塾長 Contents【青山学院初等部】行動観察テストとは
青山学院初等部の「行動観察テスト」は、集団の中での振る舞いや協調性、状況判断力、自己表現力など、学力テストでは測れない“人間としての力”を見極めるために実施されています。
名称こそ「行動観察」とされていますが、実際には運動・制作・自由遊び・リズム表現・集団遊びなど、さまざまな課題が設定されており、それぞれの活動を通じて自然な姿を観察することが目的です。
単なる“遊び”や“体験”に見える場面でも、以下のような視点でテスター(試験官)は細かく観察しています。
・自分の考えを言葉で伝えられるか
・周囲の指示をきちんと聞いて動けるか
・仲間と協力して取り組む姿勢があるか
・トラブルが起きた際の対応力や柔軟性
・感情のコントロールができているか
こうした要素は、学校生活において非常に重要です。学習意欲が高くても、周囲と調和しながら生活できなければ、集団の中で安心して成長していくことは難しいといえるでしょう。
青山学院初等部では、この「共に学び合う姿勢」を大切にするため、行動観察を通じてお子様の“本質的な人間力”を丁寧に見極めているのです。
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【青山学院初等部】行動観察テストが出題される理由
青山学院初等部が行動観察テストを重要視している理由は、その教育理念と深く結びついています。
同校では、知識や技術だけでなく、思いやり・誠実さ・協調性といった「人格の土台」を育てることを何より大切にしています。そのため、入試の段階からも「学力偏重」ではなく、お子様の内面や集団の中でのふるまいを丁寧に見極める姿勢が貫かれているのです。
実際の試験では、自由遊びや集団制作、絵本の読み聞かせ、リズムに合わせた身体表現など、一見すると「遊び」にも見える活動が多く取り入れられています。こうした場面では、教え込まれた受け答えや型通りの振る舞いではなく、「その子らしい自然な言動」が表れやすく、観察には最適です。
たとえば──
・自分が使いたい道具を譲れたか
・グループで話し合いをする際、相手の意見に耳を傾けられたか
・失敗したときに感情的にならず、前向きに切り替えられたか
こうした小さな行動の積み重ねこそが、青山学院初等部が大切にする「人としての在り方」に通じるものであり、学校生活6年間を安心して共に過ごせる仲間かどうかを判断する材料になるのです。
【青山学院初等部】行動観察の試験内容
ここからは、2022年度から2024年度にかけて青山学院初等部で実際に出題された行動観察テストの内容をご紹介します。
いずれの年度も、日常的な遊びや集団活動を通じて「お子様本来の姿」が浮き彫りになるような課題が出題されています。どの場面でも、お子様たちの自然なふるまいが観察されるよう工夫されており、知識や演技ではごまかせない「人間性」や「育ち」が問われる構成となっています。
2024年度実施行動観察テスト
■試験内容
【制作と自由遊び】
グループで「お祭りの道具作り」「ボウリングのピン作り」「お店屋さん作り」などを行い、その後、作った道具を使って自由に遊ぶ流れ。
【課題遊び】
・フルーツバスケット
・玉入れ
・体じゃんけん
・ピアノの音に合わせて歩き、音が止まったら静止、タンバリンが鳴ったら決められた人数でグループを作る
【身体表現】
金魚・ミツバチ・忍者・ヘビ・クモ・カエルなどになりきる模倣表現
赤白に分かれ、片方が「鉄砲で撃つ」、もう片方が「撃たれて倒れる」などのごっこ遊びも含まれる
■特徴
制作と遊びが一体化した流れの中で、協調性や主体性、創造力、他者との関わり方を総合的に評価する構成となっていました。
特に注目すべきは「作ったもので遊ぶ」というステップがある点です。制作時の工夫だけでなく、「誰がどう遊ぶか?」「譲れるか?」「一緒に遊ぼうと声をかけられるか?」といった実践的な場面での行動が観察されます。
また、身体表現のなかには“なりきり”や“ごっこ遊び”といった想像力を刺激する要素もあり、恥ずかしがらずに表現する積極性や感情のコントロール力が求められました。
2023年度実施行動観察テスト
■試験内容
【読み聞かせと応答】
受験生たちはイスに座って、テスターによる絵本の読み聞かせを聞きます。読み終わったあとに「どんなお話だったか?」「どう思ったか?」などの質問がされ、手を挙げて答える形式です。
実際に読まれた絵本の一例は以下の通りです。
『コリスくんのかみひこうき』(刀根里衣)
『クマと森のピアノ』(デイビッド・リッチフィールド)
『にんにんにんじゃ』(浦中こういち)
『おべんと もって』(森山京)
『ともだち』(谷川俊太郎)など、10冊以上が確認されています。
【指示行動的なやりとり】
質問の内容に対して、よく聞いて、自分なりに考えた上で発言することが求められました。
■特徴
2023年度は、体を動かす活動よりも「耳で聞く」「言葉で考える」といった内面的な力を丁寧に見ていた点が特徴的です。
読み聞かせを受ける態度や集中力、質問をきちんと理解して答える力、さらには他の子の発言を遮らず待てるかどうかなど、「話を聞く力」や「感情の受け止め方」が問われました。
このような形式では、正解を出すこと以上に、落ち着いて聞き、考え、自分の言葉で伝えようとする姿勢が高く評価されます。
感想を伝えるときに「共感する」「相手の気持ちを考える」といった豊かな情緒も自然と表れるため、青山学院初等部が大切にする“心の成長”が如実に観察できるテストだったと言えるでしょう。
2022年度実施行動観察テスト
■試験内容
【自己紹介】
・ひとりずつ立って自己紹介をする。名前、通っている園、家族構成、お手伝い、好きな食べ物、嫌いな食べもの、旅行に行ってみたい場所、行った時の思い出などを発表する。
・(絵画・工作テストで)自分が制作したものを、みんなに見せながら紹介する。
【自由遊び】
跳び箱・ボール・フープなどの道具を使って自由に遊ぶ時間が設けられました。遊び終えた道具は、決められた場所に戻すよう指示があり、その際の態度も観察対象に。
【移動時の行動観察】
教室から別室へと移動する際、「忍者ごっこ」や「おばけごっこ」といった“静かに歩く工夫”を取り入れた遊びの要素が加えられ、移動中も気を抜けない構成に。
【課題遊び】
・フルーツバスケット
・オニごっこ
・ボール送りゲーム など
集団でルールを守って遊ぶ中での協調性や理解力が問われました。
【身体リズム表現】
ピアノの音に合わせて歩く・走る・スキップなど、音の変化に反応するリズム遊びも出題。
【指示行動(3時のおやつゲーム)】
「ミカン」「おせんべい」「ケーキ」などの言葉に合わせてポーズをとるゲーム。よく聞き、覚え、瞬時に体で表現できるかを確認する内容でした。
■特徴
2022年度は、お子様らしい自由な遊びの中に「マナー・ルール・切り替え」の要素がしっかりと組み込まれていました。
たとえば、自由遊びでは夢中になりながらも道具を片付ける姿勢が見られるか、移動時にテンションが上がりすぎず静かに行動できるか、といった“生活習慣の定着”も評価対象です。
また、音への反応や言語指示への理解力、集団の中での自己抑制など、多角的な視点からお子様のバランスの良さが試される構成となっていました。
全体を通して、ルールを守る力とともに、遊びの中で他者を思いやる姿勢が問われていた点が印象的です。
【青山学院初等部】行動観察テストと5つのお約束
青山学院初等部の教育理念を象徴するのが、入学後にお子様たちが守るべき「5つのお約束」です。
これは単なる校則ではなく、「人としての基本」を身につけるための実践的な指針です。そして実は、行動観察テストではこの“5つのお約束”の土台がすでに備わっているかどうかが、自然な形で確認されています。
以下に、「5つのお約束」の内容と、それがどのような形で試験に表れているかを簡単にご紹介します。
「しんせつにします」
グループ活動で友達に道具を貸してあげたり、困っている子に声をかける姿勢
「しょうじきにします」
ルールを守って遊べるか、勝敗や失敗を素直に受け入れられるか
「れいぎただしくします」
試験官へのあいさつ、道具の扱い方、片づけの丁寧さなどに現れる日常の礼儀
「よくかんがえてします」
ゲームのルールを理解し、どうすればうまくいくかを自分なりに考えて行動する場面
「じぶんのことはじぶんでします」
靴の脱ぎ履きや道具の準備・片づけを自分で行う、自分の意見を自分の言葉で伝える など
行動観察テストは、この「5つのお約束」が日常生活の中で自然と身についているかを測るための場でもあるのです。
指示されたからやる、誰かが見ているからやる、のではなく、“自分の中に根付いた行動”として出せるかどうか。そうした育ちの深さこそが、青山学院初等部の求めるお子様像に直結しています。
【青山学院初等部】ご家庭でできる行動観察テスト対策
青山学院初等部の行動観察テストでは、知識や訓練では補えない「日常のふるまい」がそのまま表れます。
特別な練習をするというよりは、普段の生活の中で“思いやり”や“自律”を育てていくことが何よりの対策になります。
ここでは、2022〜2024年度の出題傾向をふまえて、ご家庭で無理なく取り組める行動観察テスト対策を3つご紹介します。
思いやりを育むための「家庭内コミュニケーション」
家の中での会話こそが、行動観察対策の第一歩です。
たとえば、家族で何かを一緒に行うときに「どうする?」「やってみる?」とお子様に意見を求めたり、うまくいかなかったときには「〇〇ちゃんが頑張ってたの、見てたよ」と気持ちに寄り添った声かけを意識するだけでも、大きな成長につながります。
兄弟げんかや失敗の場面でも、「それって相手はどう思ったかな?」「どうしたらよかったと思う?」と問いかけていくことで、“人の気持ちを想像する力”が養われていきます。
行動観察テストでは、表面的な協力だけでなく、友達の意見を聞いたり、譲ったり、困っている子に手を差し伸べるような“心の動き”が見られています。家庭内の会話を通して「他者視点」を育てていくことは、まさに最大の準備となるでしょう。
自分で考えて行動する習慣づけ
青山学院初等部の行動観察では、ただ言われた通りに動けるかだけでなく、「その場でどう判断し、どう行動するか」がしっかりと見られています。そのため、ご家庭でも“自分で考える習慣”を育てていくことが大切です。
たとえば──
「おもちゃの片づけをどうする?」「次は何をすればいいかな?」といった問いかけを、親が先回りせずにお子様自身に考えさせるようにしてみてください。
また、遊びの中でも「どんなルールにしたら面白くなる?」「2人でやるなら、どう分けようか?」など、お子様が主体的に工夫できるような場面をたくさん作ってあげることが効果的です。
行動観察では、突然出される指示に対してどう対応するか、グループでの活動中にどうやって場を動かすかといった“機転”や“判断力”が求められます。
小さなことでも「自分で決めた」「工夫してみた」という経験の積み重ねが、試験当日の落ち着きと自信につながるのです。
礼儀やマナーを日常に取り入れる
青山学院初等部では、お子様たちのふるまいに「品のよさ」や「落ち着き」が求められる場面が多くあります。これは試験の中でも同様で、あいさつや道具の扱い方、座り方ひとつひとつが観察の対象となります。
ご家庭でも、日々の中で「姿勢を正す」「あいさつをする」「使ったものを元に戻す」といった基本的なマナーを意識的に取り入れていくことで、自然と身についていきます。
特にポイントとなるのが「誰かが見ているときだけでなく、普段から丁寧に行動できているか」ということです。試験当日だけ“いい子”に見せようとしても、慣れていないことはすぐに見抜かれてしまいます。
また、「ありがとう」「ごめんなさい」といった感謝や謝罪の言葉も、お子様が素直に言えるようになるには、家庭での大人の姿が何よりの手本となります。
マナーや礼儀は“形式”ではなく、“他者を思いやる心”の表れです。行動観察テストでは、その根底にある気持ちや姿勢が見られていることを忘れず、毎日の中で少しずつ育てていきましょう。
【青山学院初等部】適性検査B(集団テスト)の全てを決める!行動観察テストの内容や対策方法についてプロが徹底解説!まとめ
青山学院初等部の行動観察テストは、単なる試験の一要素にとどまらず、適性検査B全体を通して常に観察される「人間性の試金石」とも言える重要な評価項目です。
制作・遊び・移動・発言といったすべての場面がテストの一部であり、その中でお子様がどのように感じ、考え、行動するかを丁寧に見極められています。これは、青山学院初等部が6年間を安心して共に過ごせる仲間を選ぶために、最も重視している姿勢そのものです。
だからこそ、受験準備では単に知識やスキルを詰め込むだけでなく、「人との関わり方」「思いやり」「考えて行動する力」を、家庭の中でじっくりと育てていくことが求められます。
入試はゴールではなく、青山学院初等部での豊かな6年間の始まりです。合格を目指すその先にある学校生活を見据え、今できる日々の積み重ねを大切にしていきましょう。
