うちの子は、ゲームで負けたり、やりたい役を取れなかったりすると、泣いたり固まったりしてしまいます。
行動観察で同じことが起きないか心配で、家でどんな声をかければよいのか迷っています。
【小学校受験】行動観察でうまくいかなかった瞬間に起きていること
一般的に、行動観察の課題には、思い通りにならない場面が含まれていることがあります。たとえば、人数より少ない道具、じゃんけんで決める役割、順番を待つ場面などです(課題の内容は学校によって異なります)。
こうした場面で、お子さまの姿は大きく3つに分かれます。
- 泣く:悔しい気持ちが、体からあふれている
- 固まる:どうしてよいかわからなくなっている
- 怒る:自分の気持ちを、まだ言葉にできない
どの姿も、お子さまが悪いわけではありません。どれも「気持ちの処理の途中」なのです。
筆者の経験では、大切なのはそのあとです。泣いたあと、固まったあと、怒ったあとに、もう一度活動に戻ってこられるかどうか。この「戻ってくる」までの時間を、家庭で少しずつ短くしていくことが、この記事の目標です。
なお、ここでお伝えするのは家庭での声かけの工夫です。気持ちの切り替えが極端に難しい様子が長く続くなど、気になることがある場合は、乳幼児健診や小児科などの専門家に相談してみてください。
【小学校受験】声かけ1:気持ちに名前をつける
お子さまが負けて泣いたとき、最初にかける言葉は、「泣かないの」でも「そんなことで」でもありません。
「悔しかったね」「やりたかったんだよね」
気持ちに名前がつくと、お子さまは、自分の中で何が起きているのかがわかるようになります。
たとえば、きょうだいとカードゲームをして、負けて泣いてしまったとします。そのとき、お母様が「悔しかったね。勝ちたかったよね」と声をかけるだけで、泣いている時間は少し短くなります。
ここでのポイントは、我慢させないことです。悔しい気持ちをなかったことにする練習ではなく、悔しい気持ちがあっても、次に進む練習だと考えてください。
【小学校受験】声かけ2:次にできることを一緒に探す
気持ちが少し落ち着いたら、「じゃあ、次は何ができるかな」と聞いてみましょう。やりたい役を取れなかったときは、「その役じゃなくても、できることはあるかな」と問いかけます。
ここで大切なのは、お父様・お母様が答えを言わないことです。考査の場には、お父様・お母様はいません。自分で「次にできること」を探す経験が、そのまま考査での姿につながります。
お子さまが何も思いつかないときは、二つの選択肢を出してあげてください。
「お友だちのを手伝うのと、自分で別のものをつくるのと、どっちにする?」
選ぶだけなら、固まっているお子さまでも動き出しやすくなります。筆者の経験では、この「次を探す」経験を積んだお子さまは、負けたあとに周りを見る余裕が出てきます。それが、戻ってくる力です。
【小学校受験】声かけ3:戻ってこられたことを言葉にする
泣いても、固まっても、怒っても、そのあとに活動に戻ってこられたら、そこを言葉にしてあげてください。
「泣いたけど、戻ってこられたね」
「怒ったけど、最後まで一緒にやれたね」
ここでほめるのは、負けなかったことではなく、戻ってきたことです。勝ったときだけほめていると、お子さまは「勝てないなら意味がない」と感じてしまいます。戻ってきたことをほめられると、「負けても、戻ればいいんだ」と学んでいきます。
小さな戻り方を見つけて、言葉にする。これを、毎日の暮らしの中でくり返していきましょう。
ただし、声をかけすぎないことも大切です。声かけは、うまくいかなかった瞬間と、戻ってこられた瞬間の2回で十分です。そのほかの時間は、少し離れて見守りましょう。お父様・お母様が見守ってくれている安心感が、戻ってくる力を支えます。
【小学校受験】声かけ4:お父様・お母様が負ける姿を見せる
ご家庭でゲームに負けたとき、お父様・お母様はどんな顔をしているでしょうか。
「あー、負けちゃった。悔しい。でも楽しかったな。次は勝つぞ」
このように、負けたあとの気持ちの切り替え方を、声に出して見せてあげてください。
逆に、お父様・お母様がいつもわざと負けていると、お子さまは負ける経験そのものが少なくなります。すると、考査ではじめて本気で負けて、動けなくなってしまうことがあります。ご家庭のゲームでは、ときには本気で勝ち、負けたときは本気で悔しがって、切り替える姿を見せましょう。
暮らしの中でどのように場面をつくればよいか迷う場合は、家庭学習サポートで、ご家庭に合った練習の形を一緒に考えることもできます。
【小学校受験】泣く・固まる・怒る、それぞれの向き合い方と家庭での練習
| お子さまの姿 | 家庭での関わり | 声かけの例 |
|---|---|---|
| 泣く | 泣くこと自体は止めず、泣き終わるまで待つ | 「次は何ができるかな」 |
| 固まる | 二つの選択肢を出して、選ばせる | 「青と白、どっちにする?」 |
| 怒る | 気持ちを言葉にする練習をする | 「何が嫌だったか、教えてくれる?」 |
固まりやすいお子さまには、毎日の暮らしの中で「靴下、青と白、どっちにする?」のように、選ぶ場面を増やしておくと効果的です。
怒りやすいお子さまは、気持ちが強いお子さまです。言葉にできたら「教えてくれてありがとう」と受け止めましょう。ただし、物を投げたり、お友だちをたたいたりしたときは、そこだけははっきり止めてください。「怒ってもいい。でも、たたくのはだめ」と、気持ちと行動を分けて伝えることが大切です。
家庭で「負ける場面」をつくるには、次のような方法があります。
- じゃんけんで決めることを増やす(お風呂に入る順番、絵本を選ぶ人など)
- 足りない場面をつくる(おやつを人数より一つ少なく出して、「どうしたら、みんなで分けられるかな」と考える)
- 待つ場面をつくる(公園のすべり台やお店のレジで、「いま、何番目かな」と数える)
注意したいのは、負ける場面は一日に一つまでにすることです。小さく、一日一つ。そして、戻ってこられたら言葉にする。このくり返しで、少しずつ戻ってくる力が育っていきます。
【小学校受験】行動観察で負けたときのよくある疑問
考査の本番で泣いてしまったら、もう終わりですか?
選考の基準は公表されていないため、言い切ることはできません。ただ、筆者は、泣いたあとに活動へ戻ろうとする姿にも意味があると考えています。家庭では、戻ってこられたことを言葉にする練習を続けましょう。
負けず嫌いな性格は、直したほうがよいですか?
直す必要はありません。悔しいと感じるのは、本気で取り組んでいる証拠です。大切なのは、悔しさを抱えたままでも、次に進めるようになることです。
きょうだいがいない場合、負ける場面はどうつくればよいですか?
お父様・お母様とのじゃんけんやカードゲーム、公園での順番待ちなどで、十分に経験できます。お友だちと遊ぶ機会があれば、そこでの様子も見守ってあげてください。
直前期でも、間に合いますか?
声かけは、今日からでも始められます。一日一つの小さな場面と、戻れたときの一言を続けることが大切です。直前期は、新しい練習を増やすよりも、ふだんの遊びや生活の中で、気持ちに名前をつける声かけを続けるほうが、お子さまの負担になりにくいでしょう。
幼児教室の行動観察の授業で、うまくいかなかったと聞きました。
まずは、どんな場面で、どんな様子だったのかを先生に聞いてみましょう。お子さまには、その日の失敗を問いただすのではなく、「今日はどんな遊びをしたの?」とやわらかく聞いてみてください。うまくいかなかった場面が話に出てきたら、「そのあと、どうしたの?」と聞き、戻ってこられたことがあれば、そこを言葉にしてほめてあげましょう。
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