私立小学校人気の高まりや、中学校受験回避の方策として俄かに人気を集める「私立小学校への編入試験」ですが、編入募集の不確定さや募集人数の少なさなどから、一般の方ではほぼ情報をキャッチアップすことができません。
仮に募集がかかっているのを見つけたとしても、編入試験受験に特化した対策を行っていないと、その特殊な試験に対応することはできません。
そんな希少かつ特殊性の高い私立小学校編入試験を攻略するために押さえておきたい対策には、一体どのようなものがあるのでしょうか。
プロがポイントを絞って対策方法を解説します。
私立小学校編入試験対策をするならしっておくこと
私立小学校編入試験対策をするなら知っておかなければならないことがいくつかあります。
それを理解せずただやみくもに対策法だけを練ってしまうと、大きなしっぺ返しに合ってしまうでしょう。
編入試験に挑む前に、事前に必要な知識を身に付けておくことでポイントを外さない試験対策が可能になりますよ。
プロが詳しく解説します。
学校ごとの出題傾向を把握する
私立小学校の編入試験は、ある日突然募集がかかります。
ご家庭の都合やお引っ越し、海外赴任などが決まったことを理由とする欠員補充です。
年度頭(毎年4月)の進級時期に合わせて募集がかかることが多く、4月入学に合わせられるよう年明け1~2月に告知されることが多いですが、期中であっても募集がかかることもよくあります。
また、学校ごとに出題内容や評価基準が異なります。
そのため、志望校の過去の試験内容や出題傾向を徹底的に調べておくことが重要です。
例えば学力テストでは、国語と算数を中心に出題する学校もあれば、適性検査や作文を重視する学校もあります。
テストの点数より、お子様の立ち居振る舞いや所作、文字の美しさなどに重きをおいた選考がなされる場合もあります。
面接の質問内容や重視されるポイントも学校によって異なります。
これらの情報は、学校の公式サイトで教育理念や教育方針をよく読み込んで理解すること、受験経験者や在校生ご家族へのヒアリング、塾や家庭教師からの情報を活用して収集しましょう。
基礎学力を徹底的に固める
私立小学校の編入試験では、学力テストが課されることが多いです。
このテストでは、学年相応の基礎学力が確実に身についているかを確認され、学校によっては、時候が提供する学習ペースについていけるだけの地頭の良さを持っているか試されるような内容にもなっています。
そして、意外と思われるかもしれませんが「文字の美しさ」も評価の対象となる場合があります。文字の「とめ、はね、はらい」といった細かさや文字のバランス、丁寧に書くことができているかなど。
私立小学校の多くは文字の美しさにこだわった指導を行う学校が多いので、こういった点から自宅での指導状況や親御様の教育方針の一端を測られる可能性は大いにあると言えるでしょう。
数字に関しても、問題を解くスピードにこだわり過ぎたあまり書き殴ったような字はNGです。
このように、単純な勉強習慣だけでなく、ご家庭での学習習慣や指導力といった毎日の積み重ねが試験本番で結果につながります。
試験中や面接の受け答え、所作やマナーを身につける
編入試験でお子様参加の面接(親子面接)では、お子様自身の受け答え内容だけでなく、その態度や言葉遣いなど所作を含めた全てが判断材料になります。
「好きな教科や将来の夢」、「編入先の学校で楽しみにしていること」、「先生に怒られたときにどうしますか?」などが聞かれることが多く、お子様が自分の言葉で自然に答えられるようにしておくことが大切です。
敬語でお話しできること。ご両親の呼び方と「お父様、お母様」(*学校によります)と呼ぶことや、入退室の際の挨拶や姿勢、言葉遣いも繰り返し練習し、基本的なマナーを身につけておく必要があります。
さらに、親子面接がある場合は、保護者も学校の教育方針を理解し、志望理由を明確に説明できるよう準備しましょう。
編入を希望する理由や、ご家庭がどのような点で志望校と共感する部分があるのかを明確かつ真摯な言葉で伝える必要があります。
お子様の心理的なサポートとリフレッシュを大切にする
編入試験に向けた勉強や準備が長期間にわたる場合、お子様の精神的な負担が増えることがあります。
特に編入試験を経て入学を目指す場合は、志望校で募集がかかるのか。
募集があったとしてもいつ試験が行われるのかなど不確定な要素を抱えることになり、見えないゴールに向かって漠然と走り続けなければいけない苦しさがあります。
そのため、日頃からお子様の様子をつぶさに観察し、心理的なサポートを行いながら無理のない範囲で試験対策を進めることが大切です。
親子で「編入学を目指す目的や意味」を共有し、前向きな気持ちで取り組める環境を整えましょう。
声掛けもできるだけポジティブに、お子様の長所を引き出し前向きでいられるような言葉を選ぶことも必要です。
また、勉強の合間にはリフレッシュの時間を設け、趣味や遊びを通じてリラックスさせることも重要です。
お子様がプレッシャーに押しつぶされないよう、頑張りを認め、適切に褒めることも心の支えにつながりますよ。
私立小学校編入試験対策
ここからは、 私立小学校編入試験についての具体的な対策法について詳しく解説します。
学力テスト(国語、算数など)
私立小学校編入試験では、多くの学校で学力テストが実施されます。
文部科学省が定める指導要領の範囲内で行われますが、一部の学校ではやや負荷の高い問題やクイズのように頭をひねらないと解けないような問題も出題されます。
この傾向は、小学校受験で「ペーパーがかなり難しい」と噂されるペーパー難関校や、中受校(在校生のほとんどが中学校受験に挑戦する私立小学校)に多く見られます。
こういった学校群が、児童に地頭の良さや回転の早さをもとめるためです。
また学習進度が早いことから、通常よりも理解力があり学力の高いお子様でないと学校のペースについていけなくなる懸念があることからこのような出題方式をとっています。
また、学力試験と合わせて適性検査も行われる場合もあります。適性検査は、思考力や観察力、推理力、記憶力などを総合評価することを目的としています。
- 図形やパズルの問題
- 指示通りに作業を進める課題
- 読解力や論理的な思考を問う問題
といった問題が出題されますが、その狙いは学力だけでなく、柔軟な考え方や理解力を確認するためと言われています。
実技試験(体育、図工など)
一部の私立小学校では、学力以外の能力や適性を確認するため、体育や図工の実技試験が課されることがあります。
- 体育: 簡単な運動能力テスト(ジャンプ、徒競走、ボール、リズム運動など)
- 図工: テーマに沿って絵を描いたり、指示に合わせて工作(制作)をする課題
このような出題がなされます。
これらは、基礎的な能力や集中力、表現力などを評価する意味合いと「試験官(教職員)の指示をきちんと聞き取り実行できるか」といった指示行動の能力が測られていると言われています。
ですので、例えば50m走で1位になったとしても、試験官からの指示やルールを無視してしまっては評価されません。
順位は低くとも、指示を理解しルールを守りながら精一杯走るお子様の方が評価されることも多々あるのが私立小学校の編入試験なのです。
面接(保護者面接、親子面接)
お子様だけでなく、保護者が学校の教育方針を理解しているか、家庭での教育姿勢が学校と一致しているかを確認するため、私立小学校の編入試験では親子・保護者面接が実施されることがよくあります。
- 志望理由
- 家庭での教育方針
- お子様の長所や短所について
などは、スタンダードかつ頻出の質問ですので必ず答えられるようにしましょう。
その他、学校によって特色のある質問がなされますので、過去の受験家族や在校生などにヒアリングをすることも有効です。
行動観察
学校によっては、複数の受験生が参加するグループ活動を通じて、協調性やコミュニケーション能力を評価する行動観察試験も行われます。
- グループでの簡単な課題やゲーム
- 他のお子様たちとの話し合いや協力する場面の観察
お子様同士でコミュニケーションを取る様子を観察することで、作りこまれていないお子様の自然な様子を知りたいと考えています。
ここでの行動が学校側が求める態度や姿勢に見合わなかった場合、すでにまとまっている在校生クラスに途中合流しても上手くやっていけない可能性が高いため、例えゲームに勝利したりリーダー的行動をとれたとしても合格は難しくなるでしょう。
また「実技試験(体育、図工など)」の項目と同様に、試験官の指示を聞き、それを守って行動できるかという「聞く力」も確認されます。
生活習慣や基本的なマナー、所作確認
今まで解説してきた試験の全てにおいて観察されているのが「生活習慣や基本的なマナー、所作」です。
名門校や伝統校になればなるほど、この傾向は強くなります。
特に低学年の場合、生活習慣や基本的なマナーが身についているかを確認されることがあります。例えば
- 正しい姿勢で座れるか
- あいさつや返事がきちんとできるか
- 汚い言葉や省略語を使っていないか
- 使った道具を元の場所に片づけているか
- 椅子を引いた後、元に戻しているか
- 靴のかかとを踏んで歩いていないか
- お手洗いのあと、ハンカチで手を拭いて畳んでポケットに戻しているか
といった点です。
これらは、試験会場内の移動中や、実際の試験中にも細かく確認されています。
こういった生活習慣やマナー、基本的な所作については日常生活を送る中で自然と身に付くように親御様が導く必要があります。
小学校受験の経験がなく、どのような指導を行えばよいかピンとこない場合は、ぜひ専門塾や家庭教師の指導を仰いでください。
私立小学校編入試験で押さえておきたい対策ポイントをプロが解説まとめ
私立小学校編入試験対策で、押さえておきたいポイントをプロが解説してきました。
読んでいただければわかる通り、私立小学校への編入試験というのは大変に特殊で、その情報もなかなか手に入れることができません。
例え小学校受験を経験したご家庭であっても、難しいとおっしゃることでしょう。大切なのは、その特殊な状況を理解し、数少ない情報を持った専門家にサポートを依頼することです。
しかし、編入に特化した指導塾や家庭教師の数は少なく、すでに満席になっていたり、ご家庭の目指す学校に特化した講師を見つけられない可能性も高いです。
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