親子面接の練習で、子どもが質問に答えられず、黙ってしまうことがあります。
本番で同じことが起きたら、親はその場で何と言えばよいのでしょうか。
【小学校受験】面接でお子さまが黙ってしまうのはめずらしくない
筆者は、幼稚園受験の面接官をしていた経験があります。その経験から言えるのは、面接で黙ってしまうお子さまは、決してめずらしくないということです。
はじめての場所で、知らない大人に質問されるのですから、言葉が出なくなるのは自然なことです。面接官の多くは、少し待ったり、言い方を変えてもう一度聞いたりと、お子さまが話し出せるような進め方を持っています。
ですから、お子さまが黙ってしまっても、「もうだめだ」とあわてる必要はありません。大切なのは、その瞬間に、お父様・お母様がどう動くかです。
なお、面接の形式(親子面接か保護者面接か、お子さまへの質問があるかどうか)は学校によって異なります。受験する学校の募集要項や説明会の案内で確認しておきましょう。
【小学校受験】場面で見る、フォローの一例
まずは、説明のための例で、フォローの形を見てみましょう。
面接官が、お子さまに「お家で、お手伝いは何をしていますか」と質問しました。お子さまは、下を向いて黙ってしまいました。
お母様は、すぐには動きません。心の中で5つ数え、それでも面接官が待っているとわかってから、お子さまのほうを向いてこう言います。
「〇〇ちゃん、きのう、お母さんと一緒に、何を運んでくれたっけ」
お子さまが「おさら」と一言だけ言えたら、お母様は面接官のほうを向いて、「食事のあとに、お皿を運ぶのを毎日手伝ってくれています」と、一言だけ添えます。
答えは言わずに、手がかりだけを渡し、お子さまの言葉を受け取ってから補う。これが、この記事でお伝えするフォローの形です。
【小学校受験】固まった瞬間、お父様・お母様はまず動かない
お子さまが固まったとき、一番多いのは、お父様・お母様がすぐに動いてしまうことです。
- お子さまの顔をのぞきこむ
- 小さな声で答えをうながす
- 代わりに答え始める
- ひざをとんとんとたたく
こうした動きは、お子さまをさらに固くしてしまいます。そして面接官には、お子さまよりも、お父様・お母様のあせりのほうが強く残りやすくなります。
目安として、心の中でゆっくり5つ数えてください。その間は姿勢を変えずに、「大丈夫だよ」というやわらかい表情で、お子さまを見守ります。
5つ数える間に、面接官が「じゃあ、好きな食べ物は何かな」と、別の質問で助けてくれることもよくあります。そうなれば、お父様・お母様の出番はありません。お子さまに任せましょう。
それでも面接官がこちらを見て待っているときや、「お母様、いかがですか」と話をふられたときに、はじめてフォローに入ります。
【小学校受験】フォローの言葉の作り方
答えではなく、手がかりを渡す
フォローで大切なのは、お子さまの代わりに答えないことです。フォローとは、お子さまがもう一度話し始められるように、道をつくることです。
先ほどの例では、「きのう」「お母さんと一緒に」「運んだ」という3つの手がかりを渡しただけでした。お子さまが「おさら」と言えたら、それで十分です。その言葉を受け取ってから、お父様・お母様が一言補う。この順番が大切です。
「答えて」ではなく「教えてあげて」
たとえば「大きくなったら何になりたいですか」で止まってしまったとき、お父様がこう言います。
「この前、お父さんに乗り物の話をしてくれたよね。あれ、先生にも教えてあげて」
「答えなさい」ではなく、「教えてあげて」という形にするのがポイントです。お子さまにとっては、「答える」よりも「教える」ほうが、口が動きやすくなります。
それでも話せないときは、ふだんの姿を短く伝える
手がかりを渡しても、お子さまが首を横にふるだけで、目に涙がたまってきたら、無理に話させるのはやめましょう。お母様が面接官のほうを向いて、たとえばこう伝えます。
「申し訳ございません、緊張しているようです。ふだんは、お皿を運ぶお手伝いを、毎日してくれています。」
「いつもはできるのに」と責める言葉は使わず、ふだんの姿を短く伝えます。お父様・お母様が落ち着いて次に進めば、お子さまも落ち着きを取り戻しやすく、次の質問では答えられることもよくあります。
【小学校受験】面接のあと、家での立て直し方
家に帰ってから、「なんで答えられなかったの」「練習では言えたじゃない」と言いたくなる気持ちは、よくわかります。けれども、この言葉は次の面接をさらに難しくしてしまいます。「答えられないと、お母さんが悲しむ」という記憶が残り、次は「失敗してはいけない」で頭がいっぱいになるからです。
家での立て直しは、次の3つの順番で進めましょう。
1. その日は面接の話をしない
帰り道に「今日、がんばったね」と一言だけ伝えて、あとはいつもどおりに過ごします。
2. 翌日から、言葉と出来事を結びつける
たとえば夕食のあとに、「お皿を運んでくれてありがとう。〇〇ちゃんのお手伝いって、これのことだよね」と声をかけます。面接の話はしていませんが、「おてつだい」という言葉と、「お皿を運ぶ」という出来事が、お子さまの中でつながります。
答えられない理由の一つは、言葉と出来事がお子さまの中でまだつながっていないことです。だからこそ、日常の中で何度も結びつけておきます。
3. 「わからないときの言い方」を持たせる
練習で固まったら、「今、わからなくなっちゃったね。そういうときは『えっと、わすれちゃいました』って言っていいんだよ」と声をかけます。言えたら、「それでいいよ、上手に言えたね」とほめてください。
黙るしかないと思っているから、固まってしまいます。言ってよい言葉があると知っていれば、固まる時間はぐっと短くなります。
【小学校受験】お父様・お母様のフォローも練習しておく
面接の練習では、お子さまの答えだけでなく、お父様・お母様のフォローも一緒に練習しておきましょう。「お子さまが答えられなかったとき、何を言うか」は、練習していないご家庭が多い部分です。本番ではじめてその場面を迎えるから、頭が真っ白になってしまいます。
ご夫婦で面接官役とお子さま役を交代しながら、わざと黙る場面をつくり、5つ数えて、手がかりを一つ渡す。この流れを体で覚えておくだけで、本番の落ち着きが変わります。
【小学校受験】面接で答えられないときのよくある疑問
お子さまが答えられないと、それだけで不合格になりますか?
選考の基準は公表されていないため、言い切ることはできません。ただ、筆者の経験では、一度黙ってしまったことよりも、そのあとのご家族の落ち着いたやりとりのほうが印象に残ります。
練習で、答えを丸ごと覚えさせたほうがよいですか?
丸暗記した答えは、少し聞き方が変わるだけで出てこなくなることがあります。それよりも、日常の出来事と言葉を結びつけておくほうが、自分の言葉で話しやすくなります。
お父様とお母様、どちらがフォローするのがよいですか?
決まりはありません。面接官に話をふられた方、またはお子さまの隣にいる方が自然に入れるよう、ご夫婦で役割を話し合っておくと安心です。
練習でよく固まる場合、どんな質問から始めればよいですか?
まずは、「好きな食べ物は何ですか」「お友だちの名前を教えてください」のように、お子さまがすぐに答えられる質問から始めましょう。答えられた経験を重ねてから、お手伝いや幼稚園・保育園での出来事など、少し考える質問に進むと、固まる時間が短くなっていきます。練習の最後は、必ず答えられた質問で終えるようにすると、お子さまの自信につながります。
泣いてしまったら、退室したほうがよいですか?
まずは落ち着いて、面接官の進め方に従いましょう。お父様・お母様があわてずに受け答えを続けることが、お子さまの安心につながります。
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※学校ごとの最新の情報は、各校の公式サイトと募集要項でご確認ください。
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