私立小学校選びにおいて「食育」を重視するご家庭が増えている今、日々の給食が子どもたちにどのような影響を与えるかは、大切な関心事のひとつです。
伝統あるお嬢様校として知られる東洋英和女学院小学部では、ただ食事を提供するだけでなく、感謝や思いやりの心を育む「愛餐」の精神を大切にしながら、子どもたちの心と体の成長を支える給食が提供されています。
この記事を読むことで、東洋英和女学院小学部の給食の内容だけでなく、給食を通して伝えられる教育理念や方針についても深く理解できるようになります。入学を検討している方にとって、学校選びの大切な参考になる情報をお届けします。
【東洋英和女学院小学部】給食の基本情報
東洋英和女学院小学部の給食は、単なる「食べる時間」にとどまらず、子どもたちの心を育む大切な学びの場としても位置づけられています。
温かな「愛餐(あいさん)」の精神に基づいたスタイルで、学年を超えた交流や思いやりの心を育む給食時間。ここでは、その特徴やルールについて詳しくご紹介します。
昼食は完全給食?お弁当?
東洋英和女学院小学部では、週5日、毎日温かい給食が提供されます。附属の幼稚園ではお弁当持参が基本だったため、内部進学した子どもたちにとって、みんなで給食を食べる日々は「小学生らしい第一歩」とも言える体験。
特に、年上のお姉さんたちと一緒に食事をすることで、少しずつ「憧れのお姉さん」へと成長していく土台が育まれています。
給食の提供方式
東洋英和女学院小学部の給食には、長年大切にされてきた「ホステス」という役割があります。各テーブルに配置された高学年のホステスが、低学年の子どもたちの配膳や片付けを手助けし、食事の場をサポートします。
年上の子から優しくお世話をしてもらった経験は、やがて自分自身が優しく頼もしいお姉さんへと成長する大切なきっかけに。子どもたちの心をつなぐ、東洋英和ならではの温かな文化です。
食堂での食事風景
児童たちは、広々とした明るい食堂で、全校児童と先生たちが一緒に食卓を囲みます。コロナ禍では感染防止の観点から、一時的に交代制を導入し、半数ずつ一方向を向いて食事をしていましたが、今年度からは元のスタイルに戻りました。
全員で向き合い、笑顔を交わしながら食事を楽しむ光景は、東洋英和の給食時間ならではの温かさを感じさせます。
アレルギー対応
東洋英和女学院小学部では、全校児童一人ひとりの食物アレルギーについて、入学時にしっかりと情報を把握し、必要に応じて随時見直しを行いながら、ご家庭と丁寧に連携を取り合っています。
アレルゲンの除去が必要な場合は、栄養士や調理スタッフが配慮した特別メニューを用意し、子どもたちが安全に食事を楽しめるよう細やかな対応をしています。また、アレルギーの種類や症状によっては、ご家庭から代替の食材やお弁当を持参していただくケースもあります。
子どもたちが安心して給食の時間を過ごせるよう、学校全体で協力し、保護者の方と情報を共有しながら、万全のサポート体制を整えています。
初年度4月、1年生がいただく最初の給食とは?
東洋英和女学院小学部では、毎年4月に迎える新入生たちが、学校での給食に少しずつ慣れていけるよう、年度最初の給食メニューには特別な配慮をしています。
初回の給食は、毎年決まって「食べやすくて安心感のあるサンドイッチと温かいスープ」というメニューです。新しい環境に少し緊張している子どもたちも、このシンプルで優しいメニューを通して「みんなで食べる楽しさ」や「給食って楽しい!」という気持ちを感じやすくなるように工夫されています。
食べ慣れたものが中心なので、安心して一口目を迎えられるのもポイント。先生やクラスメイトと一緒に食卓を囲むことで、自然と笑顔が生まれ、これから始まる学校生活への期待感がふくらむ特別な時間となっています。

【東洋英和女学院小学部】栄養バランスのとれた給食献立
東洋英和女学院小学部の給食は、栄養バランスが良いだけでなく、見た目の美しさにもこだわりがあり、多くの人から高く評価されています。今回は、特別にある7日間分の給食メニューをご紹介します。
日付 | 主食 | 主菜 | 副菜 | 汁物 | デザート |
火曜日 | 五目うどん | ジャンボしゅうまい | スイカ | ||
月曜日 | 山菜おこわ | 鶏肉の味噌麹焼 | お浸し | かきたま汁 | いちごヨーグルト |
金曜日 | 五目チャーハン | 蒸し鶏のサラダ | わかめスープ | オレンジゼリー | |
木曜日 | 豚肉と青菜の あんかけそば | 大根のおかか和え | メイプルポテト | ||
水曜日 | 焼きツナパン | ほうれん草とコーンのソテー | キャベツとトマトのスープ | メロン | |
火曜日 | ご飯 | 鰆の幽庵焼き | きんぴらごぼう | じゃがいもと玉ねぎの味噌汁 | フルーツ寒天 |
月曜日 | チーズパン | マカロニのクリーム煮 | はりはりサラダ | リンゴゼリー |
東洋英和女学院小学校の子どもたちが毎日どんな給食を楽しんでいるのかは、学校の公式ホームページ内にある「給食ブログ」で見ることができます。受験を検討されているご家庭は、ぜひ一度ご覧になってみてください。
https://ps.toyoeiwa.ac.jp/lunch_information/
【東洋英和女学院小学部】給食を通した食育への取り組み
東洋英和女学院小学部では、毎日の食事を「ただの給食の時間」としてではなく、心を育てる大切な学びの場と位置づけています。
子どもたちは日々の食事を通して、感謝の気持ちや他者を思いやる心、そして物を大切にする姿勢を自然と身につけていきます。ここでは、東洋英和が大切にしている食育の取り組みについてご紹介します。
「愛餐」の精神を大切にする給食スタイル
東洋英和女学院小学部では、給食の時間を「愛餐(あいさん)」と呼び、単なる食事の時間以上の意味を持つ場としています。
毎日全校児童が食堂に集まり、感謝の祈りを捧げた後、全員で同じ食卓を囲みながら食事を楽しむスタイルが長年続けられています。
この「愛餐」の精神は、効率や利便性よりも、仲間と食卓を囲む温かい時間を大切にする姿勢を体現しており、東洋英和ならではの食育の特色となっています。
伝統を受け継ぐ特別な食事体験
給食の時間には「ホステス」という役割があり、高学年の児童が低学年の子どもたちの配膳や片付けをサポートします。
この仕組みを通じて、年齢を超えた助け合いや思いやりの心が育まれています。また、毎日の給食には必ず一品のデザートが用意されており、栄養を補うだけではなく、心も満たされる食事の時間を大切にしているのが特徴です。
質の高い設備と長く大切に使う文化
東洋英和の食堂には、デンマークの家具メーカー「MAGNUS・OLESEN社」製の特注椅子が使われています。
子どもたちの体格に合わせたサイズ展開で、快適に過ごせるよう配慮されています。これらの椅子は現在新規製作が難しくなっていますが、修理を重ねながら長く大切に使い続けているのも、東洋英和らしい「物を大切にする心」を感じさせる取り組みのひとつです。
旬の素材にこだわり、すべての給食を学校ブログで発信
東洋英和女学院小学部では、毎日の給食で旬の食材を積極的に取り入れ、四季折々の味覚を大切にしています。
子どもたちが季節を感じながら食事を楽しめるよう、調理法やメニューにも工夫を凝らしています。これらの給食の内容は、学校公式ホームページの「給食ブログ」で紹介されており、保護者や受験を検討されているご家庭にも公開されています。
食を通じた学びの場として、家庭と学校がつながるきっかけにもなっています。
1年生から始まる食育の授業
東洋英和女学院小学部では、1年生から食育に触れる授業が行われています。生活科の授業では「えいようの先生」が学校に来て、朝ごはんの大切さや食事の基本についてわかりやすく教えてくれます。小さな頃から食の大切さを学び、日々の生活に生かしていく意識を育んでいきます。
【東洋英和女学院小学部の給食】他の女子私立小学校との比較
東洋英和女学院小学部の給食は、栄養バランスや食育への取り組みなど、多くの特徴がありますが、他の女子私立小学校と比べてどうなのでしょうか。
ここでは、東洋英和女学院小学部と共に日本を代表する女子宗教校である、聖心女子学院初等科、白百合学園小学校、雙葉小学校の3校を取り上げ、給食の形態や食育活動、そして給食費の面から比較し、各校の特色をわかりやすくまとめました。
学校選びの参考として、ぜひご活用ください。
学校名 | 給食形態 | 食育活動 | 給食費 |
東洋英和女学院小学部 | 完全給食 | ●「愛餐(あいさん)」の精神を重視 全校児童と教職員が広い食堂で一緒に食事をとる「愛餐」のスタイルを大切にし、感謝の祈りと共に食卓を囲むことで、思いやりやマナーを育んでいます。 ●「ホステス」制度 高学年の児童が「ホステス」として配膳や片付けを担当し、低学年をサポートすることで、助け合いの心を育てています。 | 不明 |
聖心女子学院初等科 | お弁当 | ●「ハイチデー」の実施 年3回、昼食をおにぎりのみにする「ハイチデー」を行い、浮いた費用をハイチの子どもたちへの募金に充てることで、世界の食事情や支援の大切さを学んでいます。 聖心女子学院東京校 ●フードドライブ活動 家庭で余った食材を集めて寄付するフードドライブを実施し、食品ロスや食の循環について学ぶ機会を提供しています。 | なし |
白百合学園小学校 | お弁当 | 不明 | なし |
雙葉小学校 | お弁当 | 不明 | なし |
他の名門女子校と比べても、東洋英和女学院小学部の食育へのこだわりは群を抜いています。まず、都内で宗教教育を行う女子校の中で「給食制度」を導入しているのは東洋英和女学院小学部だけという特別な存在であることが挙げられます。
この給食は、単に栄養を補うための食事ではなく、子どもたちが感謝の心を持って「いただきます」を言い、全員で同じ食事を分かち合う「愛餐」の精神を実践する時間として大切にされています。
また、東洋英和の給食には、特別な日や季節の行事に合わせた「行事食」が取り入れられており、例えばクリスマスの季節には特別メニューやデザートが登場したり、春には旬の食材を使ったメニューで季節の移ろいを感じられる工夫がされています。
こうした季節感あふれる食事の体験を通じて、子どもたちは五感を育み、日々の生活の中で「豊かさ」を感じられるようになります。
他校ではなかなか見られない全校児童が一堂に会して食事をする姿や、行事や季節を大切にした献立など、東洋英和女学院小学部の食育は「食を通じて心を育てる学びの場」として他にはない魅力を持っています。
まとめ:食を通じて心を育てる東洋英和女学院小学部の給食
東洋英和女学院小学部の給食は、単なる「食事の時間」にとどまらず、感謝や思いやりを育む大切な学びの場です。
全校児童が集まり、感謝の祈りを捧げてから一緒に食卓を囲む「愛餐」の精神をはじめ、ホステス制度による助け合いや、デザートを必ず添える心配り、旬の素材を活かした彩り豊かな献立など、日々の給食には東洋英和らしい温かさとこだわりが詰まっています。
このように、東洋英和の給食は栄養面の充実だけでなく、子どもたちの心の成長を支える貴重な時間となっています。
毎日の食事を通して、感謝の気持ちや人への思いやり、物を大切にする心を学べる環境は、他にはない大きな魅力と言えるでしょう。