①内容のチェック:一貫性と具体性
まず確認したいのは、願書全体に芯が通っているかです。次の4点を見直しましょう。志望理由と家庭の教育方針がつながっているか(「自主性を大切にしている家庭」なのに志望理由が「面倒見の良さ」だと、ちぐはぐな印象に)。その学校の特色に触れているか(どの学校にも当てはまる内容は熱意が伝わりません)。エピソードが具体的で我が家らしいか(一般論ではなく実際の出来事が入っているか)。面接で同じことを話せるか(願書と面接の食い違いは命取りです)。特に「志望理由→家庭の方針→お子さんの様子」が一本の線でつながっていると、読み手にすっと届きます。
②表現のチェック:読みやすさと言葉づかい
次に、文章そのものを整えます。一文が長すぎないか(40〜60字程度で区切ると読みやすい)、「貴校/御校」などの敬称が正しく使い分けられているか(書類は「貴校」、話し言葉は「御校」が基本)、誤字脱字や主語の抜けがないか、そしてネガティブな表現を前向きに言い換えているか(「落ち着きがない」→「好奇心が旺盛」など)。声に出して読むと、不自然な箇所や息継ぎのしにくい文に気づきやすくなります。同じ語尾(〜です。〜です。)が続いていないかも要チェックです。
③体裁のチェック:見た目の印象
内容が良くても、体裁で損をしてはもったいないです。指定の文字数・記入欄からはみ出していないか、黒のボールペンなど指定の筆記具で書かれているか、丁寧な字で書かれているかを確認します。本番にいきなり書くのではなく、必ず下書きで全体のバランスを見てから清書すると失敗を防げます。欄の8〜9割を埋めると、熱意とバランスの良さが伝わります。空白が多すぎても、ぎゅうぎゅう詰めでも印象が下がるので注意しましょう。
よくある見落とし
セルフ添削で見落としがちなのが、家庭の方針と志望理由のズレ、主語の抜け(誰の話か分からなくなる)、願書と他の提出書類の内容の食い違いです。また、父母で書く欄がある場合、二人の言っていることが矛盾していないかも確認を。提出前には、書いた本人以外の目で読み合わせると、こうしたズレに気づきやすくなります。
仕上げは「第三者の目」を借りる
自分では完璧に思えても、書いた本人には見えない癖や思い込みがあります。家族で読み合うだけでも気づきは増えますが、「学校との相性」「エピソードの選び方」など合否を分ける視点は、第三者・プロの目を通すとより確実です。セルフ添削で土台を整えたうえで、最終確認を専門家に任せるのが安心です。そして提出する願書は必ずコピーを保管を。面接対策の大切な資料になります。
セルフ添削で不安なら「願書代行」という選択肢も
セルフ添削で土台は整いますが、「これではまだ厳しい」というケースもあります。私の場合、願書添削のご依頼でも内容しだいでは、願書代行としてエピソードから作り直すことが少なくありません。
正直なところ、どこまで力を入れるべきかは「志望校への熱意」しだいです。「落ちてもどちらでもいい」という気持ちならセルフでも十分。でも、本当に合格したいなら——願書の出来で、面接での食いつきは大きく変わります。願書代行をご依頼いただいた方からは、「面接の冒頭で“願書をしっかり作ってくださってありがとうございます”と言われ、和やかな雰囲気で面接ができて合格した」という声をよくいただきます。
もったいないのは、お子さんにはペーパーや対策をたくさんさせているのに、セルフ願書がお子さんの足を引っ張ってしまうケースです。実際、全落ちされた後にご依頼くださった方の願書を拝見すると、まず願書そのものが良くないことが多いのです。そして全落ちしてしまうと、それまで「滑り止め」と考えていた学校でも倍率が上がり、入りにくくなってしまいます。
「なぜもっと早く願書に力を入れなかったのですか」と伺うと、「塾の添削でOKをもらったので、これで良いと思った」という答えが返ってきます。けれど、塾によっては誤字脱字もそのままでOKが出てしまうこともあります。本当に受かりたいと思うなら、願書と面接にこそ力を入れてください。
■ 願書作成サポート・添削/願書代行
「これでは厳しい」という場合は、エピソードから作り直す願書代行も承っています。願書で面接の流れは大きく変わります。 ▶ 願書作成サポート・添削はこちら
■ 個別受験相談
願書や面接にどこまで力を入れるべきか、志望校への熱意やご家庭の状況に合わせて個別にお話ししています。 ▶ 個別相談はこちら
セルフ添削は「3週間前から」逆算して進める
自分で添削するときにいちばん多い失敗は、締め切りの数日前にまとめて見直そうとすることです。書いた直後の文章は、どれだけ読み返しても粗が見えません。次のように、日を空けながら進めてください。
- 3週間前……材料を集めます。お子さまの写真やアルバムを見ながら、出来事を箇条書きで20個ほど書き出すだけ。文章にはしません
- 2週間半前……その中から3つ選び、1つずつ200字程度で書きます。まだつなげません
- 2週間前……志望理由とつなげて、全体を通しで書きます。ここで長くなっても構いません
- 10日前……1日置いてから、内容のチェックだけをします。事実が入っているか、志望理由と結びついているか
- 1週間前……表現のチェック。長い文を切り、同じ言葉の重なりを直します
- 5日前……声に出して読みます。息が続かない文は必ず長すぎます
- 3日前……清書。清書は思った以上に時間がかかります。1日で終わらせない前提で組んでください
- 前日……体裁だけを確認します。文章はもう直しません
日ごとに見る観点を1つに絞るのが、この進め方の要点です。内容と言葉づかいと見た目を同時に見ようとすると、どれも中途半端になります。
書き換えの実例|自分で直すと、こう変わります
「具体的に書きましょう」と言われても、手が動かないものです。よくある書き方を、どう直すのかを3つお見せします。
例1 性格を形容詞で並べている
直す前は、「明るく素直で、思いやりのある子です」。3つの言葉が並んでいますが、読み手には何も残りません。直したあとは、「幼稚園で転んだお友達に、いつも最初に駆け寄る子です。先生から、そのことを二度お伝えいただきました」。形容詞を1つに絞り、それを裏づける場面を1つ添えるだけで、印象が変わります。
例2 志望理由が学校の説明の写しになっている
直す前は、「貴校の国際教育と、豊かな自然環境に魅力を感じました」。学校がいちばんよく知っていることを書いても、読み手には何も伝わりません。直したあとは、「学校説明会で、上級生が下級生の手を引いて案内していた姿が忘れられません。息子にも、教わる側から教える側へ変わる経験をさせたいと考えました」。見たものを1つ書けば、それだけでほかのご家庭と重なりません。
例3 文が長く、主語が途中で変わっている
直す前は、「私どもは日頃から自分のことは自分でするよう心がけており、娘も年少の頃から身の回りのことを自分でできるようになり、幼稚園でも役に立っているようです」。一文の中で主語が3回変わっています。直したあとは、「わが家では、自分のことは自分でするよう伝えてきました。娘は年少の終わりから、朝の支度を一人でしています」。一文一意にするだけで、読みやすさは大きく変わります。目安は、一文40字前後です。
セルフ添削についてよくある質問
Q 夫婦で見ると、意見が食い違って進みません
見る順番と役割を分けてください。まず一方が内容だけを見て、次にもう一方が表現だけを見ます。同じ原稿を同時に見ると、必ず好みの話になります。どうしても割れたときは、「学校の言葉に近いのはどちらか」で決めてください。
Q 書くことが思いつかず、手が止まります
思い出そうとするから止まります。写真を見てください。この1年の写真を順に見ながら、写っている場面を口に出すだけで、材料は出てきます。文章にするのはあとです。それでも出ないときは、幼稚園の先生や祖父母に「最近のこの子で、印象に残っていることはありますか」と聞いてみてください。
Q 同じ内容を複数の学校に使い回してもよいですか
エピソードは同じで構いません。使い回してはいけないのは、志望理由のほうです。ただし、同じ出来事でも、学校によって書く角度は変えられます。たとえば同じ「工作が好き」という話でも、ものづくりを大切にする学校なら熱中する姿を、集団生活を重んじる学校なら友達と一緒に作った場面を書く。素材は同じでも、切り口を変えれば別の文章になります。
Q 自分では、もう良し悪しが分かりません
同じ文章を何度も読むと、判断がつかなくなるのは当然です。1日空けるか、印刷して紙で読むか、家族以外に読んでもらってください。健康状態欄など、書き方に迷いやすい項目は健康状態欄の書き方もあわせてご覧ください。第三者に見てもらいたい場合は、願書作成サポートもご利用いただけます。
まとめ
願書のセルフ添削は、内容・表現・体裁の3視点で見直すのが基本です。特に「一貫性」と「具体性」、そして「面接で話せるか」を意識すると、完成度がぐっと上がります。自分で土台を整えてから第三者の目を借りる——この二段構えが、後悔のない願書づくりへの近道です。
Q. 自分で添削すれば、プロの添削は不要ですか?
A. セルフチェックで完成度は確実に上がります。ただし「学校との相性」「エピソードの選び方」など合否を左右する視点は第三者の目が有効です。最終確認として活用すると安心です。
Q. 願書はコピーを取っておくべきですか?
A. はい。提出後は面接対策の大切な資料になります。下書きと、提出する願書の控えは必ず保管しましょう。
Q. 記入欄はどのくらい埋めるべきですか?
A. 8〜9割を目安に埋めると、熱意とバランスの良さが伝わります。空白が多すぎても詰め込みすぎても印象が下がるので注意しましょう。
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