最近、「私立小学校編入試験の難易度は?どれくらい難しいのでしょうか?」といった質問を頻繁に頂きます。
中学校受験を検討されるご家庭や、私立小学校での学びに興味を持たれるご家庭は増加傾向にありますが、希望者(潜在的希望者含む)に対して学校側や受験塾をはじめとする指導者側から供給される情報があまりに少ない現実があります。
私立小学校編入試験の難易度が高い!難しいと言われる理由
編入希望者はもちろん、受験業界の人間からしても「私立小学校編入試験の難易度は高く難しい」と言われています。
どうして私立小学校の編入試験は難しいのでしょうか。その理由をプロが詳しく解説します。
そもそも募集がかからない場合が多い
私立小学校で編入試験が実施されるのは、基本的に既存の児童に欠員が生じた場合のみです。
そのため、学校によっては10年以上も編入試験が行われないケースも珍しくありません。
また、私立小学校は1学年2~3クラスで構成された少人数制を採用している場合が多く、児童一人ひとりの学習や生活環境を丁寧にサポートされます。
その結果、転校などで空席ができない限り募集自体がかからず、編入試験の機会が非常に限られるのです。
このような事情から、編入試験を受けたくても機会を得られないことが、難易度が高いと言われる理由のひとつです。
募集がかかっても人数が少なすぎるから
私立小学校の編入試験では、仮に募集がかかったとしても、その募集人数が非常に少ないです。
運良く募集があったとしても、その人数は通常数名程度に限られます。
さらに、学校によっては学年や性別に制限が設けられる場合もあります。たとえば「現4年生 男子若干名募集」や「第2、3学年の女子各1名のみ」といった条件が付くこともあるため、多くの応募者が条件に合わず受験できない可能性があります。
このように、タイミングや条件が厳しいため、募集があった場合でも合格することが非常に難しく感じられるのです。
編入試験に関する情報や過去問題が出回らないから
私立小学校の編入試験は、受験者や合格者が極めて少ないため、過去問題や試験内容に関する情報がほとんど公開されません。
一般的な入学試験とは異なり、編入試験用の参考書や模擬試験もほとんど存在しないため、どのように対策を進めればよいのか分からず、多くの保護者やお子様が困難を感じます。学校ごとの試験の傾向も明確ではなく、受験者は手探りで準備を進めるしかない状況です。
この情報不足が編入試験の難易度を一層高めている要因です。
兄弟姉妹が優先される傾向があるから
私立小学校では、編入試験で兄弟姉妹が優先される傾向があると言われています。
学校側は、既に在校している兄弟姉妹がいる家庭を選ぶことで、ご家庭との連携が円滑に進むと考えられるからです。
また、保護者も「在校生で子の学校生活を体験する中で、当初考えがあって公立に進ませた他の子にも同じ環境で学ばせたいという想いが生まれた。」といったように、編入にかける想いを伝えやすくなるからです。
特にキリスト教教育を掲げる学校では、ご家族単位での教育を重視する理念が強いため、この傾向がより顕著です。
そのため、外部からの新規応募者は、合格のハードルがさらに高くなると言えます。
私立小学校編入試験で定員割れしている学校も難易度が高い?難しいと言われる理由
私立小学校は、例え定員割れしている学校であっても、編入試験に応募してきた受験者をどんどん落とします。
ふさわしいと思う受験者がいなければ、例え欠員が出ていても1人も合格を出さないことも当たり前にあります。
それは一体どのような理由からなのでしょうか。プロが徹底解説します。
学校の校風や格にふさわしくないご家庭を迎え入れないから
私立小学校では、学校の理念や校風に深く共感し、その価値観を共有できるご家庭を求めています。
これは、児童だけでなくそのご家庭全体が学校の一員として十分な関わり方を実践できるかが問われるためです。
そのため、編入試験ではお子様の評価だけでなく、保護者の教育方針や教育環境、ご家庭の価値観が学校にふさわしいかどうかも厳しく判断されます。
学校の品位や伝統を守るため、校風や格に合わないと判断された場合は、たとえ優秀なお子様であっても不合格となることがあります。
このような徹底した選考基準が、定員割れしている場合であっても受験者を積極的に合格させない理由のひとつです。
編入後に、学校の雰囲気やマナー、風紀を乱されては困るから
私立小学校では、学校内の雰囲気や児童同士の調和が非常に重要視されています。
編入生が学校のマナーや規律、伝統的な風紀を理解し、それに従えるかどうかも厳しく評価されるポイントです。
既存の児童や保護者に不安や混乱を与えたり、学校全体の調和が崩れたりすることを学校側は最も避けたいと考えています。
そのため、編入試験では学力テストや面接だけでなく、学校生活に適応できる性格やマナーの有無も見られます。
「学校の校風や格にふさわしくないご家庭を迎え入れないから」で解説したものと同様、仮に学力や能力が高いお子様であっても、学校の規範に馴染めないと判断された場合は不合格となるのが一般的です。
欠員があっても次回募集で希望者が集まりやすいから
私立小学校では、定員割れが発生しても焦って編入生を受け入れることはありません。
学校の高いブランド力が次回募集で希望者を集める自信につながっているからです。
例えば、一度不合格となっても再挑戦するご家庭や、特定の学校を目指して準備を重ねているご家庭が数多く存在します。
このように、学校側は質の高い希望者が将来的に集まることを確信しているため、現時点でふさわしい受験者がいなければ無理に合格者を出す必要がないのです。
この慎重な選抜基準こそが、学校の品位と価値を維持する重要な要素となっています。
私立小学校編入試験と中学受験どちらが難易度が高い?難しい?
私立小学校編入試験と中学受験どちらが難易度が高く難しいと言えるのでしょうか。
様々な角度から検証した結果、私立小学校の編入試験の方が、中学受験と比較しても難易度が高いと言えるでしょう。
その理由は、受験機会の希少性や合格枠の少なさ、対策の難しさなど、いくつもの点で中学受験よりもハードルが高いからです。
まず、中学受験は毎年必ず募集があり、性別問題(例:男子校を女児は受験できない。など)さえクリアすればどの学校でも受験が可能です。
一方、私立小学校の編入試験は、欠員が生じない限り実施されず、タイミング次第では10年以上募集がかからない学校も珍しくありません。
また、運よく募集があったとしても、定員は1~2名程度と非常に少なく、性別や学年の制限がある場合も多いため、希望する学校の受験資格が得られぬまま小学校を卒業してしまうなんてことも当然にありえます。
さらに、中学受験は市場が大きく都内だけでも100校を超える私立中学校が存在し、1校で100人以上の募集があることが一般的です。
加えて、中学受験に特化した進学塾や教材が多数存在するため、志望校に合わせた具体的な対策が可能です。
これに対し、私立小学校の編入試験は過去問題や情報がほとんど出回らず、参考書や模試もほぼ存在しないため、受験者は手探りで準備を進めなければなりません。
また、小学校編入では学力だけでなく、校風や家庭環境が学校にふさわしいかも厳しく審査されます。
学校側は既存の児童や保護者との調和を重視し、不適切だと判断された場合は定員割れのまま合格者を出さないこともあります。
これらの事情を踏まえると、私立小学校の編入試験は受験機会の希少性、合格枠の狭さ、情報不足、選考基準の厳しさのすべてにおいて、中学受験よりも難易度が高いと言えるでしょう。
私立小学校編入試験の難易度は?どれくらい難しい?プロが解説まとめ
私立小学校の編入試験を、小学校受験や中学校受験の試験と比較することは容易ではありません。
しかし、募集時期や諸条件に不確定要素が多く、また募集人数が極端に少ないこと、試験に関する情報を集めることが困難なことから、私立小学校の編入試験に合格することは大変難しいと断言できます。
正確な情報を持つ塾や家庭教師といったパートナーを見つけ、ご家庭の負担を減らしながら、お子様最優先となるような受験準備を進めていきましょう。
