都心にありながら、広々としたキャンパスと穏やかな空気に包まれる青山学院初等部。子どもたち一人ひとりの個性を尊重し、学びへの好奇心を伸ばす自由な校風が特徴です。
内部進学制度により、青山学院中等部・高等部、そして大学へと続く道が開かれているのも大きな魅力。伝統に裏打ちされた自由な教育環境を求め、毎年多くのご家庭がこの門を目指します。
本記事では、こうした人気と注目を集める難関小学校である青山学院初等部の「偏差値」や「入学の難易度」について、お受験のプロがわかりやすく解説していきます。
小学校受験に偏差値は存在するのか
最初に整理しておきたいのは、小学校受験における「偏差値」という考え方についてです。
中学受験や高校受験で一般的に用いられる偏差値とは異なり、小学校受験には全国統一の試験制度がないため、明確な偏差値は存在しません。
ただし、幼児教室や模擬試験を提供する各種機関が独自に「難易度ランク」や「合格判定偏差値」を設定しているケースは多く、これらが実質的な指標として受験界では広く利用されています。
これらの数値は、受験生の学力だけでなく、出題傾向や過去の合格実績などをもとに作成されており、あくまで参考資料として活用されるものです。
また、小学校受験ではペーパーテストの結果だけでなく、行動観察、願書、さらに家庭環境や保護者の姿勢までもが総合的に評価対象となります。そのため、単純な「学力偏差値」だけでは測れない多面的な審査が行われることを理解しておくことが大切です。
【青山学院初等部】偏差値
正式な偏差値は設定されていないものの、受験塾や教育機関が発表しているデータによれば、青山学院初等部は小学校受験において最難関校のひとつと位置付けられています。
私立小学校の難易度は、志願者数、試験内容、倍率、そして合格者の学力層などをもとに総合的に判断されます。その中で青山学院初等部の推定偏差値は、概ね58〜60前後と見られています。この数値は、東京都内においてもトップクラスの人気を誇る有名小学校と肩を並べるか、それを上回る水準にあたります。
もちろん、これらはあくまでも推定値に過ぎませんが、それでも青山学院初等部の入学が「非常に狭き門」であることを十分に物語っています。
【青山学院初等部】偏差値が高い理由
青山学院初等部が高い偏差値を誇る背景には、いくつかの明確な理由があります。
まず、最大の魅力は、青山学院大学まで続く一貫教育の内部進学制度が整備されていること。小学校入学時点で、青山学院中等部・高等部、さらに大学への道筋が開かれていることは、他の学校にはない大きなアドバンテージとなっています。
特に青山学院中等部・高等部は、中学受験市場でも屈指の人気と高偏差値を誇る存在であり、内部進学によってこれらの学校に進めるという利点は、多くのご家庭を強く惹きつけています。
さらに、青山学院初等部ならではの特色として「キリスト教教育」が挙げられます。私立小学校では宗教教育を行う学校は珍しくありませんが、共学校であり、かつ大学まで附属している学校は非常に限られています。
将来を見据えながら、心の成長を大切に育む教育環境を求めるご家庭にとって、青山学院初等部はまさに理想的な選択肢となっているのです。
また、入試においてはペーパーテストが導入されている点も特徴のひとつです。かつて青山学院初等部では、他の「御三家」と同様にペーパー試験を実施していませんでした。しかし2020年度の入試改革により、個別試問(適性検査A)を廃止し、新たにペーパーテスト形式を採用しました。
この変化の背景には、感染症対策だけでなく、以前から行われていた「口頭で答えるスタイルの机なしペーパー」が進化する形で、より一般的なペーパーテストに移行する必然性もあったと考えられます。
加えて、近年では青山学院中等部・高等部から、初等部児童の学力向上を求める声も高まっており、学習量や宿題が増加傾向にあることもこの変更に影響していると見られています。
このように、内部進学のメリット、宗教教育という独自性、そして入試改革に至るまで、さまざまな要素が積み重なり、青山学院初等部は「偏差値が高く、合格が難しい学校」としての地位を確立しています。
ただ単に難関であるというだけでなく、伝統、ブランド力、教育内容の質、そのすべてが受験生とご家庭の心を惹きつけてやまない理由なのです。
【青山学院初等部】偏差値を他の小学校と比べてみる
想定偏差値58~60前後相当と推測される青山学院初等部を、受験時に併願されることが多いと言われる他の私立小学校と比較してみましょう。
・慶應義塾幼稚舎:偏差値 70前後(東京都)
・慶應義塾横浜初等部:偏差値 65~68(神奈川県)
・早稲田大学系属早稲田実業学校初等部:偏差値 61~63(東京都)
・学習院初等科:偏差値 59~61(東京都)
・浦和ルーテル学院小学校:偏差値50~52前後(埼玉県)
・青山学院横浜英和小学校:偏差値50~52前後(神奈川県)
・暁星小学校:偏差値 58~60前後(東京都)
・立教小学校:偏差値50~55前後(東京都)
これらの学校は、いずれも青山学院初等部と並ぶ難関校として知られており、受験シーズンには併願先として検討されることが多い学校群です。いずれの学校も独自の教育理念を掲げ、入試では学力だけでなく、家庭の教育方針や家庭環境との適合性も重視される点が共通しています。
併願先の中心となるのは、「慶應義塾幼稚舎」や「学習院初等科」など、いわゆる「私立小学校御三家」と呼ばれる名門校です。加えて、居住地の条件を満たす場合には「早稲田実業学校初等部」も有力な選択肢となります。
また、「慶應義塾横浜初等部」も、受験日程が重ならないことや共学で大学附属校である点から、併願対象として選ばれることがあります。
さらに、青山学院系列校を志望するご家庭では、「浦和ルーテル学院小学校(埼玉県)」や「青山学院横浜英和小学校(神奈川県)」への受験も選択肢となりえます。これらの
学校は東京都外に位置していますが、キリスト教に基づく教育と、卒業後に青山学院大学への内部進学が期待できる環境が整っています。
両校の偏差値を見た際に、いくらか余裕があるように思われるかもしれません。
しかし、神奈川県や埼玉県は、東京都と比べて小学校受験に挑戦するご家庭の絶対数が少なく、また地域内の私立小学校の数自体も限られているため、相対的に偏差値が低めに出る傾向があります。
そのため、単純に数字だけを見て「入りやすい」と判断してしまうのは早計です。
実際には、両校とも「名門・青山学院の系属校」という圧倒的なブランド力を背景に、各地域においてトップクラスの人気を誇っています。
特に、青山学院大学への内部進学ルートが期待できる点は、多くのご家庭にとって非常に大きな魅力となっており、例年高い競争率を維持しています。
「埼玉校」「神奈川校」という地理的な特徴に油断することなく、本校受験と同様に十分な準備と対策を講じることが、合格への鍵となるでしょう。
加えて、宗教教育を重視するご家庭では、男女別学ながら高い人気を誇る「暁星小学校」「雙葉小学校」「白百合学園小学校」や、「立教小学校」といったキリスト教系名門校も併願候補に挙がります。
これらの学校はいずれも中高一貫体制を持ち、幼少期から将来を見据えた教育に力を入れている点が高く評価されています。
ただし、ここで挙げたすべての学校は、いずれも「滑り止め」と呼べるような存在ではありません。それぞれが第一志望校として強く希望されることも多く、非常に高い競争率と難易度を誇っています。
したがって、併願校であっても本命校と同様に丁寧な準備と真剣な姿勢で受験に臨むことが、合格への近道となります
【青山学院初等部】偏差値からみる入学の難易度 まとめ
青山学院初等部は、偏差値の高さだけでなく、併願対象となる他校もいずれも最難関クラスに位置する、東京都内屈指の難関私立小学校です。
受験の競争の激しさは群を抜いており、合格を勝ち取るためには、徹底した準備と戦略的な取り組みが不可欠です。
第一志望とする場合はもちろんのこと、併願校選びにおいても、教育理念や入試形式、将来の進学ルートなどを総合的に見極めたうえで、無理のないスケジュールと学習計画を立てることが重要になります。
また、こうした難関校受験を成功させるには、保護者による継続的なサポートと情報収集力も不可欠な要素です。
受験準備を単なる学力対策にとどめず、日々の生活を通して「志望校にふさわしい家庭環境」を整えていく姿勢が、最終的な合否を大きく左右する鍵となるでしょう。