面接の答えを一生懸命つくっていますが、これが面接官にとってよい答えなのか、自信がありません。
面接官は、結局どんなことを聞き取りたいのでしょうか。
【小学校受験】面接官の机の上にあるもの
本題に入る前に、面接官がどのような状況で話を聞いているかをお伝えします。
面接官の机の上には、願書のコピーがあります。そして、限られた時間の中で、何組ものご家庭のお話を続けて聞きます。ですから聞く側は、自然と次の2つを気にしながら聞いています。
- 願書に書かれていることと、話がつながっているか
- 短い時間の中で、何が心に残るか
なお、これは筆者が幼稚園受験の面接官をしていたころの実感です。小学校の面接官の方が同じように考えているとは言い切れません。「聞く側の人間には、こう聞こえていた」というお話として受け取ってください。
【小学校受験】聞く側が助かる答えの例
まず、説明のための例で、聞く側が助かる答えを見てみましょう。質問は「ご家庭で大切にしていることは何ですか」です。
「家庭で大切にしているのは、お手伝いを通して、人の役に立つ喜びを知ることです。先日、洗濯物をたたむのを任せたところ、家族の分を全部そろえてから、うれしそうに報告に来ました。そのとき、任せてよかったと思いました。」
結論を先に言い、そのあとに小さな出来事が一つ。この一つの出来事で、ご家庭の方針と、お子さまの今の姿と、お父様・お母様の関わり方が、一度に伝わります。
【小学校受験】面接官が困った答え4つ
1. パンフレットの言葉がそのまま返ってくる
「心を育てる教育に共感いたしました」。これは学校の言葉であって、ご家庭の言葉ではありません。聞く側は「具体的には、どんなところでしょうか」と聞きたくなりますが、そこで言葉が止まってしまうご家庭が少なくありませんでした。共感した「理由」ではなく、「言葉」だけを覚えてきている状態です。
2. 質問と答えがずれている
「お子さまが最近、がんばっていることは何ですか」と聞かれて、「私どもは、あいさつを大切に育てております」と答える。質問はお子さまの「がんばっていること」なのに、答えはご家庭の「方針」になっています。準備した答えを言いたい気持ちはわかりますが、聞く側は「この質問には答えていただけなかった」と感じてしまいます。
3. 長すぎて、どこが答えなのかわからない
まじめに準備されたご家庭ほど、背景から話し始めて、きっかけ、今の様子、まとめと続きます。けれども、結論がわからないまま長く続くと、聞き取りにくくなります。
筆者が練習の目安としてお伝えしているのは、基本は60秒、志望理由や教育方針など内容の多い質問でも最大で1分20秒までです。学校から時間の指定や「簡潔に」という案内があれば、そちらを優先してください。結論から短く、そのあとに出来事を一つ添える。この順番のほうが、ずっと聞き取りやすくなります。
4. お父様とお母様で話がずれる
お父様が「のびのび育てています」、お母様が「毎日、机に向かう習慣をつけています」。どちらも悪い答えではありませんが、聞く側は「ふだんは、どちらの姿なのだろう」と思います。
意見が違うこと自体は問題ではありません。ご夫婦で話し合った跡が見えないことが、気になるのです。「のびのびと過ごしつつ、朝の10分だけは机に向かう約束をしています」のように、一つの絵につながっていれば、安心して聞くことができます。
困った答え4つに共通しているのは、ご家庭の姿が見えてこないことです。
【小学校受験】面接官が助かった答え4つ
1. 結論のあとに、小さな出来事がついてくる
先ほどの例のように、結論を先に言い、そのあとに出来事が一つ続く答えです。聞く側は、ご家庭の様子を思い浮かべながら聞くことができます。
2. 失敗も、そのまま話してくれる
うまくいった話ばかりだと、聞く側は「本当にそうなのかな」と少し身構えます。逆に、次のような答えはとても助かりました。
「お友だちとの順番争いで、手が出てしまったことがあります。そのときは、まず本人の気持ちを聞いてから、相手のお子さまにどう伝えるかを一緒に考えました。今は、言葉で伝えようとする場面が増えてきました。」
失敗があって、関わりがあって、今がある。この流れが見えると、聞く側は安心します。ただし、「手が出てしまうことがあります」で止めないでください。失敗、そのときの関わり、今の姿の3つをセットにして、短く話すのが形です。
3. 質問を受け止めてから答える
「ご家庭で大切にされていることは何ですか」と聞かれたら、「家庭で大切にしていることは」と、質問の言葉を最初にくり返します。それだけで、聞く側は「質問がきちんと届いた」とわかります。質問を聞き終わる前に話し始めると、聞く側は少し落ち着かない気持ちになります。
4. 願書と同じ出来事が出てくる
願書に「毎朝、家族で植物に水をやっています」とあり、面接で「朝の水やりで、枯れた葉を見つけて教えてくれました」と話される。願書に書いたことが本当に暮らしの中にあるとわかり、聞く側はとても助かります。
別の出来事でもかまいませんが、事実や教育方針が食い違わないようにしましょう。願書と面接は、同じご家庭の姿を、文字と声で2回見せているものだと考えてみてください。
助かった答え4つに共通しているのは、ご家庭にしかない出来事が、短く、質問に沿って出てくることです。
【小学校受験】家庭でできる「出来事メモ」の練習
ご家庭でできる練習を一つだけ紹介します。答えを暗記する前に、出来事を集めることです。
ノートでもスマートフォンのメモでもかまいません。「今日、こんなことがあった」を1行だけ書きためていきましょう。洗濯物を全部たためた、順番をゆずれた、はじめて一人で着替えられた。この1行が、答えの材料になります。
同じ出来事は、質問によって違う答えの材料になります。「ご家庭で大切にしていることは」と聞かれたら、「人の役に立つ喜びを知ることです」を結論にして、洗濯物の出来事を添えます。「お子さまの長所は」と聞かれたら、「最後までやり切るところです」を結論にして、同じ洗濯物の出来事を添えます。
出来事を5つか6つ持っていれば、質問の数だけ暗記しなくても、たいていの質問にご家庭の言葉で答えられるようになります。
【小学校受験】面接官が聞きたいことのよくある疑問
立派なエピソードがないのですが、大丈夫ですか?
大丈夫です。面接で伝わりやすいのは、特別な体験よりも、毎日の暮らしの中の小さな出来事です。洗濯物やお手伝いのような身近な話のほうが、ご家庭の姿が見えやすくなります。
失敗の話をすると、印象が悪くなりませんか?
失敗だけで終えると、心配に聞こえることがあります。そのときの関わりと今の姿までをセットで話せば、ご家庭の向き合い方として伝わります。
学校の教育方針の言葉は、使わないほうがよいですか?
使ってもかまいません。ただし、その言葉にご家庭のどんな出来事が重なったのかを、続けて話せるようにしておきましょう。説明会や学校見学で心に残った場面を、その日のうちにメモしておくと、「具体的には」と聞かれたときに、ご家庭の言葉で答えやすくなります。
質問の意味がわからなかったときは、どうすればよいですか?
あわてて答え始めるよりも、「〇〇ということでしょうか」と確かめてから答えるほうが、聞く側も安心します。質問をきちんと受け止めようとする姿勢は、それ自体がていねいな受け答えとして伝わります。
出来事メモは、いつごろから始めればよいですか?
思い立ったときが始めどきです。願書を書く前から書きためておくと、願書と面接で同じご家庭の姿を伝えやすくなります。ご夫婦でメモを共有しておくと、お二人の話がずれにくくなるという良さもあります。
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