立教小学校は、日本に3校しかない男子校の一つで、小学校から大学までの一貫教育を提供しています。
立教学院は創立150周年を迎え、小学校自体も約80年の歴史を持つ伝統校です。そのため、小学校受験を考えていない層にも高い知名度があります。
特に、キリスト教(聖公会)の信仰に基づく全人教育や、男児教育に特化した教職員の高い指導力が評価されています。
このような理由から、受験生や保護者から非常に人気があり入学試験の難易度は高いと言われていますが、立教小学校の偏差値と倍率はどの程度なのでしょうか?
プロが実際のデータから詳しく解説します。
小学校受験に偏差値は存在するのか
小学校受験において偏差値は存在しますが、中学・高校受験における偏差値とはその性質が大きく異なります。
小学校受験は学力だけでなく、子どもの性格や個性、家庭の教育方針、保護者の属性や価値観などが選考の重要な基準となるため、一般的な「学力偏差値」のような統一された数値で難易度を評価するのは難しいためです。
しかし、多くの受験塾や幼児教育機関では、模擬試験の結果や合格率から推定された「合格判定」や「難易度ランク」を算出しており、これが目安として用いられることがあります。
この偏差値は、試験内容の分析や合格者の実績を基にしたものですが、絶対的な基準ではありません。
したがって、小学校受験の偏差値は参考値として扱うべきで、学校の選考基準そのものを表すものではない点に注意が必要です。
立教小学校の偏差値
立教小学校の偏差値は、受験塾やインターネット、模試で算出されたものによると50~55程度とされています。
この偏差値は私立小学校全体からみるとやや難関とされるランクに位置します。
ただし、立教小学校はキリスト教に基づく教育理念を重視しており、単なる学力ではなく、家庭の価値観や学校への適合性も合否を決定する重要な要素です。
そのため、偏差値だけで合格可能性を測るのは不十分です。
さらに、同校の試験では口頭試問を通して学力を測るノンペーパー試験に加えて行動観察や事前面接も行われるため、これらの要素を総合的にクリアする必要があります。
特に保護者の価値観や教育方針が学校の理念と一致しているかを示すことや、「立教小学校にどうしても入学したい!」と願う保護者の熱い姿勢が求められます。
真摯な姿勢と熱意を持って、学校側に「立教小学校が第一棒であること」を伝えることが合格の鍵であるため、偏差値のみを目安とせず、学校の方針や受験対策を十分に理解することが重要です。
立教小学校の偏差値を他の小学校と比べてみる
ここからは、立教小学校の偏差値を、受験校を選択する際に比較されやすい他の私立小学校と比べてみましょう。
- 慶應義塾幼稚舎:偏差値 70前後(安定)
- 慶應義塾横浜初等部:偏差値 63~65(横ばい)
- 早稲田大学系属早稲田実業学校初等部:偏差値 61~63(わずかな上昇傾向)
- 青山学院初等部:偏差値 58~60(安定)
- 成蹊小学校:偏差値 53~55(やや上昇)
- 学習院初等科:偏差値 56~58(安定)
- 暁星小学校:偏差値 58前後(安定)
これらの学校は立教小学校と比較され、実際の受験期には併願校となる場合も多いです。
それぞれ特色ある教育方針を持ち、受験においては家庭環境や教育理念の適合性が問われる点も共通しています。
教育方針や試験内容は異なりますが、大学附属校である点や立地、保護者の価値観や雰囲気の近しい点から併願先として検討されやすい学校群と言えるでしょう。
*暁星小学校は高校までの幼小中高一貫校ですが、男子校である点が立教小学校と一致するために取り上げています。
立教小学校の倍率の推移
立教小学校の倍率もほぼ横ばいで推移しており、ここ10年は4倍~6倍の範囲内で安定しています。ただし、受験者数や選考基準の変化により微細な変動が起こることがあります。
立教小学校の倍率を他の小学校と比べてみる
次に、立教小学校の倍率を、受験校を選択する際に比較されやすい他の私立小学校と比べてみましょう。前項「立教小学校の偏差値を他の小学校と比べてみる」と同様の学校群における倍率を紹介しています。
- 慶應義塾幼稚舎:倍率 約10~13倍
- 慶應義塾横浜初等部:倍率 約10 ~16倍
- 早稲田大学系属早稲田実業学校初等部:倍率 非公開(7倍以上想定)
- 青山学院初等部:倍率 約6~8倍
- 成蹊小学校:倍率 約6~8倍
- 学習院初等科:倍率 非公開(10倍以上想定)
- 暁星小学校:倍率 約5~8倍
*学校HP、私立・国立小学校合格マニュアル(伸芽会)などから平均値を算出
これらの学校は、長年にわたり高い人気と難易度を維持しており、偏差値同様倍率的にも大きな変動は見られません。ただし、年度や受験者数の増減、入試問題の傾向などにより、若干の上下はあり得ます。
また、小学校受験独自の特徴のひとつとして「倍率の高さ=難易度の高さ」とならないことを念頭に考えることは大切です。
例えば、立教小学校と同様男子校である暁星小学校の倍率は例年約5~8倍で、10倍を超えるような倍率を誇る人気校の中においてはやや手が届きそうな数字に見えるかもしれません。
しかし、暁星小学校は、立教小学校と同様「どうしても暁星小学校に入りたい!」「暁星小学校が第一志望です!」といったご家庭が例えば受験家庭の大多数を占めます。
合格した場合、他の学校の合格を手放して入学される第一志望家庭が大変多いのが特徴です。
このように、併願校として人気のある学校の倍率5倍と、受験生の中心が第一志望家庭となる学校の倍率5倍はその数字の意味が全く異なってくるのです。
また、各学校の教育方針や特色、求める生徒像が異なるため、倍率だけでなく、学校の理念やカリキュラム、校風なども考慮して志望校を選ぶことが重要です。
立教小学校の偏差値と倍率からみる入学の難易度
立教小学校の偏差値は50~55程度ですが、単純に偏差値のみで難易度を語ることはできません。
同校は倍率が約4~6倍と比較的高く、試験内容も試験やノンペーパー試験(口頭試問など)や行動観察、親子面接など多岐にわたります。
これに加え、学校側はキリスト教に基づく価値観や教育理念を共有できる家庭を重視しているため、保護者の姿勢や家庭環境も重要視されます。
このように、立教小学校の入学試験は、偏差値や学力のみならず、家庭の価値観や準備態勢を総合的に評価する仕組みとなっています。
そのため、倍率と偏差値以上に入念な準備が必要であり、中学校以降の受験と異なり「偏差値が高いから入学が難しい」「倍率が低ければ合格しやすい」というわけではありません。
立教小学校は、その伝統と歴史、教育指導力の高さから大変人気を集めており、入学難易度は総合的に高い難関小学校のひとつと言えるでしょう。
