私立小学校への編入を検討しているご家庭の中で、「私立小学校から私立小学校への編入はタブー」と言われています。
私立小学校から私立小学校への編入は本当にタブーなのでしょうか。
また、その場合どのようにすれば私立小学校の編入試験を受けることができるのでしょうか。プロが徹底的に解説します。
私立小学校から私立小学校への編入はタブー?
私立小学校から別の私立小学校への編入は、基本的にタブーとされています。
その理由は、主に学校間やご家庭、お子様の環境に与える影響に関係しています。
多くの私立小学校では、入学時に「卒業まで在籍する」という誓約を保護者と学校の間で交わします。(*学校に寄りますので要確認)この約束は、学校と保護者の教育の元一貫したカリキュラムと教育方針のもとで児童を育てることを前提としており、お子様が途中で退学することを前提としていません。
編入を希望する場合、転校の理由次第では在校先の私立小学校に大きな迷惑をかける可能性もあります。私立小学校では在校生数を限っており、1人の欠員が学級運営に影響を及ぼす場合もあります。また、欠員によって追加の児童募集に手間がかかることも問題視されることがあります。そのため、致し方ない理由以外のご家庭の都合で転校を申し出ること自体が学校にご迷惑をおかけするのです。
もし編入試験に不合格となった場合、在校先の私立小学校に在籍し続けることになったとしても、学校側や他の保護者との間に気まずい雰囲気が残る可能性も否定できません。他校受験による転校の意図が表面化することで、学校との信頼関係が揺らぎ、結果としてお子様の学校生活に悪影響を及ぼす恐れもあります。
これらの理由から、私立小学校間での編入は避けるべきと考えられており、編入がタブーとされる背景には、学校や家庭、そしてお子様自身の環境を守るための配慮があるのです。
私立小学校から私立小学校への編入で気を付けること
このように、私立小学校から私立小学校へ編入を希望することは、公立小学校から編入するよりもよほどセンシティブで方々に気を使わなければいけません。しかし、それでもなお「他校に編入したい!」と希望される場合において、どのようなことに気を付ける必要があるのでしょうか。プロが詳しく解説します。
在校中の私立小学校に絶対に嘘をつかない
在校先の私立小学校に「ほかの学校に編入したい」と伝えることは、大変なきまずさや後ろめたさを伴うものです。ご家庭によっては、うまいこと嘘をついてその場を切り抜けようと考える方もいるかもしれません。しかし、それだけは絶対にやってはいけません。
私立小学校から別の私立小学校の編入試験を受験する場合、在校中の学校から「許可証」や「在籍証明書」を発行してもらう必要があります。この書類は、受け入れる側の学校が編入手続きの際に求める場合が多く、編入希望者が正式に現在の学校から許可を得て受験を申し込んでいることを証明するためのものです。このため、在校中の学校には嘘をつかず、正直に編入希望の意思を伝えることが重要です。もし在校中の学校に嘘をついて編入活動を進めた場合、事後に問題が発覚してトラブルになる可能性があり、受け入れ側の学校にも悪印象を与えます。受け入れる学校としても、在校中の学校と不要な揉め事を起こしたくないため、事前に誠実な対応をしているかが問われます。編入活動では、信頼関係を守ることが最優先です。
在校中の私立小学校が納得できる「志望理由」を考える
私立小学校から別の学校へ編入することは非常にセンシティブな問題であり、在校中の学校にも編入先の学校にも納得できる理由を示す必要があります。社会人の転職活動と同様に、理由が曖昧だったり不誠実だったりすると、「なぜこの学校を志望するのか?」という疑念を抱かれかねません。例えば、「兄弟が編入希望先に在籍しているため、同じ学校で学ばせたい」「編入希望先でしか得られない特色ある教育を受けさせたい」「転居や通学事情の変化で在籍中の学校への通学が困難になった」など、双方に納得できる具体的な理由を考えなくてはいけません。
「志望理由」において在校中の私立小学校を否定しない
在校中の私立小学校を否定することは、編入活動において絶対に避けるべき行為です。転職活動と同じように、「現在の学校が不満だから転校する」といったネガティブな理由は、編入先の学校に悪印象を与えるだけでなく、在校中の学校との信頼関係を壊す原因にもなります。在校中の学校に対する否定的な発言は、「この家庭は編入先の学校に対しても同様の態度を取るのではないか」と不安を抱かせることになり、合否に影響する可能性があります。そのため、「現在の学校にも感謝しているが、子の教育においてより適切な選択をしたい」といったポジティブで誠実な姿勢を示すことが重要です。円満な関係を維持しながら編入活動を進めるためには、在校中の学校への敬意を忘れてはいけないのです。
(どうしても理由が見つからない場合)転職・転居をする
私立小学校から別の私立小学校への編入を希望する際、双方の学校に対し納得させられる志望理由が見つからない場合は、保護者の転職やご自宅の転居といった「環境の変化」を理由として編入活動を進める方法があります。この方法は、編入希望先の学校に「通学が難しくなった」と納得させやすい一方で、非常にリスクが高い選択肢でもあります。特に、編入試験に不合格となった場合、転居後に在校中の学校に戻ることができなくなるため、慎重な検討が必要です。また、転職や転居は家庭全体に影響を及ぼすため、お子様にとってのメリットとリスクを冷静に比較することが求められます。
私立小学校から私立小学校への編入するための方法と流れ
ここからは、 私立小学校から私立小学校へ編入するための方法と流れを解説します。「私立小学校に在校したまま編入試験を受ける場合」と「私立小学校から公立小学校へ転校した上で、編入試験を受ける場合」の2パターンに分けて、その方法と具体的な流れについて詳しく紹介していますので是非参考にしてください。
私立小学校に在校したまま編入試験を受ける
現在通っている私立小学校に在籍したまま編入試験を受ける場合、在校中の学校との信頼関係を損なわないことが極めて重要です。事前に現在の学校に編入希望の意思を誠実に伝え、協力を得ることが必須となります。編入試験を受ける際には、在校中の学校からの「在籍証明書」や「許可証」が必要になる場合が多いため、正直な対応が欠かせません。
1.編入希望先の学校を選定する
希望する私立小学校が編入試験を実施しているかを確認します。募集のタイミングや条件(学年、性別など)を調べ、志望校を絞り込みます。
2.在校中の学校に編入希望を伝える
現在の学校に対して誠実に編入希望を伝えます。この際、編入理由をしっかり説明し、学校側に納得してもらうことが重要です。必要に応じて「在籍証明書」や「許可証」を発行してもらいます。
3.編入試験の対策を進める
編入先の学校の試験内容を調べ、必要な対策を行います。試験内容は学力テストだけでなく、面接や適性検査も含まれることが多いため、家族で準備を進めます。編入試験対策が行える塾や家庭教師に指導を依頼しましょう。
4.編入試験を受験する
必要書類を揃え、体調を万全にし試験当日を迎えましょう。服装や持ち物は、小学校受験を参考に取り揃えれば問題ありません。
5.編入手続きと転校準備
編入が決定した場合、在校中の学校に改めて感謝の意を伝え、転校手続きを進めましょう。お住まいの市区町村へ届け出が必要になる場合もありますので、忘れずにチェックしましょう。
一旦公立小学校に転校してから編入試験を受ける
私立小学校から別の私立小学校に編入する場合、いったん公立小学校に転校する方法もあります。この方法は、現在の私立小学校に対し、編入する旨を伝えることなく編入試験を受けられる点が特徴です。ただし、公立小学校への転校はお子様にとっては大きな変化です。編入試験に合格した場合、その在籍期間も一時的となります。お子様の環境変化に対する負担を考慮し、慎重に計画を立てましょう。また、編入希望校への入学が叶わなかった場合、せっかく入学できた在籍先の私立小学校と永遠に縁を切ることになってしまいますので、諸刃の剣とも言えます。この方法は、在校中の私立小学校との関係が特にセンシティブな場合や、編入試験受験をNGとしている学校に在校中の場合に選ばれることが多いです。
1.公立小学校への転校準備
まず、現在の私立小学校に対して転校の意思を伝えます。この際、転校理由を「家族の都合」や「環境の変化」といったニュートラルな内容にし、在校中の学校との関係をできるだけ円満に保つよう心がけます。
2.公立小学校へ転校する
居住地に基づいて指定される公立小学校に転校手続きを進めます。公立小学校は編入試験が不要で、必要な書類を提出するだけで手続きが完了します。
3.私立小学校の編入希望先を選定する
転校手続きを進めながら、同時に希望する私立小学校の編入試験情報を収集します。募集時期や条件に基づき、受験スケジュールを立てます。
4.編入試験の対策を進める
編入試験の対策を行います。この段階では、過去問題や面接対策に加え、志望理由の準備も重要です。保護者向けの指導(面接・願書指導)も担ってくれる塾や家庭教師も見つけましょう。
5.編入試験を受験する
公立小学校に在籍しながら、希望する私立小学校の編入試験を受験します。注意点は、「私立小学校に在校したまま編入試験を受ける」と同様です。
6.編入手続きと転校準備
編入試験に合格した場合、現在の公立小学校を通じて私立小学校への転校手続きを行います。不合格の場合は、現状を維持するか、再度別の学校を検討することになります。
私立小学校から私立小学校への編入はタブー?方法と流れを解説まとめ
私立小学校から私立小学校への編入は、一般的にはタブーとされています。在校中に他校の編入試験を受けることに難色を示す学校も存在し、試験を受けるために在校先に届け出を出す必要があるので秘密裏に受験を進めることは難しいでしょう。外部編入に関するルールや認識は学校によって異なりますので、まずは在校先のルールを確認し、在校先および編入希望先双方に無礼がないよう慎重に事を進めていく必要性が求められます。今までお世話になった在校先です。後ろ足で砂をけるような事態にならぬよう、保護者として礼節をわきまえ、感謝の気持ちを持って正直に向き合ってくださいね。
