青山学院初等部は、東京都渋谷区に位置する私立の共学大学一貫校で、長い伝統と国際的な視野を育む教育方針が特徴です。
宗教教育を柱としつつ、個々の個性と自主性を尊重する指導が行われ、子どもたちはのびのびと自ら学ぶ姿勢を育んでいきます。青山学院大学まで続く一貫教育の入り口として、多くのご家庭から高い支持を集めています。
そんな青山学院初等部の入試で惜しくも補欠合格となった場合、繰り上がりで最終的に合格となる可能性はどの程度あるのでしょうか。一部では「補欠は絶望的!?」といった噂も耳にしますが、実際の補欠事情について、プロの視点から詳しく解説していきます。
【青山学院初等部】補欠は回るのか?望みはある!
長い歴史と確かな伝統を誇る青山学院初等部は、毎年7倍前後という非常に高い倍率を記録しています。
男女差の少ない受験者数も特徴で、例年、定員を大きく上回る多くの志願者が集まります。その人気は年々高まっており、「補欠になったら絶望的なのでは?」と不安の声が上がるのも無理はありません。
確かに、簡単に繰り上がりが期待できる状況ではないものの、実際には毎年一定数の補欠合格者が出ています。補欠に入ったからといって、すぐに諦める必要はないでしょう。
【青山学院初等部】補欠が繰り上がる理由とは?
青山学院初等部で補欠合格となった場合、どのような理由で繰り上がりが発生するのでしょうか。ここでは、プロの視点から、代表的な3つの要因をご紹介します。
他校への進学を選ぶ家庭があるため
青山学院初等部の合格者の中には、他の難関校と併願している家庭も少なくありません。特に、慶應義塾幼稚舎や学習院初等科、成城学園初等学校と並び、慶應義塾横浜初等部を受験するケースが多く見られます。
これらの学校の合格発表は、青山学院初等部の結果発表よりもやや遅い時期に行われるため、たとえば11月末に慶應義塾横浜初等部への進学を決めたご家庭が、青山学院初等部を辞退するという流れが生じます。
そのため、特に11月末から12月初旬にかけて、若干ながら補欠繰り上がりが発生しやすい時期となっています。
インターナショナルスクール進学を選ぶケースがあるため
青山学院初等部は、プロテスタントの精神に基づいた宗教教育を大切にするとともに、国際交流や英語教育にも力を入れています。
そのため、もともと国際的な視野を持つご家庭に選ばれることも多く、プレインターナショナルスクールやインター系幼稚園から受験するご家庭も目立ちます。しかし、合格後に改めて教育方針を検討した結果、インターナショナルスクールへの進学を選択する場合もあります。
特に中学以降の海外留学を視野に入れているご家庭では、より英語環境に特化した学校を選ぶ傾向があり、青山学院初等部の合格を辞退する決断につながることがあるのです。
海外転勤や遠方転居により辞退する家庭があるため
青山学院初等部では、合格発表後に親御様の転勤が決まり、入学を辞退せざるを得なくなるケースも一定数存在します。特に海外赴任の場合は、企業の人事異動の内示が出る年末頃に集中するため、12月から翌年1月にかけて辞退が発生しやすい傾向があります。
また、国内でも遠方への転居により、通学が困難と判断して進学を断念するケースも見られます。国際的に活躍するご家庭が多い青山学院初等部では、このような事情による辞退が毎年一定数生じており、結果として補欠合格者に繰り上げのチャンスが生まれることがあるのです。
【青山学院初等部】併願されやすい私立小学校
青山学院初等部で補欠が動く背景には、複数校に合格したご家庭が、最終的に他校への進学を決めるケースが多く関係しています。
では、実際にどのような私立小学校が併願先に選ばれやすいのでしょうか。ここでは、併願されやすい学校をタイプ別にご紹介します。
私立小学校(大学附属校)
まずは、青山学院初等部と併願されることの多い大学附属校から見ていきましょう。慶應、早稲田、学習院といった、いわゆる御三家校に加え、安定した内部進学制度を持つ学校が選ばれる傾向にあります。
慶應義塾幼稚舎(東京都)
伝統ある名門校で、慶應義塾大学までの内部進学が可能。青山学院初等部と並び、私立御三家に数えられ、また筆頭とも呼ばれる最難関人気校です。
慶應義塾横浜初等部(神奈川県)
2013年に開校した比較的新しい慶應附属小学校。英語教育に力を入れ、SFC(湘南藤沢キャンパス)の中高等部を経て慶應大学への内部進学が可能です。
早稲田大学系属早稲田実業学校初等部(東京都)
早稲田大学への進学路が確保されている系属小学校。伝統と進学実績を兼ね備え、居住地問題さえクリアできれば学習院初等科と並んで併願されるケースが多く見られます。
学習院初等科(東京都)
伝統と格式ある学習院の初等教育機関であり、品格ある教育方針と日本の伝統・文化を重要視する教育が魅力。幼稚園から大学までの一貫教育体制を有し、安定した進学ルートが支持されています。
立教小学校(東京都)
聖公会系の教育理念に基づく附属校。立教池袋、立教新座中学校への内部進学が可能で、ノンペーパーの入学考査も特徴。男女別学が許容の男児のご家庭であれば併願したい学校です。
私立小学校(宗教〔プロテスタント〕校)
青山学院初等部と同じく、プロテスタント系の教育を行う学校も併願対象になりやすいです。精神面での共通性を重視するご家庭に好まれます。
聖学院小学校(東京都)
キリスト教に基づく「神を仰ぎ 人に仕う」教育理念を掲げる共学校。地域とのつながりを大切にし、温かな教育環境が魅力です。
東洋英和女学院小学校(東京都)
女子校。プロテスタント精神に基づき、人格教育に力を注ぐ伝統校。品格と知性を育む環境に惹かれるご家庭に人気です。
関東学院小学校(神奈川県)
プロテスタント系共学校。思いやりと自主性を育む教育方針が特徴で、国際性を重視するご家庭からも支持されています。
私立小学校(宗教〔キリスト教教育〕校)
プロテスタント校に限定すると選択肢が狭まるため、キリスト教全体を広くとらえた宗教校も併願対象となります。青山学院初等部の試験内容変更により、近年併願先として選ばれるケースが増えています。
雙葉小学校(東京都)
女子校。厳格な教育方針と落ち着いた校風を持ち、難関中学・高校進学を志向するご家庭に高く支持されています。
白百合学園小学校(東京都)
女子校。カトリック精神に基づいた品位ある教育が特徴。雙葉と並び、難関大学進学を見据える家庭から人気を集めています。
聖心女子学院初等科(東京都)
女子校。国際性と品格を重視するカトリック校で、温かみのある校風が青山学院初等部と近い雰囲気を持ちます。
暁星小学校(東京都)
男子校。フランス系カトリックの伝統を受け継ぎ、語学教育に力を入れる進学校。内部進学と医学部をはじめとする難関大学受験の両立を目指す家庭に選ばれています。
私立小学校(青山学院系属校)
東京都外に位置するものの、青山学院大学への内部進学制度を持つ系属校も選択肢に挙がります。青山学院の教育方針に共感するご家庭が、距離を超えて志望するケースが見られます。
浦和ルーテル学院小学校(埼玉県)
キリスト教精神に基づいた教育を行う共学校。青山学院大学への推薦制度が整備されており、アカデミックな教育環境が整っています。
青山学院横浜英和小学校(神奈川県)
青山学院の系属校で、キリスト教精神に基づいた教育を行う共学校。中学・高校は「青山学院横浜英和中学高等学校」として共学化されており、青山学院大学への内部進学制度も整っています。伝統と先進性を兼ね備えた教育環境が魅力です。
【青山学院初等部】補欠はどのように動くのか?
青山学院初等部の入試で惜しくも補欠合格となった場合、その後どのような流れで繰り上がりが発生するのでしょうか。本章では、補欠が動く仕組みや人数、男女による違いなどについて、プロの視点から詳しく解説します。
青山学院初等部における補欠待機の仕組み
青山学院初等部では、補欠合格者には男女別に番号が付与されており、その順番に沿って繰り上げの連絡が行われます。
補欠繰り上げが決定すると、学校から直接ご家庭に電話で連絡が入るのが通例で、事前の通知は行われないため、突然の連絡に備えておく必要があります。
補欠を待つ期間中は、他校の入学手続き締切や辞退時期との兼ね合いを考慮しながら、適切な判断を求められることになります。また、補欠の進捗状況については、学校へ問い合わせれば教えてもらえる場合もあります。
ただし、補欠が動くペースは毎年異なり、他校の合格発表時期や個々の家庭の事情による辞退などに影響を受けるため、明確な予測を立てるのは難しいのが実情です。一般的には、11月下旬頃から補欠が動き出すケースが多いとされています。
青山学院初等部で補欠が回る人数
青山学院初等部では、例年、男女それぞれ5名前後が補欠から繰り上がると言われています。ただし、この人数は年度によってばらつきがあり、最近では補欠が以前よりも動きにくくなってきた傾向が見受けられます。
背景にはいくつかの要因が考えられます。かつてはノンペーパー入試を採用していた学習院初等科や成城学園初等学校に人気が集中していた時期もありましたが、近年は状況が変化し、青山学院初等部の人気が逆転傾向にあります。
また、学校側が学力向上を強く打ち出す教育方針を取り始めたこと、さらにはコロナ禍以降に「洋上小学校」などの独自行事が復活し、教育活動の幅が広がったことも、人気上昇に影響していると考えられます。
青山学院初等部の補欠は男児と女児、どちらが回りやすい?
従来、青山学院初等部では男児のほうが補欠が回りやすいとされていました。というのも、男児はより偏差値の高い大学附属校、たとえば慶應義塾幼稚舎や早稲田実業学校初等部などに合格した場合、そちらを選択するご家庭が多かったためです。
しかし、近年はその傾向にも変化が見られます。青山学院初等部が入試にペーパーテストを導入し、学力向上に力を入れ始めたことを受け、男児でも「青山学院で学び続けた方が成長につながる」と考えるご家庭が増加しました。
その結果、これまで目立っていた男女間の補欠回りやすさの差は次第に縮まり、現在ではほぼ同等になりつつあります。
とはいえ、補欠が動く状況はその年の受験動向によって左右されるため、必ずしも一概には語れない点には注意が必要です。
【青山学院初等部】補欠は回るのか?補欠合格の可能性をプロが徹底解説 まとめ
青山学院初等部の補欠合格は、人数こそ非常に限られますが、毎年わずかながら繰り上がりが発生しています。
そのため、補欠通知を受けたからといって、すぐに希望を捨てる必要はありません。実際に、過去には補欠から繰り上がり、晴れて入学を果たしたお子様も多数いらっしゃいます。
補欠という状況に不安を抱くのは当然ですが、重要なのは「補欠が回る仕組みを正しく理解し、冷静に行動すること」です。単に連絡を待つだけでなく、どの時期に補欠が動きやすいかを把握し、心の準備をしておくことが、落ち着いた対応につながります。
補欠合格は、あくまでも「チャンスが残されている」状態です。「不合格」とは異なり、まだ青山学院初等部への道は閉ざされていません。焦らず、状況を冷静に見極めながら、最善の判断ができるよう準備を整えておくことが大切です。
最後まで希望を持ち、お子様にとって最良の未来につながる選択ができるよう、前向きな気持ちで向き合っていきましょう。