ママ
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「巧緻性」と言われても、何のことか分かりません。家で何をすればいいですか。
うみ塾長
うみ塾長
巧緻性の課題で見えるのは、作品の出来ではなく、指先が道具に慣れているかどうかだと私は考えています。のり、はさみ、折り紙、ひも、ボタン、シール。家にあるもので、毎日5分、遊びの中で育てていきましょう。

幼児教室の案内や受験の本で「巧緻性」という言葉を見かけて、何のことか、考査で何が出るのか、家で何をどう練習すればよいのかと迷っている親御様は多いです。

この記事では、巧緻性とは何か、考査に出た道具と場面、道具ごとのコツ、そして毎日5分の取り入れ方をお話しします。園の例は、これまでの受験例と、受験されたご家庭の記録、そして私が面接レッスンで使っている過去の出題例の資料をもとにしています。用具も時間も年度で変わりますので、最新は各園の募集要項と、当日の先生の指示に従ってください。園が何を見ているかは、私の経験からの見方です。

お絵描き、積み木、パズルは別の記事でお話ししています。今回は「貼る・切る・折る・通す・留める」に絞ります。

動画でも解説しています。


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巧緻性は、受験の言葉で言う「手先の課題」です

巧緻性という言葉は、園の募集要項ではあまり見ません。受験の資料や幼児教室が、考査の課題を分類するときに使う言葉で、指先を使う課題をまとめてこう呼びます。

中身は、のりで貼る、はさみで切る、紙を折る、ひもを通す、ボタンを留める、シールを貼る。どれも、2歳、3歳のお子様が毎日の生活で触れている動きです。

ですから、巧緻性の課題は、知っているかどうかを聞くものではないと私は見ています。初めてのりを触るお子様と、家で何度も触っているお子様では、指の動きが違います。作品の出来より先に、その違いが先生の目の前で起きます。

考査に出た道具と場面

これまでの受験例から、道具が机に並んだ場面を挙げます。

園 場面 机に出た道具(記録の表現) 指先の動き
白百合学園 第二次 親子課題 5分 画用紙・折り紙・クーピーペン・のり・ウエットティッシュ/台紙をはがしてたたんで捨てる 貼る・折る・はがす・拭く
枝光会附属 親子制作 画用紙・クレヨン・はさみ・つぼのり・ウエットティッシュ/折り紙は前の机 切る・貼る・取りに行く・拭く
暁星 親子制作 5分間 紙ストロー2本・リボン・セロテープ・カラーペン・ハサミ(お子様は使わない) 結ぶ・貼る・描く
学習院 個別テスト(巧緻性) 福笑い、洗濯ばさみ 置く・つまむ
雙葉 親子遊び ボードにマグネット付きフェルトを貼る つまむ・貼る
カリタス 面接(お子様) 赤・青・黄の折り紙を取る 取る・持つ

いずれも受験例や過去の出題例で、年度で変わります。ひとつずつ見ていきます。

白百合学園幼稚園の第二次。これまでの受験例では、親子課題で用意されたのは、画用紙、折り紙、クーピーペン、のり、ウエットティッシュ。制作は5分。終わったあと、机に貼られた台紙をはがして、たたんで捨てるところまでが課題でした。

枝光会附属幼稚園。机に画用紙、クレヨン、はさみ、つぼのり、ウエットティッシュが用意され、折り紙は前の机から、使いたければ取りに行く形でした。完成すると、先生から「何を作ったのですか」と聞かれます。

暁星幼稚園。紙ストロー2本、リボン、セロテープ、カラーペン、ハサミが用意され、5分間で親子で好きなものを作る課題がありました。この例では、ハサミを使うのは親御様で、お子様は使いません。

お子様ひとりの課題にもあります。学習院幼稚園の過去の出題例には、キャラクターの福笑いと、洗濯ばさみでうさぎの耳やライオンのたてがみを作る課題が、巧緻性として載っています。雙葉小学校附属幼稚園の親子遊びには、木の絵のボードに、マグネットのついたフェルトの動物を貼る遊びがありました。親子遊び全体については、【幼稚園受験】親子遊びとは?内容と対策をプロが解説もご覧ください。

折り紙は、材料としてだけではありません。カリタス幼稚園の面接では、赤・青・黄の折り紙から「好きな色を取ってください」「それは何色ですか」と聞かれた例があります。紙を扱う手が、ここでも見えます。

並べると、3つのことが分かります。のりと紙は、複数の園で出ている。はさみは、机に出た園もあれば、暁星の例のように、お子様は使わなかった例もある。そして、はがす、拭く、取りに行くまでが、一続きになっている。

道具ごとに、私が見ているコツ

つまずき方は、道具ごとに似ています。

のり

つまずくのは量です。つぼのりを指ですくうと、多く取りすぎて紙がよれる。少なすぎてはがれる。人差し指の先に、米粒ひとつ分。紙の端まで、指で伸ばします。これを言葉にして、隣で一度やって見せてください。家にスティックのりしかないご家庭は、つぼのりも一度触っておくとよいでしょう。

はさみ

持ち方を練習されるご家庭は多いのですが、私が見ているのは反対の手です。切る手は、開いて閉じるだけ。線に沿って切れるかは、紙を持つ手が紙を回せるかで決まります。太い線を1本引いた紙を、紙のほうを動かして切る。ここから始めてください。当日は、はさみを使うかどうかも先生の指示に従います。

折り紙

角と角を合わせること、これがすべてです。1回折りの三角で十分です。角を合わせたら、片手で押さえて、もう片方の手で折り目をなでる。「合わせる」「押さえる」「なでる」。この3つの言葉で伝えてください。きれいな鶴は要りません。

ひも通し・ボタン・シール

この3つは同じ動きです。親指、人差し指、中指の3本でつまむ。ひもの先をつまんで穴に入れる。ボタンをつまんで穴に押し込む。シールの端をつまんで台紙からはがす。学習院の洗濯ばさみも、同じ3本の指の力です。

ひも通しやボタンそのものが考査に出た記録は、私の手元にはありません。それでも、この3本指の動きは、のりを伸ばす指、折り紙を押さえる指につながると私は見ています。造形や図形など、手を使う課題全般については、【幼稚園受験】造形|幼稚園受験で出てくる造形問題と対策も参考になります。

毎日5分、遊びの中で

ここからが本題です。「練習」と言わないでください。

「今日はのりで遊ぼう」「折り紙、一枚だけ折ろう」。誘い方で、お子様の手の力の入り方が変わります。「練習しよう」と言われたお子様は、上手にやろうとして手が固くなります。遊びなら、失敗しても続きます。

時間は5分です。暁星や白百合の制作も、5分でした。長くやる必要はありません。週末に1時間より、毎日5分を1か月のほうが、手に残ると私は考えています。

曜日で道具を変えるのもおすすめです。月曜はのり、火曜ははさみ、水曜は折り紙、木曜はひもとボタン、金曜はシール。

そして、作品を直さないでください。のりがはみ出ても、線からずれても、「できたね」で終えます。直すなら、次の日の遊びの中で、ひとつだけ。

親御様の声かけで気をつけたいこと

手先の遊びのとき、親御様の声かけひとつで、お子様の様子が変わります。私が気をつけていただきたいのは、次の3つです。

  • 先に見せて、言葉にする。のりの量やはさみの持ち方は、言葉だけで伝えようとせず、隣で一度やって見せます。「米粒ひとつ分」「合わせる」「押さえる」「なでる」のように、短い言葉と動きをセットにします。
  • 手を出しすぎない。お子様の手が止まっても、すぐに代わりにやらず、少し待ちます。折り紙の角がずれても、直さずに「できたね」で終えます。
  • 結果ではなく、動きを見る。「上手にできたね」より、「指で伸ばせたね」「紙を回して切れたね」と、動きに言葉を添えると、お子様は次に何をすればよいかが分かります。

考査の場面では、親子で取り組む課題と、お子様ひとりで取り組む課題があります。親子課題では、暁星の例のように、親御様がはさみを使い、お子様は使わない場合もあります。当日はその場で先生の指示を聞き、指示に合わせて動く。家での遊びのときも、「今日はお母さんが切るね」「ここはあなたが貼ってね」と役割を分けてみると、その練習になります。

手先の課題は、個別テストの中にもあります

ここまでは机に道具が並ぶ場面を中心に見てきましたが、手先を使う場面は個別テストにも出ます。白百合学園幼稚園の個別テストの出題例には、お箸やスプーンを使う課題、画用紙を使った工作、人形に服を着せる課題が挙がっています。そのほかにも、ほうきとちりとりでお掃除をする、お弁当箱を布で包む、手を洗って自分のハンカチで拭くといった、生活の動きを見る課題があります。集団テストの親子遊びでは、折り紙をちぎり、のりで貼って、指定されたテーマで作品を作る場面や、ビーズにひもを通す課題が出題されています。

こうして並べると、巧緻性の課題は、特別な道具を使う課題ではなく、生活の中の動きの延長にあることが分かります。ほうきとちりとりを使うご家庭は少なくなりましたので、お子様にとって初めて触る道具が出ることも想定されます。そのとき大切なのは、先生の話を聞いて、課題を理解することです。手先の器用さだけでなく、指示を聞く力も同時に見られていると私は見ています。

白百合学園幼稚園の試験全体の流れは、【白百合学園幼稚園】どんな試験?試験内容を徹底解説!にまとめています。

遊びの種類を広げると、手先は育ちます

巧緻性を高める遊びとしてよく挙がるのは、折り紙、粘土、積み木、お絵描きです。これに、ここまでお話しした、のり、はさみ、ひも、ボタン、シールを足せば、手先の経験は十分に広がります。机に向かう練習ではなく、遊びの延長で取り組めるものばかりです。

あわせて、生活の中の「自分でやる」経験も大切にしてください。衣服の着脱、お箸、手洗い、お片づけは、そのまま手先の練習になります。受験で特別な力が求められているというより、ふだんの生活でお子様が自分の手を使っているかどうかが、考査の場で見えてきます。下の表のように、遊びと生活の中の動きを組み合わせてみてください。

手先の動き 遊びの例 生活の中の例
貼る・ちぎる 折り紙をちぎって台紙に貼る シールを自分ではがして貼る
切る 太い線に沿って紙を切る お料理のお手伝いで食材を扱う
折る・たたむ 折り紙の三角折り ハンカチやタオルをたたむ
通す・留める ビーズやひもを通す ボタンを留める、服を着る
つまむ 洗濯ばさみで遊ぶ お箸やスプーンで食べる

手先を使う遊びを日常に取り入れる考え方は、【幼稚園受験】勉強法|おすすめの家での取り組み方と受験問題への対策でも紹介しています。

ご家庭でできること

次の3つを、今日から取り入れてみてください。

  1. 道具の置き場を決める。のり、はさみ、折り紙、シールを、お子様の手が届く箱ひとつに入れます。親御様が出し入れするのではなく、お子様がその箱を取りに行く。枝光会附属の例では、折り紙は前の机まで取りに行く形でした。取りに行くところから、遊びが始まります。
  2. 使ったあとに手を拭くことを、遊びの終わりにする。白百合や枝光会附属の例では、机にウエットティッシュが用意されていました。家で毎回拭いていれば、当日、机の上のウエットティッシュを見て、お子様の手が自然に伸びます。
  3. 作ったものを、その場にいなかった人に見せて、説明する時間を作る。お母様と作ったら、帰ってきたお父様に。週末なら、おじいさま、おばあさまに。枝光会附属の「何を作ったのですか」は、その延長にあると私は見ています。

まとめ

巧緻性は、受験の言葉で言う「手先の課題」です。見えるのは、作品の出来より、道具に手が慣れているかだと私は考えています。

考査には、白百合や枝光会附属のように画用紙、折り紙、のり、ウエットティッシュが机に並ぶ場面、学習院の洗濯ばさみのような、お子様ひとりの課題がありました。道具ごとのコツは、のりは量と指、はさみは紙を持つ手、折り紙は角を合わせる、ひもとボタンとシールは3本の指です。

毎日5分、「練習」と言わずに遊びの中で。道具の置き場を決める、手を拭いて終える、作ったものを人に見せて説明する。この3つを、今日から始めてください。

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