国立小学校の多くはその志願者の多さから抽選で志願者を絞らざるを得ない状況にあり、筑波大学附属小学校も例外ではありません。
いったいどんな試験の流れで選考が進むのか?試験の内容はどんなものがあるのか?など知りたい方も多いと思います。
そこで今回は過去に行われた試験の流れや試験内容について解説していきます。
2027年度入試(2026年実施)の第一次選考のWeb出願は10月16日で締め切られました。これから受験を考えるご家庭は、最新の募集要項で日程と流れを確かめたうえで、準備を進めてみてください。
【筑波大学附属小学校】の試験の流れ
先ほども申し上げましたが、筑波大学附属小学校には多くの志願者が集まり、第一次選考では抽選が行われます。
2023年度入学者の一次抽選通過率は男子が40%、女子が47%でした。
2023年度入学者の出願者数は男子が2,048名、女子が1,781名でしたので、二次選考に進めた人数は男子が816名ほど、女子が837名ほどだった計算です。
ちなみに筆者が見聞きした範囲では、これまでの選考は生まれ月ごとに男女でグループ分けされてきました(公開されている令和9年度の募集概要には書かれていません)。過去の例では、4-7月生まれがAグループ、8-11月生まれがBグループ、12-3月生まれがCグループとなり、男女合わせて計6グループに分けられていました。
選考は各グループごとに実施されます。
二次選考ではペーパーや運動などの考査が行われ、その結果が発表されたあと、三次選考の抽選へ進みます。
そして三次選考で再び抽選が行われ、入学候補者が決まります。
最終的な倍率は年度によって変わり、公式には示されていません。公式で確認できるのは、2027年度入試(2026年実施)の募集人員が男女合わせて約128名(男女ほぼ同数)であることです。二次選考を通過しても三次選考の抽選で涙を飲む方もいるとても過酷な試験です。
【筑波大学附属小学校】の試験の内容
一次選考の抽選を通過したらいよいよ二次選考です。二次選考で行われる考査の内容を一つずつ解説していきます。
ペーパー
筑波大学附属小学校のペーパーでは、「お話の記憶」と「図形問題」が過去の出題例として多く見られます。
お話の記憶はかなりのボリュームがあり、5分以上のお話を記憶して回答しないといけません。
図形問題ではありとあらゆる図形問題が出る可能性があるので、満遍なく対策をする必要があります。
図形問題は回答時間も短く効率と工夫が必要な問題のため難しいと言われています。
運動
筑波大学附属小学校の運動では、「クマ歩き」が過去の出題例としてよく見られます。
クマ歩きは教室で実施されます。
コの字型のコースをいかに早くゴールできるかを見られます。
実際に試験を受けた子どもたちが「床が滑りやすかった」と言っていますので、身体を支える手の力も必要になります。
クマ歩きはスピードも大事ですが、転んでも諦めずにゴールする気持ちも見られているので根気強くやり切ることが大事です。
工作
工作は作品作りです。
はじめに材料が配られ、その後、モニターにやり方の手順が映されます。
この映像を見ながらやり方の手順を覚える必要があるので、記憶力も大事です。
工程数は5-6で、道具を使わないのが特徴です。
作業としては、紙をちぎったり折ったり、紐を結んだりのりで貼ったりします。
制作時間はとても短く全体の中で数名が完成したら終了するため、ほとんどの受験者は未完成のまま終わります。
集団行動
集団行動は1チーム5人で行います。
課題の多くは廃材を利用した競争です。過去の例を挙げると、紙コップを使って他のチームより高く積み上げるというものです。
チーム内で協力し合って作業を行う必要がありますが、全員が紙コップを積む役をやっていては効率が悪く、積み上げる役や紙コップを渡す役などをみんなで話し合って決めて、取り組むことが大事です。
口頭試問
口頭試問も4-5人のグループで行われます。
質問自体は、名前を答える、朝ごはんに何を食べてきたかを答えるといった、身近で答えやすい内容です。
質問者の目を見てはっきりと大きな声で答えることが出来れば問題ありません。他の受験者が質問を受けている間も黙って耳を傾けるようにアドバイスしてください。
【筑波大学附属小学校】検査で出ている課題の中身
ここでは、二次選考の検査でどんな中身の課題が出ているのかを、分野ごとにもう少し細かく見ておきます。問題文そのものではなく、何を答えさせる課題なのかをつかんでください。
お話の記憶は、5分を超えることもある長いお話を耳だけで聞き取り、そのあとに、誰が出てきたか、どんな順番で何が起きたか、いくつあったか、何色だったかといった細かいところまで答えていく形です。登場するものが多く、場面も次々に移りますので、話の筋を頭の中で絵にしながら聞く習慣が要ります。
図形は、見本の形を回すとどう見えるかを答える、2枚を重ねるとどうなるかを答える、折った紙を開いたらどんな形になるかを答える、いくつかの形に分けたときの組み合わせを答えるなど、頭の中で形を動かす課題が幅広く出ます。一問あたりに使える時間が短いため、解き方の型が身についているかどうかで差がつきます。
工作は、先に材料が配られ、そのあとモニターに映された手順を見ながら進める形です。手順は5工程から6工程あり、道具を使わずに、紙をちぎる、折る、ひもを結ぶ、のりで貼るといった作業を組み合わせます。映像を見ながら進める形ですので、見た順番を覚えておく力も一緒に問われる課題です。
集団行動は5人ほどのチームで行われ、廃材を使った競争が中心です。過去には、紙コップをほかのチームより高く積み上げる課題が出されました。全員が同じ役をやっていては間に合いませんので、積む役と手渡す役を相談して決められるかどうかが見どころになります。ほかに、画用紙に自由に絵を描く課題が行われた年もあり、競争だけでなく、道具の使い方や片づけまで含めて見られています。
口頭試問も4人から5人のグループで行われ、名前や朝ごはんといった身近なことを尋ねられます。答えの内容そのものより、相手の目を見て、はっきりした声で言えるかどうかが見られる場面です。コの字型に並べた椅子に座り、先生が一人ずつ順に声をかけていく形で、通っている園の名前、園の昼ごはんが給食かお弁当か、今日どうやってここまで来たか、だれと一緒に来たか、といったことが尋ねられています。
当日の進み方についても触れておきます。検査はおよそ30名の小グループごとに行われ、受験されたご家庭の話では、口頭試問、ペーパー、工作、そして運動と集団行動(グループを半分に分けて交互に実施)という順番で、全体は60分から80分ほどとのことです。筆者が見聞きした範囲では、運動・集団行動・口頭試問の中身は年度による大きな違いが少なく、難しいものではありませんが、終わったあとは静かに体育座りで待つといった細かな指示まで出され、それを守れるかどうかも見られているようです。
筆者が見聞きした範囲では、保護者の作文は考査日に400字程度を25分ほどで書く形で、メモの持ち込みはできなかったとのことです。当日に見た映像と校長先生の話をふまえ、日々の学校生活での学び、学校行事での学び、その両方を支える保護者のサポート、PTAの役員についての考え、という決められた要素をすべて盛り込んで書くよう指示された年があります。要素が示されたら、その数だけ短い段落を立てて順番に埋めると、時間内にまとまります。
【筑波大学附属小学校】答え方の形まで知っておきたいペーパーの特徴
筑波大学附属小学校のペーパーは、出る分野を知っているだけでは足りません。答え方そのものに種類が多く、ここでつまずくお子さまが少なくないからです。年度をまたいで見えてくる形を、家庭学習に落とし込める形で整理します。
お話の記憶は「三話連続」と「行のしるし」に慣れる
過去の出題例では、お話の記憶で三つのお話が続けて読まれる形が見られます。一つのお話に登場するのは四人から六人ほどで、服や持ち物の色、買った数、乗り物に乗った順番、その日の天気や季節、途中で変わる気持ちが細かく織り込まれています。設問は一話につき八問から十二問。答える行は、行の頭についた果物や野菜、乗り物などの小さな絵で指定されますので、先生の言う絵を探して正しい行に印をつける動きが前提になります。ここが追いつかないと、覚えていたのに違う行に書いてしまうという、いちばん悔しい失点が起きます。
答え方も一種類ではありません。
- 絵に○をつける形
- 登場した色と同じ色のクーピーペンで○の中を塗る形
- 数だけ○を囲む形
- 一つめの答えを赤、二つめを青で塗り分ける形(きのうときょう、行きと帰り、一回目と二回目など)
- 一回目は○、二回目は△と印の種類を変える形
- 誰がどれを選んだかを線で結ぶ形(2024年度)
- お話と同じ季節の絵、あるいは違う季節の絵をすべて選ぶ形
- 登場人物の気持ちに合う顔の絵を選ぶ形
家庭では、読み聞かせのあとに口で答えさせるだけでなく、色鉛筆を何色か用意して、赤で○、青で○、その数だけ○を囲む、といった指示で答えさせる練習を挟むと、当日の動きにそのままつながります。
図形は「同じ約束を十回二十回」の反復形式
図形の問題は、一題のなかに同じ約束で解く小問が十個から二十個並びます。矢印の向きに一回倒す、パタンと裏返す、二枚を重ねて重ならない○を探す、○と●を矢印どおり・矢印と反対に一マスずつ動かす、点線で半分に切る、輪のビーズをどこかで切って伸ばす、重ねた箱を横から見る。いずれも最初に先生が練習問題で約束を説明し、あとは同じ手順を繰り返す形です。約束を一度で理解できれば手が止まらず進みますが、途中で迷うとその題がまるごと空欄になります。難しい一題を解き切る練習より、易しい約束を速く、ていねいに、最後まで続ける練習のほうが、この学校では得点になります。
制作は男女別・グループ別、材料はほぼ固定
制作は男子と女子で課題が分かれ、同じ年度でもグループごとに別の作品が用意されます。動物や虫、楽器、乗り物、季節の飾り、人形など題材はさまざまですが、材料は画用紙・ちぎり用の紙・折り紙・シール・紐を土台に、年によって紙帯やモール、紙コップ、ビニール袋、コーヒーフィルター、粘土、割り箸などが加わる形で、大きくは変わりません。作業も、ちぎる・折る・貼る・塗る・結ぶ・紐を通す・丸める・留めるの組み合わせです。題材を当てようとするより、この材料と作業の組み合わせを、見本を見ながら手順どおりに進める練習を重ねるほうが確実です。2024年度には、作品ができあがったあと膝の上で手を二回叩いて、手を膝に置いて待つという指示まで含まれた課題もありました。作り終えたあとの姿まで課題の一部と考えておくと安心です。
【筑波大学附属小学校】家庭でできる確認(筆者の教材より)
筑波大学附属小学校の検査は、記事で見てきたとおりペーパー、運動(クマ歩き)、工作、集団行動、口頭試問で構成されています。筆者の教材『受験対策チェックリスト』(6分野)から、関わりの深い4分野を選びました。できていないから受験をあきらめるためのものではなく、今の力と、これから身につける力を見分けるためのものです。
ペーパー
- 長めのお話を聞いて、内容や登場人物を覚えていられる
- 問題のきまりを理解し、同じ約束を最後まで続けられる
- 数の多少や、物の数え方(個・匹・枚・冊など)がわかる
- 絵や写真を30秒ほど見て記憶できる
運動
- 先生の説明を静かに聞き、他のお子さまの番も正しい姿勢で待てる
- きれいな姿勢でクマ歩きができる
- 失敗してもめげずに楽しく取り組める
- スキップ・ケンケンなど、基本の動きができる
巧緻性・工作
- はさみ・のりを正しく使え、道具をていねいに扱える
- 固結び・蝶々結びができる
- 塗り込みや貼り付けを最後までていねいに仕上げられる
- ゴミを一か所に集めるなど、作業中のマナーが身についている
行動観察(集団行動・口頭試問)
- 順番を守り、静かに待てる
- 指示どおりに行動できる
- 周りのお子さまに配慮しながら、チームで取り組める
- 名前や朝ごはんなど身近な質問に、相手の目を見て自分の言葉で答えられる
記事でも、プリントの反復だけでなく手や体を動かす時間を家庭で確保することをおすすめしました。できている項目から数を増やし、工作はお手伝いの中で、運動は公園や廊下でのクマ歩きで、というように毎日の生活に組み込んでいきましょう。
ご家庭に合わせた進め方を一緒に組み立てたい方は、家庭学習サポートもご覧ください。
【筑波大学附属小学校】2027年度入試(2026年実施)の日程と選考の流れ
筑波大学附属小学校の公式サイトでは、2026年9月1日に「令和9年度 入学児童募集」の概要が公開されています。ここでは公式に書かれている範囲で、日程と選考の流れをまとめます。
募集人員は第1学年の男女合わせて約128名(男女ほぼ同数)です。志願できるのは2020年(令和2年)4月2日から2021年(令和3年)4月1日までに生まれたお子さまで、出願日の時点で東京都23区・西東京市・埼玉県和光市のいずれかに保護者と同居していることが条件です。受験のための一時的な住所変更は認められていません。
募集要項は2026年10月5日(月)から10月16日(金)まで出願サイトで頒布され(1部2,000円)、第一次選考のWeb出願は10月13日(火)から10月16日(金)まででした。
これからの日程は、第一次選考受験票の印刷が11月5日(木)から10日(火)、第一次選考(抽選)が11月7日(土)、第二次選考の受付(持参)が11月19日(木)、日程表の配付が11月26日(木)の予定です。第二次選考(検査)は12月13日(日)から15日(火)、その発表が12月16日(水)、第三次選考(抽選)が12月17日(木)、入学候補者の発表が12月18日(金)と案内されています。
検査の中身や保護者に関する事項は、公開されている概要には書かれていません。入学試験についての電話での問い合わせは受け付けていないこと、感染症対策などで内容が変わる場合は学校のWebサイトで知らせることも書かれています。
詳しくは筑波大学附属小学校「令和9年度 入学児童募集について」をご覧ください。最新は募集要項でご確認ください。
【筑波大学附属小学校】試験内容をプロが解説まとめ
筆者が見聞きした範囲では、お子さまの考査中に、お父様・お母様へのアンケートが行われた年があります。
保護者アンケートは2022年度入学者試験と2023年度入学者試験では同じ内容が課題として出されています。
過去に出された課題に対しては答えられるようにしておきましょう。
筑波大学附属小学校はペーパー、運動、工作などすべての項目で高いレベルが求められます。
最初からすべてをこなせる子供はいませんからまずは出来ることから確実に出来るようにしていきましょう。
国立小学校は私立小学校に比べて志願者が多い分「何の対策もしていないのでは?」と思われる受験者がいるのも事実です。
しかしそういったお子さんは残念ながら選考で振るい落とされます。
国立小学校も私立小学校も結局合格する子は同じです。
国立小学校はゆるそうだからと決して楽観的にとらえずに万全の対策をして挑みましょう。
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【筑波大学附属小学校】2回の抽選を含む三段階選考の全体像
試験内容を考えるうえで、いちばん先に押さえておきたいのが選考の構造です。筑波大学附属小学校は、検査だけで合否が決まる学校ではありません。学校概要のページには、児童募集要項に定める地域に居住する志望者の中から、抽選および検査によって選抜されると書かれています。
令和9年度(2027年度入試・2026年実施)の入学児童募集では、第一次選考が11月7日(土)の抽選、第二次選考が12月13日から15日にかけての検査、そして第三次選考が12月17日(木)の抽選の予定と案内されています。つまり検査は、2回の抽選にはさまれた真ん中の段階にあたります。
この構造には、ご家庭にとって二つの意味があります。ひとつは、第一次選考の抽選を通らなければ、どれだけ準備を重ねていても検査を受ける機会そのものが得られないということ。もうひとつは、検査で力を発揮できたとしても、その先にもう一度抽選が控えているということです。
ここを冷たく感じる必要はありません。抽選は、努力の量に関わらず全員に同じ確率で働くものです。ご家庭にできるのは、検査という自分たちで動かせる部分に集中し、結果については「やれることはやった」と胸を張れる状態をつくっておくこと。お子さまの前で抽選の結果を嘆きすぎないことも、実はとても大切な準備のひとつです。
なお、検査は3日間にわたって行われ、個別の日程は第二次選考の出願後に配付される日程表で知らされる形です。令和9年度は、第二次選考の受付(持参)が11月19日(木)、日程表の配付が11月26日(木)の予定です。何日の何時に受けるのかは事前に選べませんので、3日間とも予定を空けておくつもりで動くと安心です。
【筑波大学附属小学校】学校が公表している教育から見られる力を読む
出題の細かい傾向は年度で動きますが、学校が何を大切にしているかは公式サイトに書かれています。ここを読んでおくと、対策の方向がぶれにくくなります。
教育目標として掲げられているのは、人間としての自覚を深めていく子ども、文化を継承し創造し開発する子ども、国民としての自覚をもつ子ども、健康で活動力のある子どもの4つです。「健康で活動力のある」が正面から掲げられている点は、運動や制作といった体を使う課題が置かれることと自然につながります。
教科のページも手がかりになります。体育科は、登山・遠泳・組み立て運動という「三つの山」と深く関わる教科として紹介されています。理科は「実際に育ててみる、直接触れてみる、自ら試してみる」ことを基本方針に掲げ、図画工作科は感じて考え、表現する活動を通じて感性と創造力を育むとされています。国語科では1万冊を超える蔵書のある図書室が紹介されています。
言葉を替えれば、この学校が求めているのは、机の上で正解を覚えた子どもというより、自分の手と体で試してみる子どもです。ご家庭での準備も、プリントの反復だけに寄せず、折る・切る・貼る・結ぶといった手を動かす時間や、外で思い切り体を動かす時間を意識して残しておきたいところです。
もうひとつ知っておきたいのが学級編成です。各学年は第1部から第4部までの4学級に分かれ、能力や年齢などの面で4クラスとも等質になるよう編成されると案内されています。入学後にどのクラスに入っても同じ条件で学べる設計になっている、ということですね。
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