこで途中に店員とお客さんが交代する、モグラに餌をあげるゲームをする、お医者さんごっこや歯医者さんごっこ、バスごっこをする、といった課題が出ています。カエル、ゴリラ、ヘビのまねをする身体表現や、ケンケンパーの運動もありました。
親子遊びも特徴的です。これまでの考査では、箱の中にコップ2個、紙製の立方体2個、ラップの芯2本、ガムテープの芯1個が用意され、「箱の中のものを好きに使って、できるだけ高く積んでください」と指示されました。もう一つは、先端に星がついた魔法のステッキと、ウサギ、ゴリラ、ゾウのイラストが用意され、ステッキを使って好きな動物に変身させる課題で、イラストの動物以外でもよいとされています。
正解のない課題です。竹早園舎が見ているのは、正しくできるかどうかではなく、親子でどう相談し、うまくいかなかったときにどうするかという過程だと考えられます。実際に受験されたお母様からは、「面接時の親子遊びは、親子のやり取りに対し面接官の先生が楽しそうに反応してくださるなど、和やかな雰囲気でした」というお話も伺っています。空き箱やラップの芯を並べて「これで何を作ろうか」と親子で相談する時間を持ってみてください。上手に作ることが目的ではなく、崩れたときに親御様がどんな言葉をかけるかが表れます。なお、考査の内容や時間は年度によって変わることがあります。
どちらに向いているか
選び方の視点を整理します。まず、住所とお子様の年齢です。竹早園舎は23区内で35分、しかも2年保育です。3歳児のうちに挑戦したい場合、選択肢は小金井園舎になります。
次に、ご家庭の時間の使い方です。小金井園舎は、3年間の付き添い通園、保育参観、保護者会、保育への参加と、園と密に関わる時間を持てるご家庭に向いています。竹早園舎は、入園前の距離が遠く、情報も限られています。公式サイトと募集要項を読み込み、園の考え方を組み立てられるご家庭に向いています。
そして、準備を見ていただけるかどうかです。竹早園舎は出願された方全員が調査を受けられますが、そのあとに抽選があります。小金井園舎は抽選を通らなければ面接と観察の場に立てませんが、通れば、そのあとに抽選はありません。
まとめ
竹早園舎は、説明会も公開行事もない中で、公式の文章だけを頼りに園を理解し、出願された全員が調査を受けて、最後に抽選を待つ園舎です。小金井園舎は、説明会に足を運ぶところから受験が始まり、抽選を通った方が面接と観察に進み、入園後は3年間、園と一緒に育てていく園舎です。
同じ「東京学芸大学附属幼稚園」でありながら、入り方の順番も、園との距離の取り方も違います。どちらが優れているかではなく、ご家庭がどちらの形に合うかで選んでいただきたい2園舎です。
「わが家に合った準備の進め方を知りたい」という方は、うみ塾長の個別相談や、家庭対策サポートをご活用ください。
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