神奈川県の私立小学校の中でも、横浜雙葉小学校は女子校最高峰の難関校としてその地位を確立しています。
カトリック精神を建学の根幹とし、「神・他者・自己に対し、誠実であれ」という明確な教育理念を掲げています。中学校・高等学校との連携による一貫教育を通して成長する卒業生の社会的な評価と高い品格が、長きにわたり保護者の絶大な信頼を集めてきました。
本記事では、この伝統と格式ある横浜雙葉小学校の入試倍率の高さや傾向を分析し、合格を勝ち取るための準備と心構えについて、お受験のプロが詳しく解説します。
【横浜雙葉小学校】最新の入試倍率
まずは、横浜雙葉小学校の直近の入試倍率や合格者数の目安について確認しておきましょう。
横浜雙葉小学校の入試倍率の推移
| 年度 （試験実施年度） | 倍率 | 志願者数 | 合格者数 *系列附属園からの進学者を除く定員 |
| 2024年 | 4.5倍 | 365 | 約80 |
| 2023年 | 4.3倍 | 343 | 約80 |
| 2022年 | 5.0倍 | 402 | 約80 |
| 2021年 | 5.4倍 | 435 | 約80 |
| 2020年 | 4.2倍 | 335 | 約80 |
※倍率は弊社の独自調査により算出
【2025年入試】他の小学校との倍率の比較
| 学校名 | 倍率 | 定員 （＊小学校からの募集定員） |
| 雙葉小学校（女子校） | 非公表 | 約40 |
| 田園調布雙葉小学校（女子校） | 5.4倍 | 約50 |
| 青山学院横浜英和小学校（神奈川県/共学） | 2.6倍 | 66 |
| 鎌倉女子大学初等部（神奈川県/共学） | 1.2倍 | 90 |
| 清泉小学校（神奈川県/共学） | 1.1倍 | 約114 |
| カリタス小学校（神奈川県/共学） | 4.0倍 | 108 |
| 湘南白百合学園小学校（神奈川県/女子校） | 1.3倍 | 約70 |
| 白百合学園小学校（女子校） | 非公表 | 60 |
| 聖心女子学院初等科（女子校） | 4.5倍 | 96 |
| 東洋英和女学院小学部（女子校） | 12.8倍 | 50 |
| 慶應義塾幼稚舎（共学） | 10倍 | 144 |
| 学習院初等科（共学） | 9.0倍 | 80 |
※倍率は弊社の独自調査により算出
横浜雙葉小学校は、その伝統と格式から、神奈川県内の女子小学校受験において群を抜いた倍率の高さを誇っています。神奈川県の私立小学校受験解禁日は毎年10月の第3週～第4週の平日に集中していますが、横浜雙葉は県内校の第一志望としてだけでなく、都内名門伝統女子校の併願先として非常に高い人気を博しているため、神奈川県内だけでなく都内からも多くの志願者が殺到し、高倍率の大きな要因となっています。
この高倍率の背景には、受験日程を巡る複雑な併願戦略が関係しています。神奈川県内では、居住エリアにもよりますが、同じカトリック系の女子校である湘南白百合学園小学校が第一併願の候補となります。他にも清泉小学校や青山学院横浜英和小学校なども視野に入りますが、多くの学校が同一受験日で重なりやすいため、選択が非常に難しいのが実情です。
さらに、都内との併願を考える際、同じ「雙葉」系列の雙葉小学校や田園調布雙葉小学校は、11月1日（一日校）に試験日が設定されていることが多く、日程の組み方が非常に重要になります。横浜雙葉を第一志望に据えるか、都内校を主軸とするかによって、その戦略は大きく変わります。
合格を勝ち取るためには、10月下旬に実施される横浜雙葉の試験と、11月2日以降に試験を行う女子校を上手に組み合わせて、緻密な併願戦略を立てる必要があります。単なる学力だけでなく、ご家庭の決断力と情報収集力も試される難関と言えるでしょう。
【横浜雙葉小学校】倍率以上に合格が難しいと言われる理由
横浜雙葉小学校の入試競争率は、例年4.5倍から5.5倍程度で推移しており、神奈川県内の女子校としては大変高い数字で推移しています。
そして、横浜雙葉小学校の入学考査は、この額面上の倍率だけでは測れない難しさが存在すると広く認識されています。
なぜ横浜雙葉は、その数値を超越した難関と見なされるのでしょうか。横浜雙葉小学校の合格が困難を極める主な理由は、その特殊な学校の立ち位置と入試日程の構造にあります。
神奈川県における希少なカトリック女子校としての求心力
横浜雙葉小学校の考査が難しいとされる最大の要因は、神奈川県内でのカトリック系女子校のパイの小ささにあります。
都内にはカトリックの教えを核とする名門校が多数存在する一方、神奈川県内では、カトリックを軸とする女子教育校は横浜雙葉小学校、湘南白百合学園小学校のたった2校だけ。共学校を視野に入れても、清泉小学校など限られた数の学校しか、カトリック教育を志向する家庭の受け皿とはなれないのです。
特に横浜雙葉小学校は、県内最高峰の伝統校として、これらの学校を志望する家庭の「最上位校」として必ず受験希望校として検討されます。
結果として、受験層が非常に濃密になり、辞退を見越した「滑り止め」層が少ないため、見かけの倍率以上に合格者一人あたりの競争が激しくなります。
都内名門校と重なる「最高の併願先」という宿命
入試日程の構造も、難易度を押し上げる最大の要因です。横浜雙葉小学校の試験日は、多くの都内名門校が実施する事前面接期間と重なりやすい位置にあります。
この日程の厳しさから、毎年、「都内女子校の事前面接と重なってしまい本試験が受けれなかった」「横浜雙葉小学校を優先することで、都内チャレンジ校に挑戦できなかった」といった声が後を絶ちません。せっかく併願先として考えていても、居住地や志望優先度によって、都内校の面接か横浜雙葉小学校の試験か選択を迫られることになります。
特に、都内受験生にとって横浜雙葉小学校は、11月1日以降の都内最難関校の受験前に「力を試す」「都内がダメでも、横浜雙葉小学校なら引っ越してでも通わせたい」と思わせるほどの魅力ある併願先と見なされますが、このように安易な「都内の前哨戦」とはいえない構造こそが、横浜雙葉小学校の難しいところであり、「本気度」を問う学校側からの強いメッセージとも取れるのです。
この併願層は、すでに都内最難関校対策を積んでいるため、受験生の質を飛躍的に高め、純粋に合格ラインが底上げされ、難易度が上がります。
二次募集・複数日程がない「一発勝負」の厳しさ
横浜雙葉小学校の難しさの決定的な要因は、入試が原則として1回の試験日しか設けられていない点にあります。
神奈川県内の多くの私立小学校が、受験生に機会を広げるため二次募集や複数日程での試験を実施し、複数回の受験を可能としているのに対し、横浜雙葉小学校はその高い人気と伝統から試験を1回しか行いません。
これは、受験生にとって「失敗が許されない一発勝負」を意味します。当日の体調や精神状態が合否に直結しやすく、この「一回限り」という構造自体が、他の複数日程の学校にはない特有の厳しさとプレッシャーを生み出しているのです。
【横浜雙葉小学校】限られた合格定員を手にするためには
公表されている入試倍率の数値を見るだけでも、横浜雙葉小学校に合格することが大変難しいことが分かります。
そして、その実態は、単なる知識量ではなく、入試問題の質の高さ、ご家庭の教育方針、そして学校の建学理念との深い一致が多角的に問われる、イメージにそぐわない極めて厳しい選抜が行われています。
限られた合格定員を手にするために、受験生のご家庭が必ず押さえておくべき3つの重要なポイントを徹底的に解説していきます。
学校理念と家庭の整合性を示す「願書対策」
横浜雙葉小学校の入学考査において、願書は単なる書類以上の意味を持ちます。特に同校が重視する「誠実さと責任感」の教育方針に、ご家庭が日頃からどのように取り組み、お嬢さまを育てているのかという整合性が厳しくチェックされるのです。
願書では、お嬢さまの特性を語る際に教育理念に結びつく具体的なエピソードが必要となります。単なる褒め言葉ではなく、ご家庭の躾や環境が、いかに「神、他人、自分に誠実」であることに繋がっているかを論理的に記述し、一貫教育の中でお嬢さまをどのように成長させたいかという明確なビジョンとともに熱意を持って伝えることが求められます。
ご家庭の品格と責任感を問う「面接対策」
横浜雙葉小学校の面接は、願書で示したご家庭の姿勢や教育力を直接検証する場です。特に横浜雙葉では、保護者の品格、言葉遣い、立ち居振る舞い、そして教育に対する責任感が厳しく評価されます。
夫婦間で教育方針に一貫性があり、協力体制が取れているかを見られるため、面接での回答にブレがないよう、学校理念に対する深い理解と共有が不可欠です。また、派手なアピールよりも、謙虚で誠実な言葉で日々の生活や躾に対する真摯な姿勢を伝えることが重要であり、その「誠実さ」こそが、学校が求める資質と合致するのです。
試験の再現性と対応力を鍛える「行動観察・考査対策」
横浜雙葉小学校の考査は知識の確認だけでなく、お嬢さまの高い資質と、指示への正確な対応力を測る場です。特に、その場で初めて出会う指示や課題に対する高い再現性が求められます。
横浜雙葉小学校の試験の名物として知られる「お弁当考査」をはじめとする、日常生活から派生した行動観察や作業考査が特徴的です。お弁当考査では、食べる前の準備から、食事中のマナー、そして後片付けに至るまでの一連の流れが細かく観察されます。
これは、ご家庭での躾が行き届いているか、周囲に配慮しつつ自分のことを責任をもって遂行できるかという、学校が重んじる誠実さと生活力を測るものです。
また、通常の考査では、指先の巧緻性や、複雑な指示を正確に聞き取り、責任を持って最後までやり遂げる力が問われます。
日頃から親子の会話を通じた指示の確認と、制作課題に取り組む際の集中力が鍵となります。
行動観察においては、協調性と同時に主体性が求められ、他の子との関わりの中で、誠実さを持って接し、集団の中での役割を責任持って果たすことができるかという精神的な成熟度が評価の対象となるのです。
まとめ：ご家庭が一丸となること、それが横浜雙葉の合格を導く秘訣
横浜雙葉小学校の受験は、公表倍率の数値以上に厳しく、「表面的なテクニックで突破する試験」ではありません。 試験は、カトリックの愛の精神が根付いた、ご家庭の教育の積み重ねが自然と表れる場だからです。
当日の「一発勝負」の厳しさや、誠実さと責任感を問われる面接、お弁当考査に代表される生活マナーの確認など、多角的な選抜を経て、学校は理念に深く共感し、その精神を体現できるご家庭を選びます。
日々の生活を丁寧に過ごし、ご夫婦で教育観を共有しながら、親子で協力し奉仕の心を育んでいくことこそが、合格を勝ち取るための最大の対策となります。
もし、「具体的な対策をどこから始めればいいのかわからない」「今の準備で学校の求めるレベルに達しているか不安」と感じていらっしゃるなら、どうかお一人で抱え込まずにご相談ください。
私が、横浜雙葉小学校の受験を熟知したプロとして、ご家庭の状況に合わせて最適な対策プランを一緒に検討してまいります。
徹底したインタビューをもとに作成する完全オーダーメイドの願書作成代行や、想定Q＆A作成付きの面接レッスンなど横浜雙葉小学校に特化した対策を一緒に進めてまいります。ぜひ相談LINEからお気軽にご連絡くださいね。
