小学校について、詳しく教えていただけますか?
小学校受験では、多くの国立・私立小学校がペーパーテストを実施しています。このペーパーテストは、単に学力を測るものではなく、思考力・記憶力・判断力など、さまざまな能力を総合的に見るための試験です。
そのため、小学校受験では年長児にひらがなを書かせることは基本的にありません。一部例外として自分の名前を書く学校はありますが、多くの場合はプリント上に、
・◯・△・□・×
といった記号を書かせる程度です。
しかし「記号を書く程度」とはいえ、筆圧が弱すぎる・形が崩れている・先生が読み取れないといった状態では評価につながりません。そこで重要になるのが「運筆」です。
大切なのは、以下の3点です。
・運筆とは何か
・運筆練習で伸びる5つの能力
・年齢別|運筆練習の進め方
小学校の個別相談、家庭学習サポート、願書作成、面接対策を行う筆者が詳しく解説していきます。
小学校を受験される方は、ぜひ参考にしてくださいね!
運筆とは何か
運筆とは、文字や絵を書く際の筆の運び方・動かし方を指します。
知育の観点では、
・目で見たものを手で再現する力
・手や指の力をコントロールする力
・線や形を正確に表現する力
といった能力を総合的に育てるものです。
大人は無意識に行っている「鉛筆の力加減」や「線の太さの調整」も、幼い子どもにとっては未知の感覚です。
クレヨンを渡すと、線が極端に薄くなったり、逆に力が強すぎて紙が破れてしまったりするのは、筆圧の感覚がまだ身についていないためです。
この「どれくらいの力で書くと、どのような線になるのか」を体感的に学ぶのが、運筆練習の大きな目的です。
運筆練習で伸びる5つの能力
認知能力
運筆を通して、文字や形を認識する力、読み書きの基礎が育ちます。
小学校受験では文字を書く機会は少ないものの、文字が読めることで絵本や図鑑を自分で読むことができ、語彙力や知識の幅が広がります。
巧緻性
鉛筆やクレヨンを握り、線や形を書くことで、指先や手のひらの細かな動きが鍛えられます。
巧緻性は、ボタンかけ・紐通し・紐結びなど、受験で必要となる課題にも直結します。
思考力
「どうすればもっと濃く書けるか」「力を入れすぎるとどうなるか」など、試行錯誤の経験が思考力を育てます。
すぐに大人が手を出さず、考える時間を与えることが重要です。
創造力
運筆ができるようになると、線や色の濃淡を使った表現が可能になります。
お絵描きや図形表現を通して、創造力の幅が広がっていきます。
集中力
線をなぞる、枠内に収める、見本を再現するなどの作業は集中力がなければできません。
毎日短時間でも運筆に取り組むことで、集中する力が自然と身についていきます。
年齢別|運筆練習の進め方
1歳半頃〜
物をぎゅっと握れるようになったら、まずはなぐり書きから始めます。
線や形になっていなくても問題ありません。
おすすめの道具
・太めのクレヨン
・口に入っても安全な素材のクレヨン
2〜3歳頃
なぐり書きに慣れてきたら、
・たて線
・よこ線
など、まっすぐな線をなぞる練習を取り入れます。
線の始まりと終わりを意識させることがポイントです。
3〜4歳頃
次に、
・波線
・ジグザグ線
・◯ △ □ ×
などの図形や記号へ進みます。
これは小学校受験で実際に書く形に直結します。
ひらがな練習について
ひらがなは五十音順で書く必要はありません。
「し」「く」「て」「い」「こ」など、単純な形から始めるのがおすすめです。
同時に「読む力」も一緒に育てることで、
「読めるから書きたい」という自然な流れが生まれます。
運筆練習で注意したいポイント
・無理に早く始めなくてよい
・「やらされている練習」にならないようにする
・嫌がる場合は一度中断する
・紙とタブレットの併用も可
運筆は大切ですが、勉強嫌いにつながってしまっては本末転倒です。
お子さまが楽しめる方法を最優先に考え、親御様の精神的負担にならない範囲で続けましょう。
まとめ
・運筆とは、筆の運び方・動かし方のこと
・小学校受験では記号を書く力として重要
・認知能力、巧緻性、思考力、創造力、集中力が育つ
・開始時期は1歳半頃が目安だが個人差あり
・遅く始めても、コツコツ続ければ必ず身につく
小学校受験対策としても、その後の小学校生活のためにも、運筆は非常に有効な家庭学習です。
無理なく、楽しく取り入れていきましょう。
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家庭でできる運筆練習の手順と、道具のえらび方
運筆は、やる時間の長さより「どんな順番で、どんな道具で」やるかで伸び方が変わります。ここでは明日から始められる形にまとめます。
線を練習する順番
線には、やさしい形と難しい形があります。次の順に進めると、途中でつまずきにくくなります。
- 1.たての線……上から下へ。いちばん力が入りやすく、成功しやすい線です。
- 2.よこの線……左から右へ。手首ではなく、ひじから動かす感覚をつかみます。
- 3.ななめの線……方向がまざるため、ここで急に難しくなります。あせらず回数を重ねてください。
- 4.まがった線・波の線……手首の力をぬく練習になります。
- 5.ぐるぐる(うずまき)……内から外、外から内の両方をやります。
- 6.折れ線・かこむ線……最後に、角で一度止まって方向を変える練習に進みます。
道具は「持ちやすさ」と「濃さ」で選ぶ
- えんぴつは、しんが濃くやわらかいものを選びます。うすいしんは強く押しつける原因になり、手が疲れて長く続きません。
- 軸が三角のものや、少し太めのものは、指の置き場所が決まりやすく、持ち方が安定します。
- クーピーやサインペンばかりを使うと、力の加減を覚える機会が減ります。色をぬる道具と、線を引く道具は分けてください。
- 消しゴムはよく消えるものを1つだけ。何度も消せると分かると、線をていねいに引かなくなることがあります。
姿勢と紙の置き方を先に整える
線が思うように引けない原因は、手ではなく体にあることがよくあります。いすに深くすわり、足のうらが床か足台につく高さにします。紙は体の正面に置き、使わないほうの手で紙を押さえる。この2つを整えるだけで、線は目に見えて変わります。押さえる手が育っていないときは、巧緻性のトレーニングを先に入れると近道になります。
1回の時間と、やめどきの決め方
1回は3分から5分で十分です。長くやるほど持ち方がくずれ、直しにくいくせがつきます。線がふるえ始めたら、それが疲れの合図です。そこで止めて、次の日に回してください。毎日少しずつのほうが、週末にまとめてやるより確実に伸びます。家庭学習の進め方の中に、机に向かう最初の3分として組みこむと続きます。
やりがちな失敗と、その理由
- 持ち方を何度も言葉で注意する……言われるほど手が固くなります。直したいときは言葉ではなく、書き始める前に一度だけ手を添えて形をつくり、あとは黙って見てください。
- はみ出したところを消させる……消す作業が増えると、線を引くこと自体が嫌になります。はみ出しは気にせず、次の1本をていねいに引かせるほうが早く整います。
- いきなり文字を書かせる……文字は線の集まりです。線が安定する前に文字に進むと、形をまねるだけになり、運筆の力は育ちません。
運筆についてよくある質問
Q. 筆圧が強すぎて、紙が破れてしまいます。
しんがうすいえんぴつを使っていないかをまず確かめてください。濃いしんに変えるだけで力がぬけることがあります。それでも変わらないときは、下じきを外して少しやわらかい面で書かせる、大きな紙にのびのびと線を引かせる、といった方法が向いています。力の加減は、ねん土やひも結びのような手を使う遊びでも育ちます。
Q. 筆圧が弱く、線がうすいです。
にぎる力そのものが育っていないことが多いため、洗たくばさみをつまむ、シールをはがす、といった指先を使う遊びを増やしてください。書くときは、大きくはっきりした線を1本だけ引かせて、その1本をほめる形にすると変わってきます。
Q. 左ききは直したほうがよいですか。
無理に直す必要はありません。左ききのお子さまは、書いた線が自分の手でかくれてしまうため、紙を少し右に傾けて置くと見やすくなります。はさみなど道具のほうを左きき用にそろえてあげるほうが、効果があります。
Q. ペーパーの時間と、どう分ければよいですか。
運筆はペーパーの前の準備運動として使うのがおすすめです。最初の3分を運筆にあて、そのあと問題に入る形にすると、線がていねいになり、解答の書き方も安定します。1日の量の決め方はペーパーは1日何枚が目安かもあわせてご覧ください。
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