私立小学校への編入を検討し、実際に編入試験を受けることになると必ず訪れるのが「私立小学校編入を希望する理由(志望動機)を学校に伝える」機会です。
受験者ご家族は、試験を通して、その理由を学校側に直接伝えることになりますが、それを元に、学校側はそのご家庭に合格を出すか否かを真剣に判断します。
編入希望理由(志望動機)というのは、それほどまでに重要なものであるからこそ、伝える際に知っておかなければならないポイントがいくつか存在します。
しかし、このポイントを正しく教えてくれる指導者や塾はほとんど存在しないように感じています。
私立小学校編入を希望する理由
親御様が私立小学校への編入を希望されるのは、どのような理由によるのでしょうか。わが社にご相談いただいたものの中で、よくある編入希望理由を5つピックアップし、プロの解説と共にご紹介します!
小学校受験を経て、当時入学したかった学校で編入募集がかかった場合
小学校受験の際に合格を目指したものの、残念ながらご縁を結べなかったご家庭が、編入募集をきっかけに再挑戦するケースがあります。
幼稚園受験や小学校受験で一度失敗しても、特定の学校への思いが強いご家庭は、その学校で編入募集がかかった際、再びその夢を追いかけることが珍しくありません。
編入試験は小学校受験とは異なり、欠員が出た場合に行われるため募集のタイミングが不定期であることが特徴です。
このため、志望校の募集情報を常にチェックし、編入試験が実施される場合には迅速に準備を整える必要があります。
特に、学校の教育方針や特色に深い共感を抱いているご家庭では、その学校での学びを通じて子どもの可能性を伸ばしたいと願い、再挑戦に向けた強いモチベーションを持っています。
中学校受験の苛烈さを知り、中学校受験を避けたいと考えた場合
中学校受験の競争が年々激化する中、その過酷さに疲弊し、小学校段階で私立校へ編入することで中学受験を避けたいと考えるご家庭も増えています。
中学校受験の準備は長期間にわたり、親子共に精神的・体力的な負担が大きいため、途中で撤退を考えるご家庭も少なくありません。
しかし、将来的に大学附属校や中高一貫校といった進路を目指す場合、小学校段階からそのような私立校に編入することで、受験のプレッシャーを軽減しながら目標を達成する選択肢があります。
私立小学校では、中高一貫教育の基礎を築くためのカリキュラムが整備されていることが多く、また内部進学の制度を利用することで、中学受験を回避しつつ希望する教育を受けることが可能です。
このように、親子の負担を軽減しつつ、将来の進路を確保する手段として、私立小学校への編入を希望するご家庭が後を絶ちません。。
兄弟が在校しており、もう一方の子どもを同じ学校で学ばせたいと考えた場合
兄弟の一方が私立小学校に在籍している場合、もう一方の子どもも同じ学校で学ばせたいと考え、編入を希望するご家庭も多くあります。
この背景には、私立小学校の教育方針や充実した学習環境に対する信頼が大きく関係しています。
特に、私立校の少人数制教育や一貫した指導方針に魅力を感じる親御様が多く、兄弟を同じ環境で育てたいという意向が編入希望の理由となります。
また、キリスト教教育を主体とする私立小学校では、ご家庭全体での信仰や価値観の共有を重視する傾向があるため、兄弟姉妹の入学に対して柔軟な姿勢を取る学校も多いです。
このような学校では、在校中の兄弟姉妹がいるご家庭は優先的に編入が許可されることもあり、ご家庭内で一貫した教育を受けさせたいという願いを実現しやすい環境が整っています。
引っ越しや転勤など居住地が変更になる場合
親御様の転勤や引っ越しなど、居住地が変更になることは、私立小学校への編入を希望する大きな理由のひとつです。
たとえば、関西の私立小学校に通学していたお子様が、親御様の転勤で関東に引っ越すことになった場合、引っ越し先でも似た環境で教育を受けさせたいと考えるご家庭が多くあります。
また、引っ越しによって新たに通学可能な私立小学校が見つかった場合、より良い環境を求めて編入を希望することもあります。
特に私立小学校では、一貫した教育方針や設備の充実、ご家庭との連携の強さが特徴であるため、転居後も同様の教育環境を維持することが親御様にとって重要な課題となります。
このような状況では、編入試験に挑戦することで、お子様が新しい環境でも安心して学べる場を確保しようとする親御様の姿勢が見られます。
いじめや人間関係のトラブルなどで、環境を変えたい場合
いじめや人間関係のトラブルは、私立小学校への編入を希望するご家庭が抱える深刻な理由のひとつです。
お子様がいじめを受けている、または人間関係がうまくいかず、学校生活が苦痛になっている場合、現在通っている学校に対して不信感を持つことも少なくありません。
さらに、学校側の対応が十分でないと感じた場合、ご家庭として環境を変えることを選択するケースが多くあります。
私立小学校は少人数制を採用している場合が多く、一人一人の生徒に目が行き届く環境が整っていることが特徴です。
また、教職員の移動や転勤が少なく、生徒にとって安定した学習環境が確保されやすい点も、私立校の魅力です。
加えて、防犯カメラの設置など、いじめ防止に向けた設備面の充実も編入を希望する理由のひとつです。このような環境の整備が、いじめやトラブルで悩むご家庭にとって新たな希望となり得るのです。
私立小学校編入を希望する理由(志望動機)を聞かれるシーン
ここからは、私立小学校への編入を希望する中で、その理由(志望動機)を聞かれるシーンについて詳しく解説します。
編入を希望する理由を伝える際には、そのシーンごとによって独自な切り口やルールが存在し、適切に調整をして答える必要があります。
願書
私立小学校への編入試験において、願書は大変重要な書類です。
学校に対してご家庭の教育姿勢や志望理由を伝えるファーストアプローチとなりますし、願書に書いた内容を元に面接が進むこともあります。
そのため、各校の教育方針や理念を事前にしっかり調査し、ご家庭の教育方針とどのような点が一致しているかを丁寧にアピールする必要があります。
たとえば、学校が掲げる「個性を伸ばす教育方針」に対し、「家庭でも個性を尊重した育て方を心がけている」といった具体的な共通点を示すと説得力が高まります。
ただし、願書の書き方には学校ごとの特徴や「クセ」があり、それを無視して一般的な内容でまとめてしまうと、選考で不利になる場合があります。そのため、願書の基礎的な書き方を学ぶだけでなく、過去の傾向や学校の特色を反映した内容に仕上げることが重要です。また、提出前にプロによる添削を受けることで、内容の精度や表現力を向上させることができます。専門塾や家庭教師を活用し、的確なアドバイスを受けながら願書作成を進めることが成功への近道です。
面接(親子面接、保護者面接)
私立小学校の編入試験における面接は、学校がご家庭の教育方針やお子様の性格、適性を直接確認する場として非常に重視されます。
面接ではお子様だけでなく、保護者も参加することが一般的で、ご家庭全体の価値観や学校への理解が問われます。学校ごとに頻出の質問や傾向があるため、過去の質問例を参考に徹底的な準備を行うことが大切です。
たとえば、「なぜこの学校を希望するのか?」という志望理由に関する質問や、「ご家庭で大切にしている教育方針は?」といった家庭環境についての質問は必ず問われるでしょう。
これらの定番質問に的確に答えられるようQ&Aを作成し、お子様と保護者が一緒に繰り返し練習することが必要です。
ただし、過去の質問例をご家庭だけで集めるのは難しいため、専門塾や家庭教師の助けを借りることをおすすめします。
特に保護者向けの面接指導は重要ですが、それを専門に指導する塾や家庭教師は限られ、特定の学校に強い専門家は早く埋まる傾向があります。編入を検討している場合は、早めに準備を開始し、専門的な指導を受けられる体制を整えることがポイントです。
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個別相談会
私立小学校の編入試験を目指すご家庭にとって、個別相談会は非常に有効な情報収集の場となります。編入説明会や個別相談会に参加することで、学校側に編入希望の意思を直接伝えることができるだけでなく、編入試験の内容や評価基準について具体的な質問をすることができます。また、学校の教育方針や特色について深く知ることで、志望理由を具体化する助けにもなります。
ただし、個別相談会を効果的に活用するには、事前準備が欠かせません。たとえば、「具体的な質問ができない」「ポイントのずれた内容を相談してしまう」といったケースは珍しくなく、相談会を活用しきれないご家庭も多いのが現状です。そのため、相談会の利用方法や質問の仕方について学ぶことが重要です。
具体的には、事前に志望校の教育理念や編入試験の過去傾向を調べ、質問の方向性を明確にしておくことが大切です。また、専門塾や家庭教師のアドバイスを受けて相談会用の質問リストを作成することで、的確なポイントを押さえた質問が可能になります。相談会は単なる情報収集の場ではなく、ご家庭の意欲や熱意をアピールする場としても活用できますので、十分な準備を行い、学校側に好印象を与えられるよう心がけましょう。
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私立小学校編入理由を学校に伝える際に知っておくべきことまとめ
私立小学校へ編入を希望する理由は、ご家庭ごとに存在します。
そして、学校側としてもご家庭の編入希望理由(志望動機)を元に、どのご家庭を迎え入れるかを判断します。
編入となるといささか事情が特殊です。本音と建前が共存する志望理由を組み立てる必要が出てしまうこともあるでしょう。
しかし、大切なのは、編入志望の学校への尊敬の念を忘れずに、正しい知識と方法を元に誠実に気持ちを伝えることです。これは、お子様の所作や学習サポートのようにご家族だけで取り組むことは難しいものです。ぜひ専門家の力を頼って、効率的に準備を進めてくださいね。
