小学校受験において、運動テストはお子様の身体能力だけでなく、指示理解力や集中力を測る重要なテスト項目です。特に早稲田実業学校初等部の運動テストでは、一般的な体力測定とは異なり、日常生活や集団行動の中での動きが求められる課題が多く出題されます。
本記事では、早稲田実業学校初等部の運動テストにおける内容や評価の観点、そしてご家庭での効果的な準備方法について、プロが徹底解説していきます。
【早稲田実業学校初等部】運動(体操)テストとは
早稲田実業学校初等部の入試では、まず一次試験となる個別テスト(ペーパーテスト)と集団テスト(行動観察、絵画・巧緻性、生活習慣、運動テスト)が実施されます。それに合格した受験生だけが二次試験となる「親子面接」に進むことができます。
「運動テスト」は、集団テストの一環として実施されますが、各年を通して「指示行動、連続運動」が必ず出題されることが特徴です。
このテストで評価されるのは、単純な運動神経だけでなく、指示を正しく理解し、落ち着いて行動に移せるかという基本的な生活力や、周囲との関係性、状況判断力など多岐にわたります。
【早稲田実業学校初等部】運動(体操)テストが出題される理由
早稲田実業学校初等部の運動テストは、単にお子様の運動能力を測るだけのものではありません。その背景には、同校が掲げる教育理念や方針が強く反映されています。
早稲田実業学校初等部では、「心身の調和」を重んじる教育方針のもと、体操や運動を通じてお子様たちの心と体のバランスを整えることを重視しています。運動テストにおいても、体力や運動神経だけでなく、「指示理解力」「集中力」「協調性」といった心の面も同時に観察されているのです。
例えば、「指示行動」では試験官の指示を聞き取り、その内容を正確に理解して実行することが求められます。この課題では、指示された順番やタイミングを正確に守ることが重視されるため、ただ動作をこなすだけでなく、自分の行動をコントロールする冷静さも試されています。
また、「ケンパー」や「片足バランス」などの課題では、身体のバランス感覚やリズム感を問うと同時に、集中力や粘り強さが観察されます。転んでも立ち上がる力や、最後まであきらめずに続ける精神力が、評価の対象となることも少なくありません。
さらに、「動物模倣(動物模倣ダンス)」のような課題では、指示された動物の動きを正確に模倣しながら、リズムに合わせて動く協調性が求められます。これは、学校生活においても周囲と協力しながら行動する力を養う狙いが込められているのです。
このように、早稲田実業学校初等部の運動テストは、単なる身体能力の測定ではなく、心と体の調和を重視した総合的な評価テストとして位置づけられています。受験対策としては、運動能力を鍛えるだけでなく、日常生活の中で「指示を聞いて行動する力」「リズム感を養う遊び」「集中して取り組む習慣」を取り入れることが大切です。

【早稲田実業学校初等部】運動(体操)テスト例年の構成内容
早稲田実業学校初等部の運動テストは、年度によって細かな形式に差があるものの、概ね以下のような出題がなされます。
指示行動
「立って、右手を挙げる」「前に一歩出る」など、指示を正確に聞き取り、その通りに動作を行う課題です。順序やスピード、周囲との協調性も観察されます。
連続運動
複数の動作を順番に行う課題で、「片足ジャンプ→しゃがむ→立つ」のように、連続して動作を繰り返すことで、リズム感や体力、記憶力が問われます。
ケンパー
片足跳び(ケン)と両足跳び(パー)を繰り返す動作。決められた順番に従い、正確にリズムよく跳べるかが評価されます。
動物模倣
「ウサギのジャンプ」「クマの四足歩行」など、動物の動きを真似して表現する課題。協調性やリズム感も評価されます。
片足バランス
片足で10秒間静止するなど、バランス感覚と集中力が問われます。
【早稲田実業学校初等部】運動体操テストの試験内容
近年の運動テストの傾向を振り返ると、早稲田実業学校初等部が「お子様の個性」と「知的能力や社会性の調和」をどのように評価しているかが明確に見えてきます。
以下に挙げるのは、過去に出題された代表的な課題例です。いずれも、一斉に同じ動作を行うものではなく、瞬時の判断力や柔軟な対応力が求められる内容が特徴です。
※なお、運動テストの内容は実施日時やグループによって一部異なる場合があります。以下の例はあくまで参考情報としてご覧ください。
2024年度実施運動テスト
■内容
早稲田実業学校初等部の 2024年度運動テストでは、「連続運動」と「指示行動」が組み合わさった課題が出題されました。
床に描かれた印に従い、1回目はテスターの動きを真似しながら全員で行い、2回目は1人ずつ行う形式で行われました。
具体的な動作としては、「ケンパーケンパーケンパーで進む→コーンを回ってカニ歩きで戻る」「パーケンパーケンケンパーで進む→コーンを回ってウサギの身体表現で戻る」などがあり、ケンパーと動物模倣が組み合わされた課題が複数出題されました。
■特徴
この年度の特徴は、「ケンパー」と「動物模倣」の組み合わせが多用された点です。指示行動を取り入れながら、リズム感やバランス感覚、集中力が試されました。
さらに、動作の順番を間違えずに行えるか、連続する動作をスムーズに繋げられるかも評価ポイントとなりました。
2023年度実施運動テスト
■内容
早稲田実業学校初等部の 2023年度運動テストは、全グループ共通の内容で実施されました。テスターの動きに従い、全員で同じ動作を行いながら進む形式でした。
具体的な課題は、「スキップで進む→階段を3段上り壁にタッチ→階段2段目まで下りてマットの上に飛び降りる→カニ歩きで戻る→ボールを3回つく」といった一連の動作が含まれていました。
■特徴
この年度の特徴は、「階段の昇降」「ボールつき」など、運動能力と指示行動が組み合わされた課題が多かった点です。
運動の中に取り入れられた細かな指示を正確に理解し、順番通りに行動できるかが評価されました。
2022年度実施運動テスト
■内容
早稲田実業学校初等部の 2022年度運動テストは、「ケンパー」と「片足バランス」が中心に出題されました。
まずテスターが手本を見せ、その後、指示通りの順番で動作を行う形式で行われました。
具体的な課題は、「ケンで手を叩き、パーで手を広げる」という基本動作を繰り返し、「ケンパーケンパーケンケン」「ケンパーケンケンケンパー」といったリズムに合わせて進むものでした。さらに、「片足バランス」では左足・右足でそれぞれ10秒間の静止を行う課題も含まれていました。
■特徴
この年度の特徴は、「リズム感」と「バランス感覚」を測る課題が中心だった点です。お子様たちがリズムに合わせて正確に動作を行えるか、片足での静止を維持できるかが観察されました。
【早稲田実業学校初等部】家庭でできる運動テスト(体操)対策
運動テスト対策は、特別なトレーニングを積むよりも、生活の中で自然と身につけられるような経験を重ねていくことが大切です。
たとえば、ご家庭内でのちょっとした遊びや声かけが、お子様の観察力や自己制御力、協調性を育てる大きなきっかけになります。
1. 昔ながらの伝統遊びで基礎能力アップ
リズム感やバランス感覚を楽しく鍛えるためには、昔ながらの遊びを取り入れることが効果的です。例えば、「ケンケンパー」は片足跳びと両足跳びを交互に行うことで、体の使い方やリズム感が自然に身につきます。
さらに、「ゴムとび」ではゴム紐の高さを変えて跳ぶことで、脚力やタイミングを養うことができます。また、「グリコ(ジャンケン遊び)」では、勝ったら一歩進む、負けたら戻るなどのルールを加えることで、指示行動のトレーニングにも繋がります。
これらの遊びは、親子で楽しみながら行えるため、運動テスト対策だけでなく、日常の運動習慣づくりにも役立ちます。
ケンパーは、リズム感とバランス感覚を鍛えるために最適な運動です。家庭では床にテープで線を引き、「ケン(片足)」「パー(両足)」の動作を順番に行う練習を取り入れましょう。さらに、動作の順番を変えたり、手拍子を加えたりしてリズム感を強化することができます。
2. 命令ゲームで指示行動力アップ
親子で楽しめる「命令ゲーム」は、運動テストで出題される指示行動の練習に最適です。交互に命令を出し合い、相手がその通りに行動できるかをチェックします。
例えば、「3回ジャンプしてから右を向く」「両手を挙げて、片足で5秒間静止する」など、指示の内容をどんどん難しくしていきましょう。間違えた場合は次の人に交代するルールにすることで、遊び感覚で指示行動の練習ができます。
このゲームを繰り返すことで、指示を正確に聞き取り、順番通りに行動する力が自然と身につきます。また、親子で交互に指示を出すことで、お互いの観察力やコミュニケーション力も養われます。
運動テストで出題される指示行動は、「立って、右手を挙げて、前に一歩進む」などの細かい動作が含まれます。家庭内でも親が指示を出し、それをお子様が順番通りに再現する練習を行うことで、集中力や指示理解力が向上します。
3. 動物あてゲームで身体表現力を育てる
親子で楽しめる「動物あてゲーム」は、動物模倣の練習に最適です。カードに動物の名前をいくつか書いて裏返しにしておき、1枚ずつ引いて、その動物の動きを真似して他のメンバーに当ててもらうという遊びです。
例えば、「ウサギのジャンプ」「クマの四足歩行」「カエルの跳びはね」など、動物の特徴を体全体で表現することで、身体の使い方を学ぶことができます。お子様たちは、遊びの中で自然と各動物の特徴を捉える力が身につき、ただ「雲歩き」や「クマ歩き」と教えられるよりも、イメージが具体化されやすくなります。
この遊びは、親子で楽しみながら取り組めるため、運動テスト対策としてだけでなく、日常のコミュニケーションにも活用できます。
動物模倣では、指示された動物の動きをリズムに合わせて行います。家庭では、「ウサギのジャンプ」「カエルの跳びはね」「クマの四足歩行」などの動きを取り入れ、親子で一緒に楽しみながら身体表現力を育てることができます。
【早稲田実業学校初等部】運動体操テスト(指示行動)試験内容や対策方法についてプロが徹底解説!まとめ
早稲田実業学校初等部の運動テストは、単なる体力測定ではなく、指示行動やリズム感、バランス感覚など、お子様の総合的な身体能力を測る試験として位置づけられています。
さらに、運動テストの課題には、集団生活の中で必要な協調性や指示理解力も含まれており、運動能力だけでなく、日常生活の中で身につけておきたい基本的な力が問われる点が特徴です。
受験期間が進むにつれて、日々の生活の中で運動対策に時間を割くのが難しくなってくることもあるでしょう。だからこそ、今回ご紹介した「伝統遊び」や「命令ゲーム」、「動物あてゲーム」のように、楽しみながら体を動かす遊びを取り入れてみてください。
お子様にとっても、勉強の合間に遊び感覚で体を動かすことはストレス解消にもなり、結果的に集中力アップにも繋がります。親子で一緒に取り組むことで、絆も深まり、モチベーションも維持しやすくなるでしょう。
ぜひ、遊びながら楽しく運動テスト対策を進めてくださいね。