小学校受験の面接では、志望動機が必ず問われると聞きました。
どう組み立てれば伝わるのか、考えるほどわからなくなってしまって。
志望動機は、ほとんどの学校の面接で扱われるテーマです。ただし、学校が確かめたいのは、うまい言い回しではありません。
見られているのは、その学校を選んだ理由がご家庭の子育てと地続きになっているかどうか、この一点です。どこの学校にも当てはまる文章では、どれだけ整っていても届きません。
大切なのは、以下の3点です。
・他校にも当てはまる一般論で終わらせないこと
・学校の方針とご家庭の子育てを、ひとつの場面でつなぐこと
・願書に書いた内容と、話す内容をそろえておくこと
小学校受験の個別相談、家庭学習サポート、願書作成、面接対策を行う筆者が詳しく解説していきます。
面接を控えている方は、ぜひ参考にしてくださいね!
【小学校受験の面接】志望動機が必ず問われる理由
まず押さえておきたいのは、学校がここで測っているのは熱意の大きさではない、ということです。「どうしても入りたい」という気持ちの強さを競う場ではありません。
確かめられているのは、3つです。ひとつめは、学校をどれだけ知っているか。パンフレットに書かれている言葉ではなく、実際に足を運んで自分の目で見たことがあるかどうかが、話し方に出ます。
ふたつめは、学校の方針とご家庭の考えが重なっているか。私立小学校は6年間、ご家庭と一緒にお子さまを育てていく場所です。方向が違えば、入学後にお互いが苦しくなります。学校はそれを避けたいのです。
みっつめは、ご夫婦の考えがそろっているか。志望動機は、お父様とお母様の答えがいちばんずれやすいテーマでもあります。どちらも間違っていないのに重点が違うだけで、聞き手には「まだ家庭の中で共有されていない」と映ってしまいます。
よっつめとして、もうひとつ挙げておきたいことがあります。それは、入学後の姿を現実的に描けているかどうかです。通学の経路、放課後の過ごし方、行事への関わり方。志望動機そのものを聞かれる場面で細かく語る必要はありませんが、頭の中で描けているご家庭とそうでないご家庭とでは、言葉の落ち着きが違ってきます。夢の話だけで終わらせないことが、志望動機に厚みを生みます。
【小学校受験の面接】志望動機はどんな形で問われるか
志望動機は、いつも同じ形で問われるわけではありません。まっすぐ理由を尋ねられることもあれば、別の角度から遠回しに確かめられることもあります。次にあげるものはいずれも志望動機に関わる問いですので、答えがぶれないように準備しておく必要があります。
保護者に向けては、まず、なぜ本校を志望したのかを説明する問題が出ます。そこから一歩進んで、受験を決めたのはご夫婦のどちらだったのか、そう考えるようになった経緯はどのようなものだったのかまで尋ねられることがあります。決め手になった点をひとつあげるよう求められたり、学校の特色を踏まえて理由を述べるよう求められたりもします。
願書を手元に置いて進む面接では、願書に書いた一節を取り上げて、その部分をもっと詳しく説明するよう促されます。願書に書いた以外にも理由があるかどうかを重ねて尋ねられることもあります。私立小学校を選んだ理由そのもの、つまりなぜ公立ではないのかという角度から問われる場合もあります。
学校とお子さまの相性を確かめる問いも出ています。本校のどこがお子さまに合うと感じているのかを尋ねられたり、本校の魅力を三つあげて具体的に説明するよう求められたりします。説明会や公開行事で受けた印象を踏まえて話すよう求められることもあり、実際に足を運んでいるかどうかがここで見えてしまいます。
ご両親の足並みをそろえられているかを確かめる形もあります。片方が志望動機を答えたあとに、もう一方へ、いまの内容をどう思うか、ほかに理由はあるか、付け加えることはあるかと振られる流れです。答えを丸ごと分け合うのではなく、同じ軸の上で違う場面を話せるようにしておくと安心です。他校も受験するのか、複数の学校に合格したらどうするのかという問いが出ることもあります。
お子さまにも、志望動機に近いことが尋ねられます。どうしてこの学校に入りたいと思ったのか、この学校のよいところはどこだと思うか、入学したら何をがんばりたいのかを、自分の言葉で答える問題です。ご両親の説明をそのまま覚えさせるのではなく、実際に見た場面をもとにして、短く話せるようにしておきましょう。
【小学校受験の面接】志望動機に含めたい4つの要素
伝わる志望動機には、共通する組み立てがあります。次の4つの要素を、この順番でつなぐだけです。
- 学校のどこに共感したか
- ご家庭が子育てで大事にしていること
- その2つが重なった具体的な場面
- 入学後にお子さまにどう育ってほしいか
ひとつめの「学校のどこに共感したか」は、あれもこれもと並べないことが肝心です。教育方針、行事、日々の学びの進め方、先生と子どもたちの関わり方。どれかひとつに絞ってください。3つ挙げると、どれも印象に残りません。
ふたつめの「ご家庭が子育てで大事にしていること」は、立派な理念である必要はありません。話を最後まで聞く、決めたことは自分でやり切る、失敗しても責めない。日々の暮らしで実際に守っていることを、ひとつだけ選びます。
みっつめの「重なった具体的な場面」が、いちばん大切な部分です。学校説明会で見た光景と、家庭の日常が結びついた瞬間。そこを描けると、志望動機はご家庭だけのものになります。ここが抜けると、途端に借り物の文章になります。
よっつめの「入学後にどう育ってほしいか」は、長く語る必要はありません。一文で十分です。将来の職業を挙げる必要もありません。どんな人であってほしいかを、ご家庭の言葉で言えれば足ります。
【小学校受験の面接】材料はどこから集めるか
説明会と公開行事で見たことを、その日のうちに書き留める
いちばん強い材料は、自分の目で見たものです。校舎の雰囲気、先生の話し方、在校生の表情、案内してくれた子どもの様子。帰りの電車の中で、数行でよいのでメモを残してください。時間が経つと、印象は驚くほど薄れます。
学校が公表している言葉を、自分の言葉に置き換える
学校が掲げる理念は、そのまま引用しても伝わりません。その言葉を、自分たちの暮らしの言葉に置き換えてみてください。置き換えられない言葉は、まだ自分のものになっていない証拠です。無理に使わず、置き換えられた言葉だけを使いましょう。
ご夫婦で一度だけ、長めに話す時間をつくる
志望動機は、その場で考えて話せるものではありません。かといって、原稿を書いて覚えるのも逆効果です。出願書類を書く時期に合わせて、ご夫婦で一度だけ長めに話す時間をとってください。そこで決めた軸を、面接の直前にもう一度確認する。この2回で十分に整います。
お子さまの言葉も材料になる
学校見学のあとにお子さまが口にした一言は、思いのほか良い材料になります。大人が気づかなかったところを見ていることがあるからです。そのまま使う必要はありませんが、ご家庭がどんなふうにお子さまの言葉を受け止めているかが伝わります。
ここで気をつけたいのが、学校の情報を集めすぎることです。調べれば調べるほど、語りたいことが増えていきます。しかし面接で話せるのは、ひとつの軸だけです。集めた材料は、最終的に9割を捨てるつもりでいてください。捨てられずに全部を詰め込んだ志望動機は、かえって芯が見えなくなります。
【小学校受験の面接】答えの組み立て方
結論を先に、具体例はひとつだけ
答えは「結論、具体例、これから」の順に置くと、短くても伝わります。最初に言いたいことを一文で示し、それを裏づける場面をひとつ添え、これからどうしたいかで閉じる。目安は30秒、長くても1分です。具体例を3つ並べるより、1つを丁寧に描くほうが記憶に残ります。
お父様とお母様で役割を分ける
同じ内容を二人が繰り返すと、話が重くなります。片方が学校への共感を語り、もう片方が家庭での子育てを語る。そのうえで、どちらも同じ軸に立っている。この形がいちばん自然です。役割は事前に決めておきましょう。お父様の話し方については父親の仕事の伝え方の記事も参考になります。
ひとつの軸を、いくつもの場面で使い回す
志望動機、教育方針、お子さまの成長の話。これらを別々に用意すると、内容がぶつかりがちです。ご家庭が大事にしている価値観をひとつの軸に置き、そこからすべてを組み立ててください。同じ軸が違う場面に現れると、聞き手には「このご家庭は一貫している」と伝わります。逆に、テーマごとに違うことを言っていると、どれだけ立派な内容でも印象が散ります。
願書に書いた言葉から離れすぎない
面接は、提出した書類をもとに進みます。控えを必ず取り、前日に読み返してください。書いたことを自分の言葉で少し広げて話せると、ご家庭の一貫性がはっきり伝わります。逆に、その場の思いつきで新しい話を足すと、書類との間に段差ができます。
【小学校受験の面接】よくある失敗と直し方
どこの学校にも当てはまる文章になっている
いちばん多い型です。見分け方は簡単で、学校名を別の学校に置き換えても文章が成立するなら、それは志望動機になっていません。直すには、具体的な場面をひとつ足すだけで足ります。
学校の理念をそのまま返している
掲げられている言葉を並べると、勉強してきたことは伝わりますが、ご家庭の姿は見えません。理念に触れるなら、そのあとに必ず「わが家では」と続けてください。
お子さまの将来像を大きく語りすぎる
壮大な将来像は、かえって現実味を失わせます。6年間でどう育ってほしいか、くらいの距離感がちょうどよいのです。
他校と比べて他校を下げる
比較そのものが悪いわけではありませんが、他校を下げる言い方は必ず印象を損ねます。選んだ理由だけを語れば十分です。避けたい言い方は面接のタブーの記事にまとめています。
暗記した文章を読み上げている
覚えるのは全文ではなく、話の骨だけにします。骨さえあれば、言葉はその場で出てきます。当日の立ち居振る舞いは入退室のマナーの記事もあわせてご覧ください。
【小学校受験の面接】志望動機についてよくあるご質問
第一志望でない学校では、どう答えればよいですか
志望の順位を語る場面ではありません。その学校を受けると決めた理由は必ずあるはずですから、それを正直に述べれば十分です。取りつくろった言葉のほうが、かえって伝わりません。
兄姉が在学している場合はどう伝えますか
事実として伝えたうえで、実際に通わせてみて何がよかったかを一言添えてください。在学しているから、という理由だけで終わらせないことが大切です。
共働きでも志望動機は不利になりますか
働き方そのものが志望動機の評価に影響するわけではありません。むしろ、学校生活をどう支えるかの段取りが具体的に語れると、ご家庭の姿勢が伝わります。
説明会に一度しか参加できませんでした
回数を競う必要はありません。一度でも実際に見て、そこで感じたことを自分の言葉にできていれば十分です。回数の少なさを気にするより、見たものを深く語ってください。
学校見学に子どもを連れて行ったほうがよいですか
参加できる行事であれば、ご一緒するとよい材料が増えます。お子さま自身が校舎を見た経験は、当日の受け答えにも落ち着きを与えます。ただし、行事の性質によっては同伴できない場合もありますので、学校の案内に従ってください。
片方の親しか出席できないときはどうしますか
出席できる側が、二人で決めた軸を説明できる状態にしておけば問題ありません。準備の仕方は父親が面接に出られないときの記事で解説しています。
準備はいつから始めればよいですか
材料集めは、説明会が始まる時期から。文章にまとめる作業は、出願書類の準備と同時に。声に出す練習は、面接の2週間ほど前から。この3段階で進めると無理がありません。早い時期から言葉を固めすぎると、かえって不自然になります。
面接で泣いてしまいそうです
気持ちがこもるのは悪いことではありません。ただ、言葉に詰まってしまうと伝わりません。感情の大きな話を軸に据えず、日常の落ち着いた場面を選ぶと、話しやすくなります。当日は、前もって水を一口飲んでから入室するだけでも、ずいぶん落ち着きます。
当日の服装はどうすればよいですか
派手さを避け、清潔感を第一にしてください。詳しくは面接の服装の記事をご覧ください。早めに到着し、気持ちを落ち着けてから臨みましょう。
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