願書の志望理由を、ChatGPTなどのAIで下書きしようか迷っています。
AIで書いた願書は、学校にわかってしまうものなのでしょうか?
【小学校受験】AIの願書は、検出ツールではなく「読めば」わかる
「AIで書いた願書は、検出ツールで見ぬかれるのですか」というご質問をいただくことがあります。実は、機械でAIの文章を見分けるのは、とても難しいことがわかっています。
ChatGPTを開発したOpenAI社は、AIが書いた文章かどうかを判定するツールを公開していましたが、2023年7月20日に「精度が低いため」として提供を終えています。公開時に同社が示していた数字では、AIが書いた文章を正しく見分けられたのは26%、人が書いた文章をAIと誤って判定したのは9%でした。また、14種類の検出ツールを調べた海外の研究でも、どのツールも正確とも信頼できるとも言えない、と結論づけられています。
ですから、学校が検出ツールを使っているかどうかを心配する必要は、あまりないと筆者は考えています。日本の小学校がこうしたツールを使っているという情報も、筆者が調べた範囲では見つかりませんでした。
けれども、ここからが大切なところです。機械にはわからなくても、人にはわかります。願書を読むのは、毎年たくさんの願書に目を通してきた先生方です。数字ではなく、読んだ瞬間の違和感で気づかれるのです。
【小学校受験】学校説明会でも、AIの願書にふれられることがある
筆者がこれまで参加してきた学校説明会の中には、先生方が「AIで書かれた願書はすぐにわかります」という趣旨のことをお話しされる場面がありました。すべての学校ではありませんが、受験を考えるご家庭が大勢集まる場で、学校のほうからはっきり伝えられることがあるのです。
これは、学校にはもう見えている、ということでもあります。そして、全体に向けてわざわざ伝えるということは、それだけ目にする機会が増えているのかもしれません。
だからこそ、志望校の説明会には、ぜひ足を運んでください。学校が何を大切にしているのか、どんなご家庭に来てほしいのかを、直接聞くことができます。説明会で聞いた言葉は、願書に書けるいちばん確かな材料になります。
筆者自身も、願書づくりにAIが使えないかを試したことがあります。どれだけていねいに指示を出し、情報を渡しても、出てくるのはきれいで当たりさわりのない文章ばかりでした。これではお子さまが伝わらないと感じ、使うのはやめました。AIを否定したいのではなく、実際に試してみて難しかったからこそ、お伝えしています。
【小学校受験】AIで書いた願書に出やすい7つの特徴
では、どこを読むとわかってしまうのでしょうか。7つに整理します。ご自身の願書を見直すときのチェックにも使ってください。
1. どの学校にも当てはまってしまう
いちばん多い特徴です。「貴校の教育理念に深く共感し」「のびのびとした校風のもとで」のように、学校名を入れかえてもそのまま使える文章は、志望理由になっていません。その学校でなければならない理由が書かれていないからです。
2. 抽象的な言葉が並ぶ
「豊かな感性」「主体性」「探究心」「協調性」などは、どれもよい言葉です。けれども、この言葉が並ぶだけでは、どんな場面でのことなのかがわからず、お子さまの姿が見えてきません。
3. お子さまの顔が浮かばない
お子さまが何をしたのか、何と言ったのかが出てこない願書は、読み終えても「こういう子なんだな」という印象が残りません。
4. 失敗が書かれていない
AIの文章には、やさしくて、集中力があって、お友だち思いでと、よいことばかりが並びがちです。先生方が知りたいのは、うまくいかなかったときに、そのご家庭がどう向き合ったかです。
5. いつ・どこで・何と言ったかがない
AIは、その場にいませんでした。何月のことか、どこでのことか、お子さまが何と言ったか。この生きた細部は、ご家庭にしか書けない部分です。
6. 語尾とリズムがそろいすぎている
「と考えております」「と存じます」が同じように並び、対になった言い回しが続く文章は、整いすぎて見えます。わが子のことを一生懸命書いた文章には、もう少し自然なデコボコがあるものです。
7. ご夫婦のどちらが書いたのかわからない
ある私立小学校の家庭調査書(2025年度の資料)には、志願の理由の欄に「記入者を○で囲む 父 母 他」という項目があります。学校は、誰が書いたのかにも目を向けているのです。AIの文章には、お父様の声も、お母様の声もありません。
7つの特徴は、じつはひとつのことにまとめられます。AIは、その場にいなかった、ということです。
【小学校受験】直す前と直した後で、こう変わる
言葉だけではわかりにくいので、直す前と直した後の例をご紹介します(どちらも説明のための例文です)。
直す前
息子は好奇心が旺盛で、身の回りの自然に対して豊かな感性を持っております。日々の生活の中で、主体的に物事に関わる姿勢が育まれていると感じております。
直した後
息子は、去年の夏に近所の公園でセミの抜け殻を見つけてから、毎朝そこに寄るようになりました。数を数えて帰ってきて、「昨日より2個多かった」と報告してくれます。雨の日も、傘をさして行きたがります。
直した後の文章には、難しい言葉はひとつもありません。それでも、毎朝続けられる子、数えることが好きな子、雨の日でも行きたがるほど夢中になれる子だということが伝わります。上手に書く必要はありません。その日の情景が入っていれば、それで十分です。
【小学校受験】願書は面接につながる
願書は、面接の質問のもとにもなります。面接官は願書を読んでから面接にのぞみ、そこに書かれたことをたずねることがあるからです。
たとえば、願書に「失敗を恐れずに挑戦する子です」と書いたとします。面接で「そのエピソードを教えていただけますか」「そのとき、お子さまは何とおっしゃいましたか」と聞かれたら、ご自身で書いていない文章では、答えに詰まってしまいます。
また、願書を書いた方と、もうおひとりの話が食いちがうこともあります。ご家庭で共有されていない言葉は、面接でくずれやすいのです。願書を書く作業は、ご夫婦で話し合う作業でもあります。どちらかひとりで、ましてAIに任せて仕上げるのは避けましょう。
お子さまと一緒に積み重ねてきた時間の上に、願書があります。これまでのがんばりを、最後の数百字で他人の言葉にしてしまうのは、とてももったいないことです。文章が上手でなくてもかまいません。ご家庭の言葉で書いてください。
【小学校受験】AIの願書についてのよくある疑問
AIは、一切使わないほうがよいですか?
使い方しだいです。おすすめは、AIに文章を書かせるのではなく、「子どもの具体的なエピソードを思い出せる質問を20個出してください」のように、質問を出してもらう使い方です。その質問にご夫婦で答えた内容が、願書の材料になります。
字数を減らすときに、AIを使ってもよいですか?
たとえば、ある私立小学校の2027年度の募集要項では、志望理由が450文字以内とされているなど、字数に決まりがある学校は少なくありません。長く書いたものを削る手伝いに使うのはひとつの方法ですが、どこを削ったかを確かめ、最後は必ずご自身の言葉に直してください。
学校の情報をAIで調べてもよいですか?
おすすめしません。AIは、学校の情報をまちがえることがあります。学校のことは、公式サイトと募集要項、そして説明会で確かめましょう。
AIを使ったことがわかると、不合格になりますか?
そうした事例や基準は公表されていないため、言い切ることはできません。ただ、AIの文章ではご家庭とお子さまの姿が伝わりにくく、面接で深くたずねられたときに答えにくくなる点は、知っておいていただきたいと思います。
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※本記事は、各校の公式サイト(募集要項・出願書類)とOpenAI社の公式サイトの2026年10月時点の情報をもとに作成しています。最新の情報は、必ず学校の公式サイトと募集要項でご確認ください。
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