子どもはまだ年少で、ペーパーを始めるのは早い気がしています。
でも何もしないのも不安で、いまのうちに何を育てておけばよいのでしょうか?
【小学校受験】年少から「聞く力」を育てたい理由
年長の秋になって、「お話の記憶の問題ができません」というご相談をいただくことがあります。そのとき筆者がまず見るのは、問題の難しさではなく、お子さまがお話を最後まで聞けているかどうかです。
筆者の経験では、お話を聞けていないお子さまに問題の数だけを増やしても、なかなか伸びません。反対に、年少・年中のうちからお話を聞く習慣があるお子さまは、年長で課題に入ったときに、すっと取り組みやすいと感じます。
ですから、年少のいまは、机に向かう時間をつくることよりも、お話を聞く時間を生活の中につくることを目標にしてください。
この記事では、年少から育てたい「聞く力」を、次の3つに分けてお伝えします。
- 最後まで聞く力
- 頭の中に絵を描く力
- 聞いたことを言葉で返す力
ここでは、年少のあおいちゃんという架空のお子さまを例にして、ご家庭での声かけを具体的にご紹介します。
【小学校受験】1つめの力:最後まで聞く力
いちばん土台になるのが、お話を最後まで聞く力です。
一般的に、年少のころは、お話の途中で気になったことをすぐに口に出したくなるものです。これは自然なことなので、「途中でしゃべるからだめ」と考えなくて大丈夫です。
おすすめは、「ここまでは聞く」という区切りを、短くつくることです。絵本の途中で「これなあに」とページをめくりたがるあおいちゃんに、お母様がすることは3つです。
- 読む前に区切りを伝える:「このページが終わったら、質問タイムにしようね」
- 途中で口をはさんできたら、止めずに合図だけ出す:指を1本立てて、小さな声で「あとでね」
- ページが終わったら、約束どおり質問タイムにする:「さっき、何が気になったの?」と、しっかり聞いてあげる
最後まで聞いたら、ちゃんと話を聞いてもらえる。この経験を重ねると、お子さまは「待てば話せる」と学んでいきます。
最初は1ページ分で十分です。慣れてきたら、2ページ、見開きひとつと、少しずつのばしていきましょう。そして、守れたときは「最後まで聞けたね」と言葉にしてあげてください。
反対に、「静かに聞きなさい」と叱って黙らせるのは、おすすめしません。黙ることと、聞くことは、別のものだからです。
【小学校受験】2つめの力:頭の中に絵を描く力
多くのお子さまは、聞いた言葉を、頭の中で絵にして覚えています。「赤い帽子の女の子が、パン屋さんに行きました」と聞いたら、赤い帽子とパン屋さんが頭に浮かぶ、ということです。
この力を育てるには、「絵のない状態でお話を聞く」時間をつくります。たとえば、お風呂の中で、お母様があおいちゃんにこんなお話をします。
「きのう、お母さんがスーパーに行ったらね、りんごと、バナナと、牛乳を買ったの」
お話はこれだけです。絵本ではないので、絵はありません。お話が終わったら、「お母さん、何を買ったんだっけ?」とたずねます。「りんご」と言えたら、「そう、りんご。あと2つあるよ」。思い出せなかったら、「白くて、コップに入れて飲むものだよ」とヒントを出して、頭の中の絵を引き出してあげます。
コツは、お話を「短く」「身近に」することです。知らないものが出てくると、頭の中に絵が描けません。お子さまがふだん見ているものだけで、お話をつくってください。
思い出したあとに、「買ったもの、描いてみて」と絵に描いてもらうのもおすすめです。上手でなくてかまいません。3つのものが描けていれば十分です。
一般的に、年少では2つか3つ覚えられれば十分ですが、個人差があります。1つしか言えない日があっても、気にしなくて大丈夫です。
【小学校受験】3つめの力:聞いたことを言葉で返す力
聞いて、わかって、それを言葉にして返す。ここまでできて、はじめて相手に「聞けた」ことが伝わります。面接でも行動観察でも、聞いたことを自分の言葉で返す場面はよくあります。
この力を育てるには、「聞いたお話を、ほかの人に伝えてもらう」ことがおすすめです。たとえば、昼間にお母様と絵本を読んだあと、夜にお父様が帰ってきたら、「今日の絵本のお話、お父さんに教えてあげて」と声をかけます。
最初は「くまさんが、出てきた」と、ひとことしか言えないかもしれません。それで十分です。ここからは、お父様が質問で続きを引き出します。
- お父様「くまさんは、何をしたの?」 あおいちゃん「はちみつ、食べた」
- お父様「そのあと、どうなったの?」 あおいちゃん「おなか、いたくなった」
最後に、お父様が「くまさんが、はちみつを食べて、おなかが痛くなったんだね。教えてくれてありがとう」と、お子さまの言葉をつなげて言い直してあげます。これを聞くことで、お子さまは、お話をつなげて言う形を少しずつ覚えていきます。
コツは2つです。ひとつは、「ちゃんと言って」「もっと長く言って」ではなく、質問で引き出すこと。もうひとつは、伝える相手を変えることです。相手が変わると、「この人は知らないから、教えてあげよう」という気持ちが生まれます。
【小学校受験】3つの力を育てる順番と1日の入れ方
3つの力は、同時に始める必要はありません。まずは「最後まで聞く力」から始めて、少しできるようになってから、2つめ、3つめを足していきましょう。
時間は、1日あわせて10分ほどで十分です。たとえば、次のように、もともとある生活の場面に少しずつ入れていきます。
- 絵本の読み聞かせ:5分ほど
- お風呂や食事のときの短いお話:3分ほど
- 寝る前の「今日のこと、教えて」:2分ほど
新しく「勉強の時間」をつくる必要はありません。お話の題材も、特別なものを用意しなくて大丈夫です。その日にあったこと、買い物で見たもの、園で聞いた先生のお話など、お子さまの身近なできごとが、いちばんよい教材になります。
そして、できなかった日を数えないでください。年少のお子さまは、機嫌や体調によって、できる日とできない日の差がとても大きいものです。できた日に「今日は最後まで聞けたね」と言ってあげる。それだけで、少しずつ積み上がっていきます。
【小学校受験】年少からのお話の聞き方についてのよくある疑問
年少からペーパーを始めなくても大丈夫ですか?
ペーパーの問題も、先生のお話を聞くことから始まります。年少のうちは、生活の中で聞く力を育てることが、あとの学習の土台になります。ペーパーを始める時期は、お子さまの様子を見ながら考えていきましょう。
お話の途中で、すぐにしゃべってしまいます。
年少のころはよくあることです。叱って黙らせるのではなく、「このページが終わったら質問タイム」と短い区切りをつくり、約束どおり話を聞いてあげましょう。
ほかの子と比べて、覚えられる数が少ない気がします。
聞く力や覚える力の育ち方には、個人差があります。ほかのお子さまと比べず、少し前のお子さまと比べてあげてください。気になることが続く場合は、乳幼児健診や小児科などの専門家に相談してみるのもひとつの方法です。
お父様は、どのように関わればよいですか?
3つめの「言葉で返す力」では、お父様の出番がたくさんあります。昼間に聞いたお話を夜に教えてもらうときは、お子さまの短い言葉を急かさず、「それから?」「どうなったの?」と質問でつないであげてください。最後に「教えてくれてありがとう」と伝えると、お子さまは「また話したい」という気持ちになります。
共働きで、時間がとれません。
1日あわせて10分ほどで十分です。お風呂や食事、寝る前など、すでにある時間の中に入れてみてください。昼間に聞いたお話を、夜にお父様やお母様へ伝えてもらう形なら、忙しいご家庭でも続けやすくなります。
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