東京都港区にある東洋英和女学院小学部は、創立以来「敬神奉仕」を教育の柱とするキリスト教(プロテスタント)系の名門女子校です。
毎朝の礼拝から始まる一日は、祈りや感謝の心を育み、他者への思いやりが自然と身につく環境が整っています。
入試に限らず学校生活すべての面において、表面的な礼儀作法ではなく、家庭で培われた価値観や自然な所作が重視されます。
本記事では、東洋英和女学院小学部の学校情報や教育の特色をわかりやすく解説します。この記事を読めば東洋英和女学院小学部がどのような小学校かが一目で理解できますよ。
東洋英和女学院小学部の基本情報
まずは、東洋英和女学院小学部の基本情報をご紹介します。
学校名 | 東洋英和女学院小学部 |
校長 | 吉田太郎先生 |
共学/別学 | 女子 |
宗教 | プロテスタント |
創立年度 | 1888年 |
内部進学者数 (幼稚園から) | 30名 |
1クラスの児童数 | 40名2クラス |
教員数 | 42名(正教員28名 講師14名) |
給食/お弁当 | 給食(週5回) |
アフタースク-ル | なし |
所在地 | 〒106-0032 東京都港区六本木5-6-14 |
アクセス方法 | 東京メトロ日比谷線、都営大江戸線「六本木」駅より徒歩7分 都営大江戸線「麻布十番」駅より徒歩7分 東京メトロ南北線「麻布十番」駅より徒歩10分 |
学院標語 | 「敬神奉仕」 「心を尽くし、精神を尽くし、思いを尽くし、力を尽くして、あなたの神である主を愛しなさい。 (マルコによる福音書12章30節)」 「隣人を自分のように愛しなさい。 (マルコによる福音書12章31節)」 |
教育の目的 | 本校は、教育基本法 及び学校教育法に基づき、初等普通教育を施し、キリスト教による人間形成を重んじ、敬神奉仕の精神に富む女子を育成することを目的とする。 |
教育目標 | 「神さまのために人のために」 1. 造り主である神さまを覚えて、神さまと人のために生活できる子ども。 2. 隣人を愛し、進んで奉仕の生活ができる子ども。 3. 英和の子どもとして、礼儀正しく責任ある生活ができる子ども。 |
教育方針 | 教育の画一化を排し、教師との個人的触れ合いを重んじ、幼児期より青年期に至る各成長段階において、一人ひとりを大切にし、人格の目覚めと自立を促し、豊かな人間性を育てるとともに、国際性を養い、敬神と奉仕の精神を培う。 |
東洋英和女学院小学部の系列学校
次に、東洋英和女学院の系列校をご紹介します。
学校名 | 所在地 | 特色 |
東洋英和幼稚園(共学) | 〒106-0032 東京都港区六本木5-6-14 | 港区六本木の閑静な住宅街に位置する共学の幼稚園です。「敬神奉仕」の精神を大切にし、神さまへの感謝の心を育む教育を行っています。家庭的な温かさの中で、他者への思いやりや礼儀正しさを学び、感性豊かな心を育てる場です。 |
東洋英和女学院中学部・高等学部(女子) | 〒106-0032 東京都港区六本木5-14-40 | 中高一貫の女子校として、知性と品性を兼ね備えた女性の育成を目指しています。キリスト教の価値観に基づき、他者への奉仕や社会への関心を持つ力を育みます。英語教育や国際交流、幅広い課外活動が充実し、リーダーシップを養う機会も豊富です。 |
東洋英和女学院大学・大学院(女子) | 〒106-0032 東京都港区六本木5-14-40 | 「敬神奉仕」の精神を礎とし、女性の自立と社会貢献を目指す教育を実践。少人数教育で一人ひとりの個性を尊重し、教養と専門性を深めます。社会人としての実践力を養うプログラムや留学制度、国際交流も盛んで、女性の生き方を多角的に支えます。 |
【東洋英和女学院小学部】特色のある教育活動
ここからは、東洋英和女学院小学部が誇る、独自の教育活動について詳しくご紹介します。
「敬神奉仕」の精神に基づくキリスト教教育
東洋英和女学院小学部の教育の根底には、「敬神奉仕」という理念が息づいています。毎朝の礼拝や聖書の時間はもちろん、日常の学びや学校生活のあらゆる場面で、この理念が大切にされています。
朝夕の祈り、給食前後の感謝、行事ごとの祈りなども、子どもたち自身の言葉で捧げられ、日々の生活に深く根付いています。
また、東洋英和では創立当初から週5日制を採用しており、土曜日は授業を行わず、日曜日には各家庭の近くの教会学校に通うことが勧められています。
考える力を育む教科教育
東洋英和女学院小学部では、基礎学力の定着を大切にしながら、子ども一人ひとりの「考える力」を育むことを目指しています。
特に4年生以上では全教科担任制を導入し、教員同士が協力し合う体制を整えることで、子どもたちの個性や特性に合わせたきめ細やかな指導が行われています。
英語、音楽、体育、図工は1年生から専科教員が担当し、6年間を見据えたカリキュラムで深い学びが積み重ねられています。
豊かな体験を通じて成長する行事
校外学習や宿泊行事も東洋英和女学院小学部の大きな魅力のひとつです。
軽井沢・追分寮での夏期学校をはじめ、学年ごとに特色ある行事が用意されており、運動会や学芸会といった学校行事も子どもたちにとって心に残る体験となっています。
これらの機会を通じて、子どもたちは多くのことを学び、大きく成長していきます。
国際教育への取り組み
東洋英和女学院小学部では、国際的な視野を育む教育にも力を入れています。
2003年からは、同じキリスト教学校である韓国の梨花女子大学附属初等学校との交流を続けており、祈りを分かち合いながら友情を深めています。
こうした学びを通じて、子どもたちは広い世界に目を向け、平和な未来を築く一員となることを目指しています。
日々の学校生活で育まれる人間性
東洋英和女学院小学部の学校生活では、子どもたちの豊かな人間性を育むことも大切にされています。
広い食堂で全校児童と教員が一緒に給食をいただく習慣は、学院の創立当初から続く伝統のひとつ。上級生が下級生のお世話をする中で、思いやりの心が自然と育まれています。
また、担当教員以外の先生たちも子どもたち全員の顔と名前を覚え、気軽に声をかけるなど、学校全体で子どもたちを見守る姿勢が徹底されています。
保護者との密な連携も大切にしており、明るい挨拶や礼儀正しい振る舞いなど、基本的な生活習慣の指導も丁寧に行われています。
学年間・部門間の連携を生かした教育
幼稚園との交流行事や、中高部との教科指導の連携、クラブ活動を通じたつながりなど、一貫教育ならではの取り組みも豊富です。
また、大学生が宿泊行事のサポートに入るなど、学院全体で子どもたちを育む環境が整っています。
保護者とともに支える学校生活
東洋英和女学院小学部には、長年続く「母の会」の活動に加え、2002年からは「父の会」も発足し、学校への理解と協力のもと、保護者の方々が積極的に学校生活を支えています。
行事や活動を楽しみながら取り組む姿勢が、子どもたちの笑顔と健やかな成長につながっています。
東洋英和女学院小学部に向いているお子さま・ご家庭
このような魅力あふれる東洋英和女学院小学部と相性が良く、向いているお子さま・ご家庭像とはどのようなものでしょうか。「お子さまの特徴」と「ご家庭の特徴」に分けて解説します。
東洋英和女学院小学部に向いているお子さまの特徴
礼儀正しさが自然とにじみ出るお子さま
東洋英和女学院小学部では、所作や言葉遣いなど、表面的な「きちんと感」ではなく、心からの思いやりが行動に表れる品位を大切にしています。
たとえば、ドアの開け方ひとつ取っても、後から来る人への配慮を忘れず、そっと支える姿勢が自然と身についているお子さま。友達や先生の話を聞くときも、目を見てうなずき、丁寧に返事ができるなど、周囲への心遣いが日常の中に溶け込んでいる姿勢が求められます。
こうした礼儀正しさは、家庭での親御さまの振る舞いや言葉の積み重ねから育まれるものです。
周囲を思いやり、「自分よりも誰かのために」と考えられるお子さま
東洋英和女学院小学部が重んじるのは、周りの人へのあたたかなまなざしです。
困っている友達に「何かできることはある?」と声をかけたり、意見を述べる前に「みんなはどう思う?」と場を整える姿勢が自然と出るお子さまは、まさに英和の求める人物像に合致します。
自分の意見を通すよりも、「みんなで良い時間を過ごすには?」と考え、行動できる優しさが大切にされます。
小さな喜びや感謝を言葉にできるお子さま
東洋英和女学院小学部では、日々の生活の中で、小さな幸せや感謝を見つけ、それを素直に言葉にできる感性を大切にしています。
たとえば、「お母さんが作ってくれたお弁当がとても美味しかった!」と笑顔で伝えたり、「今日は空が青くて、風が気持ちよかったよ」と自然の美しさに気づいたり。「先生が今日も親切だったな」「一緒に遊んでくれたお友達にありがとうって言いたいな」と、誰かの優しさを受け止め、感謝の気持ちを表す姿が、自然とにじみ出ているお子さまが多く見られます。
こうした感受性は、家庭での会話や何気ないやり取りの中で少しずつ育まれていくものです。日々の生活で「ありがとう」を伝える習慣や、季節の移り変わりに気づき、心を動かす瞬間を大切にする時間が、子どもの豊かな心を育てます。
東洋英和女学院小学部に向いているご家庭の特徴
キリスト教的価値観への理解と共感があるご家庭
東洋英和の教育は、宗教行事の参加や形式的な信仰の有無ではなく、「神さまを敬い、人に仕える」という精神への共感が土台です。
食事の祈り、日々の感謝の言葉、誰かを思う気持ちを大切にする姿勢が自然と息づいているご家庭は、英和の理念と響き合います。
面接でも、そうした価値観が「説明」ではなく「日常の習慣」として表れているご家庭が好印象を持たれ、またご縁を結ぶ傾向にあります。
謙虚で誠実、学ばせていただく姿勢を持つご家庭
東洋英和では、親御さまの経歴や肩書きよりも、ご家庭の姿勢そのものが大切にされています。合格されたご家庭には、「まだまだ学ばせていただく立場です」という謙虚さがにじみ出ています。
たとえば面接でのやり取りも、「子どもをこのように育てました!」と自慢するのではなく、「子どもの特性を受けとめ、共に育ち合いたい」という謙虚で誠実な姿勢が自然に表れるようなご家庭が合格を得ています。
学校との信頼関係を大切にし、積極的に協力できるご家庭
「学校が何を提供してくれるか」ではなく、「私たちは学校に対して何ができるか」という奉仕の心を持つご家庭が、東洋英和では歓迎されます。
母の会や父の会、学校行事への参加はもちろんのこと、学校の方針を尊重しながら「できることを喜んでさせていただく」「協力することを喜びと感じる」といった柔らかな姿勢が、信頼関係を築く土台となり、また学校側も好意的に受けとめてくれます。
まとめ:東洋英和女学院小学部は「敬神奉仕」の精神を育む伝統校
東洋英和女学院小学部は、礼儀正しさや他者を思いやる心を大切にし、ご家庭と共に子どもたちを育む教育を行う、魅力あふれる女子校です。
その穏やかで品のある校風やしっかりとした宗教教育は、小学校受験でも非常に高い人気を誇り、入学試験を突破することは決して容易ではありません。
日々の家庭での育ちや価値観が問われる入試であるからこそ、東洋英和女学院小学部を目指すご家庭は、親子で心を整え、真摯な姿勢で向き合う姿勢が求められます。