東洋英和女学院小学部は、首都圏でも特に高い人気と難易度を誇る名門私立女子校のひとつです。落ち着いた教育環境と、キリスト教に根ざした理念ある教育方針に共感するご家庭から高い支持を集めており、入試では知識や技能だけでなく、ご家庭の価値観やお子さまの人間性まで多角的に問われます。
本記事では、そんな東洋英和女学院小学部の試験内容について、過去の傾向をふまえた詳しい解説と、合格へ向けた実践的な対策をプロの視点でお届けします。
これから受験準備を始めるご家庭はもちろん、今の対策で十分か不安を感じている方にとっても、具体的なヒントが得られる内容です。東洋英和の“本質”を理解し、しっかりと備えるための第一歩として、ぜひ最後までご覧ください。
【東洋英和女学院小学部】入試内容の概要
まずは、東洋英和女学院小学部でどのような入学試験が行われているのか。その概要について詳しくご紹介します。
試験日程・試験時間
東洋英和女学院小学部の試験日程・試験時間について簡単にご紹介します。
試験日程 | 受験者試験:2025年11月3日(月) 親子面接:10月中旬ごろより順次 | |
試験時間 | 1時間30分〜2時間 | |
合格発表 | 11月4日(火)18時から11月5日(水)正午の間に、Webで発表。 |
募集人数と受験者数
東洋英和女学院小学部の募集人数・受験者数についてご紹介します。
募集人数 | 第1学年 80名 (東洋英和幼稚園からの進学者30名を含む) |
東洋英和女学院小学校の1学年定員は80年ですが、毎年附属の東洋英和幼稚園より30名が内部進学してくるため、実際はたった50人という少人数の定員枠となります。
試験実施年度 | 募集人数 | 志願者数 | 合格者数 | 内部進学者数 |
2024年度実施 | 50 | 642 | 50 | 30 |
2023年度実施 | 50 | 585 | 50 | 30 |
2022年度実施 | 50 | 581 | 50 | 30 |
2021年度実施 | 50 | 595 | 50 | 30 |
2020年度実施 | 50 | 592 | 50 | 30 |
そんな激戦と言える枠に対し、毎年600人前後の志願者が殺到することで、東洋英和女学院小学部の合格難易度をさらに底上げしていると言えます。
詳しくはこちら▶
https://docs.google.com/document/d/14q410XcxoW05vcATvitCTr4DBLFzp1vSwEyCxoSEbWo/edit?tab=t.0
【東洋英和女学院小学部】2024年度実施(2025年度入学)試験内容の傾向
東洋英和女学院小学部の2024年度考査では、前年と同様に、ペーパーテスト・個別テスト・集団テスト・運動テストの4つの形式で試験が行われました。
ペーパーテストでは「お話の記憶」「数量」「推理・思考」といった幅広い分野が取り上げられ、総合的な力が求められました。
個別テストでは生活習慣に関する設問や制作課題が出題されましたが、2023年度に見られたブロックを使った出題は今回は実施されませんでした。
なお、筆記用具に関しては、2022年・2023年度は持参の指示がありましたが、今年度も前年同様、学校側で準備されたものを使用する形となりました。
【東洋英和女学院小学部】ペーパーテストの出題傾向と内容
東洋英和女学院小学部のペーパーテストは、「話の記憶」「話の理解」「数量」「言語」「常識」「推理・思考」など、さまざまな領域からバランスよく出題されるのが特徴です。
また、問題の指示内容をしっかりと聞き取り、正確に理解して対応する力も重視されています。
数量
指示をしっかり聞いていないと理解できない設問があることが特徴です。一度きちんと図形的に把握し、いちばんその数を操作できるスピードでできるよう練習しましょう。
図形
図形問題では、同図形発見や重ね図形、回転・鏡映といった空間認識力を試す内容が出題されます。視覚的に捉える力と、図形の構造や変化を論理的に理解する力の両方が必要です。図形に苦手意識がある場合は、段階的なトレーニングが効果的です。
常識
生活や自然に関する「常識」分野では、身近な知識や季節の行事、動植物に関する基礎的な知識が問われます。単なる暗記ではなく、日常生活での経験を通して理解しているかが重視されます。家庭での会話や絵本の読み聞かせなどが土台となる分野です。
推理・思考
対応関係や回図関係、重ね図形や同図形など、毎年のように複数の課題が出されています。幅広く傾向を進めるとともに、図形が関係する問題では記号の大きさや向き、角度や向きなどの特徴をつかんで、図を正確に読み取る注意深さを養いましょう。
記憶
「記憶」分野では、物語の内容や順番、登場人物の特徴などを聞き取り、再現する力が求められます。短時間で多くの情報を記憶し、正確に思い出す訓練が有効です。聞き取り力と集中力の両方が問われるため、家庭での読み聞かせと確認作業の習慣化が対策の鍵になります。
ペーパーテストの対策のポイント
東洋英和女学院小学部のペーパーテストは幅広い分野から出題されるのが大きな特徴です。まずは項目に偏りがないよう、話の記憶や話の理解、数直、数枚、推理・思考、常識問題、過去問に触れるかつ基礎的な理解をしっかり押さえておきましょう。
また、きちんと指示を聞いてから取り組む姿勢を身につけておくことが大切です。そのうえで、さまざまな分野の課題に取り組んで実戦力を養いましょう。
【東洋英和女学院小学部】個別テストの概要
2024年および2025年の入試では、いずれの年度も個別形式のテストが実施され、「言語」と「生活習慣」に関連した課題が共通して出題されています。
言語
日常生活の中で四季の移ろいや行事、身近な道具などに関心を持つことで、自然と語彙が広がっていきます。家庭では、筆記具を正しく持つ練習を習慣づけ、しっかりとした筆圧で丁寧に書く力を養っていきましょう。
生活習慣
箸の使い方や体操服をきれいに畳むなど、基本的な生活の所作を確認する内容が含まれています。普段の食事やお手伝いの場面でも、「丁寧に、きちんと」を意識した行動を重ねていくことが大切です。なお、生活習慣に関する観察は、集団テストの一部としても取り上げられる傾向があります。
制作(個別・集団共通)
制作課題では、「切る・折る・貼る」といった基本的な手作業に加えて、絵を描く、折り紙を使うなどの創作活動を通じて、作業への集中力や工夫する力が見られます。ご家庭でも、様々な素材や道具に触れる機会を意識的に設けることで、想像力や手先の器用さを伸ばすサポートができます。
【東洋英和女学院小学部】行動観察・集団テストの出題傾向
近年の東洋英和女学院小学部における集団テストでは、かつて行われていたフープやおままごと用具を用いた自由遊びから、内容が変化しています。最近は、複数人で取り組む制作活動や、協力を要する集団ゲームが中心となっています。
2020年・2021年・2023年には、折り紙の手順書が配布され、それに従って同じ作品をグループで仕上げる形式の課題が出題されました。
生活習慣(2017年~2023年)
現在は個別テストで確認される生活習慣の内容も、かつては集団テストの中で評価されていました。現在でも、場面によっては類似の課題が集団形式で出題されることもあるため、どの形式にも対応できるよう総合的な準備が求められます。
行動観察・集団テストの対策ポイント
東洋英和の行動観察では、友達との協調性はもちろん、自分で考えて行動する判断力や場にふさわしい振る舞いができるかも評価対象となります。
自由遊びでは自分の気持ちをコントロールする力、共同制作では手先の巧緻性と共に、協力して一つのものを作り上げる姿勢が大切です。集団ゲームでは、周囲との関わり方や協調性、状況に応じてどのように振る舞えるかが問われています。
【東洋英和女学院小学部】運動テストの出題傾向
東洋英和女学院小学部では、2017年度より運動テストが導入されています。運動課題は、動きの正確さに加え、生活習慣の要素と組み合わさって出題されることもあり、たとえば「風呂敷で物を包む」などの課題が登場する場合もあります。
基本運動と指示の理解
運動テストでは、指示された動作を正確に理解し、実行する力が求められます。具体的には、音や音楽に合わせたリズム遊びや、ケンケン、ボール投げといった基本的な身体の動きに取り組む形式が中心です。生活の中で身につける動作との連動が見られることもあります。
運動テスト対策のポイント
テストに備えては、ケンケン・スキップ・走る・投げるといった基本動作を正しく行えるように練習することが重要です。さらに、リズムに合わせて体を動かす力も見られるため、音楽に合わせた運動を通して、楽しくリズム感や身体のコントロール力を伸ばしていきましょう。
【東洋英和女学院小学部】親子面接の内容
東洋英和女学院小学部の親子面接は、考査に先立ち、10月中旬頃から順次実施されます。面接の日時は、お子さまの生年月日をもとに決定されるのが通例です。
当日記入するアンケートについて
面接当日には、会場で配布されるアンケートにその場で記入し、提出する必要があります。このアンケートは、限られた面接時間内では伝えきれない家庭の様子を把握するための補足資料として活用されており、その内容をもとに質問が展開されます。
記入欄には、保護者の勤務先やボランティア活動など、例年同様の項目が設けられています。記入は父母それぞれが担当する形式です。回答内容に一貫性を持たせるためにも、日頃からご夫婦で教育方針や家庭の在り方について話し合っておくことが大切です。
アンケートについて詳しくはこちら▶
東洋英和女学院小学部 アンケート – Google ドキュメント
親子面接
東洋英和女学院小学部の面接の場では、家庭の温かい雰囲気が面接官に伝わることが重視されます。
お子さまが自然体で前向きに受け答えできるよう、過去の質問事例を参考にして準備を進めておくと安心です。また、お父様にお子さまの日常について質問されることも多いため、普段から生活の様子に関心を持ち、共有しておく姿勢が求められます。
願書との関連性
親子面接では、提出した願書の内容が話題に上がることも珍しくありません。面接官は事前に願書にしっかり目を通しており、ご家庭の価値観や教育方針を理解しようとしています。そのため、願書と面接での受け答えに矛盾がないよう意識しながら準備をしておきましょう。
親子面接対策のポイント
当日の面接内容は、願書やアンケートの記載内容をもとに構成されることが多いため、それらを丁寧に仕上げることが極めて重要です。
特に東洋英和女学院小学部では、お父様に対して、お子さまの性格や家庭での様子について具体的な質問が投げかけられるケースが目立ちます。
父親が子育てにどのように関わっているか、また母子の日常にどれほど寄り添っているかが見られていると意識し、夫婦で事前に十分なすり合わせを行っておくことが対策の鍵となります。
【東洋英和女学院小学部】試験内容で重視される評価ポイントとは?
東洋英和女学院小学部が入学試験で重視しているポイントとはどのようなものでしょうか。そのポイントを3つに絞ってご紹介します。
ご家庭の教育姿勢
東洋英和女学院小学部では、家庭が子どもの成長にどのように関わっているかを非常に丁寧に見ています。
願書やアンケート、面接のやりとりを通じて、ご両親がどのような価値観を持ち、日々どんな言葉をかけて育てているのか、子どもをどう見つめているのかが問われます。
特に印象的なのは、お父様への質問が多く投げかけられる点です。母親任せにせず、父親も子育てに主体的に関わっている姿勢が、今の東洋英和では求められています。
子どもの内面的な力と人との関わり方
東洋英和女学院小学部の入学試験では、知識量や正解数よりも、落ち着いて話を聞く態度、周囲と協力しながら行動できる姿勢が評価されます。
たとえば、行動観察や共同制作の場では、他の子どもとの関係性の中でその子の本質が浮かび上がります。
一方的にリードしたり、受け身になったりせず、自分の役割を理解しながら自然に立ち振る舞える子が、安心して通わせられる子ども像として映るのです。
学校の理念への共感
東洋英和女学院小学部はキリスト教の精神を土台にした教育を行っており、「礼儀正しさ」や「他者への思いやり」は、すべての選考の根底に流れています。
面接での言葉づかいや、日常の生活習慣、テストでのふるまいのひとつひとつから、そうした価値観が自然ににじみ出ているかどうかが見られています。
【東洋英和女学院小学部】試験対策の進め方
高い倍率とレベルを誇る東洋英和女学院小学部の入試に向けて、どのように取り組むのが有効なのでしょうか。ここでは、合格を目指すための具体的な対策の進め方をご紹介します。
幼児教室の活用
東洋英和を志望するご家庭にとって、幼児教室は欠かせない存在です。まずは、学力・運動・巧緻性・絵画など、基本的な力をバランスよく育むことがスタートラインとなります。
また、友達とのやりとりや集団でのふるまいが問われる「行動観察」に備えるには、幼児教室内での集団活動が非常に有効です。その後、東洋英和に特化したカリキュラムを持つコースや、学校別対策に強い個別指導を併用し、入試直前の仕上げを行うと効果的です。
もしも運動や制作分野に苦手意識がある場合は、専門的なトレーニングを行っている教室に通うことも選択肢となります。時間や費用はかかりますが、専門知識のある講師による丁寧な指導が、お子さまの力を引き出し、志望校対策にも直結します。
このような外部機関を必要に応じて取り入れることで、より高いレベルを目指す学びの土台が整っていくでしょう。
なお、難関校対策といっても、いきなり難易度の高い問題に取り組む必要はありません。まずは「基礎を固める」ことが最優先です。土台がしっかりしていれば、その先の学習の広がりもぐっと大きくなります。
過去問の活用
未就学児にとっての受験対策において、過去問を使った学習は非常に大きな意味を持ちます。特に東洋英和のような学校では、「見たことがある」「経験したことがある」という安心感が、本番の落ち着きや安定したパフォーマンスにつながるからです。
過去問と全く同じ内容が出題されるわけではありませんが、出題の傾向や考査のスタンスを知る手がかりが多く詰まっています。繰り返し取り組むことで、学校独自の出題パターンに慣れ、予想外の問いにも動じず対応できる力を養うことができます。
家庭での学習と教育環境の充実
幼児教室で学んだ内容を定着させるためには、ご家庭での復習や反復練習が重要な役割を果たします。短い時間でも日々コツコツ取り組むことで、苦手分野の克服や自信の定着に繋がります。
また、通塾が難しいご家庭もあるかと思います。たとえばお仕事のスケジュールや兄弟姉妹の関係で時間の確保が難しい場合には、家庭学習に特化したサポートサービスの利用も検討してみてください。
当社の家庭学習サポートサービスでは、東洋英和を熟知した講師が、ご家庭の状況やお子さまの特性に応じた最適な学習プランをご提案いたします。
願書や面接対策の準備
東洋英和女学院小学部の面接では、願書の内容をもとにした質問がなされることが多く、記載内容と実際の発言に一貫性があることが重視されます。
中でもお父様への問いかけが多く、ご家庭の教育方針に対する理解や協力姿勢が見られる場面が目立ちます。
当社では、教育理念やご家庭の価値観を丁寧に伺いながら、読み手にしっかりと想いが伝わる願書の作成をお手伝いしています。
また、面接対策では、過去の質問傾向を踏まえた実践的なQ&Aを使ったレッスンをご用意。初めての面接で不安を感じる方や、忙しくて対策時間が取れない方も、安心してご利用いただける内容となっています。
まとめ:東洋英和女学院小学部の試験内容を把握して万全な準備を
東洋英和女学院小学部の合格を目指すには、一般的な入試対策だけでは不十分です。大切なのは、「東洋英和らしさ」を理解し、その価値観に寄り添った準備を重ねること。
学校が求めているのは、すべてが完璧にできる子どもではなく、「この学校で心豊かに育っていけるお子さまと、そのご家庭」です。日々の丁寧な関わりが、何よりの対策になるはずです。
もし現在、受験準備に不安を感じていたり、相談できる相手がいない、自信が持てないといったお悩みがあるようでしたら、どうぞお気軽に私たちにご相談ください。東洋英和女学院小学部に精通した専門スタッフが、ご家庭に寄り添いながら丁寧にサポートいたします。