青山学院初等部は、キリスト教に基づく教育理念を掲げ、「心の教育」と「知の教育」の両輪で児童の成長を支える共学の私立小学校です。
都心の中にありながら、自然豊かな環境や多様な人との出会いに恵まれた校風のもと、お子様たちは6年間を通じて、のびのびとした心と確かな学力を育んでいきます。
そんな青山学院初等部では、教室を飛び出して体験を通じた学びを重視しており、年間を通してさまざまな宿泊行事が行われています。
その中でも冬に実施される「雪の学校」は、自然の厳しさを体験しながら、仲間と共に学ぶ“生きた学び”の集大成といえる行事です。
【青山学院初等部】雪の学校とは何か?
青山学院初等部で1973年から続く伝統行事「雪の学校」は、3年生から6年生の児童が参加する縦割り型の宿泊学習です。舞台となるのは、長野県にある「ラボランドくろひめ」。白銀に包まれた自然の中で数日間を過ごすことで、教室では得られない多くの学びを体験します。
会場や実施アクティビティについて
毎年2月に実施される雪の学校では、雪遊びやスノーシューを使った登山、イグルーづくりなど、学年ごとに異なる活動が用意されています。
3・4年生は雪に親しむ活動を中心に、5・6年生はより挑戦的なアクティビティに取り組みます。自然との共生を体感し、五感を使って学ぶこの時間は、児童たちの成長に大きな影響を与えます。
安全体制とサポート体制
青山学院初等部の児童が雪の学校に安心して参加できるよう、現地には医師と看護師が常駐し、万全の医療体制が整えられています。
さらに、青山学院大学の学生がアシスタントリーダーとして各パーティ(グループ)に2名ずつ付き添い、生活面でも手厚くサポートします。
出発前には保護者向けの説明会や健康チェック、装備に関するガイダンスも行われ、家庭との連携を図りながら丁寧に準備が進められます。

【青山学院初等部】雪の学校で得られる成長や学びとは?
日常生活では出会えない自然の厳しさや不便さを体験する雪の学校。そこには、青山学院初等部の児童たちが大きく成長するためのヒントがあふれています。
4学年合同だから生まれる「憧れと成長」の機会
雪の学校では、学年を超えて編成された縦割りグループで生活を共にします。上級生は下級生の面倒を見ながら責任感を育み、下級生は上級生の姿から学び、自立心を育てていきます。この上下のつながりは、学校生活の中ではなかなか得られない「思いやり」や「憧れ」の感情を育て、互いを尊重し合う心の土台となります。
年齢や立場を超えた関係性の中で、お子様たちは自然とリーダーシップやフォロワーシップを学びます。普段の学校生活では接点の少ない他学年の児童とも深く関わることで、新たな視点を得たり、自分の立ち位置を見直すきっかけにもなります。
また、上級生にとっては「見られている自分」を意識する機会となり、行動や言葉遣いに自覚と責任が生まれます。こうした学びは、雪の学校を終えた後の学校生活や日常にも活かされていくのです。
縦割りグループによる共同生活
パーティと呼ばれる縦割りグループでの生活では、寝食を共にしながら日々の活動に取り組みます。朝の起床から就寝まで、自分たちで時間を管理し、役割分担をしながら生活を成り立たせていきます。
例えば、食事の配膳や清掃などの小さなタスクにも主体的に取り組むことで、「自分のことは自分で行う」という意識が芽生えます。
ときには予定通りにいかないこともありますが、その中でグループの誰かが困っていることに気づいたり、自分の役割を超えて手を差し伸べたりする場面も数多く見られます。
こうした経験の積み重ねが、集団生活に必要な協調性や柔軟性を育てるだけでなく、互いに信頼を寄せ、助け合える関係性を築くきっかけにもなっています。行事の終盤には、児童たちの表情に「大人びた自信」が芽生え、成長を実感できる瞬間が随所にあらわれます。
青山学院初等部生としての誇りと自覚を育む
雪の学校の最終夜には、「クロージングセレモニー」が行われます。児童たちが自ら手がけた雪像の舞台にろうそくの灯をともすなかで、自然や仲間、支えてくれた人々への感謝の気持ちを静かに表現します。
このセレモニーでは、6年生に卒業証書が手渡され、小学校生活最後の宿泊行事が感動のうちに締めくくられます。
それまでの数日間で得た経験を思い返しながら、一人ひとりが心の中で何かを受け取り、次のステップへの覚悟を固める時間でもあります。寒空の下、灯されたろうそくの炎には、お子様たちの成長と未来への希望が象徴されているようです。仲間とともに過ごした特別な時間、乗り越えた困難、自分の役割を全うした達成感。
それらすべてが「青山学院初等部生としての誇り」となり、これからの人生の土台となっていくのです。
【青山学院初等部】雪の学校は大学附属校の醍醐味!大学生との学院交流に
雪の学校では、青山学院大学の学生がアシスタントリーダーとして参加し、児童たちと生活を共にします。これらの学生は自ら志願し、初等部児童のサポート役として行事全体を支えています。
大学生と児童の交流は、まさに“学院の連携”を象徴するもの。児童たちにとっては少し年上の身近な存在でありながら、優しさと頼もしさを備えたリーダー像に触れることで、新たな憧れや目標が生まれます。
大学生側にとっても、お子様と関わることで得られる学びは多く、社会人としての第一歩を実感する貴重な経験となっています。
このように、青山学院という枠組みの中で世代を超えた関わりが生まれることは、お子様たちにも大学生にも大きな成長をもたらしているのです。
【青山学院初等部】雪の学校学年ごとの活動内容
青山学院初等部の在校生4学年が一堂に会する雪の学校ですが、活動内容は学年ごとに異なり、それぞれの成長段階に応じた体験が用意されています。
3・4年生の活動
3・4年生は、まずは雪に親しむことを目的に、歩くスキーや雪遊び、そりすべりなどのシンプルで楽しいアクティビティを中心に体験します。雪だるま作りや雪合戦といった活動の中で、友達と笑い合い、協力する喜びを感じながら、自然に触れる楽しさを存分に味わいます。
これらの遊びの中には、安全に遊ぶためのルールやマナーを守ること、自分のことは自分で行うという基本的な生活習慣も含まれており、楽しみながら社会性や自立心を身につけていくことができます。
また、初めての宿泊行事としての体験から、寝具の整理や持ち物の管理、時間を守る行動など、次の学年以降の宿泊行事につながる大切な準備期間ともなります。
5・6年生の活動
高学年になると、活動はより本格的でダイナミックな内容へとステップアップします。スノーシューを履いての雪山登山では、雪の上を踏みしめながら仲間とともに頂を目指す達成感を味わいます。
体力的にも精神的にも挑戦となるこれらの活動では、自己管理能力や仲間と助け合う力が自然と身につきます。
また、雪を積み重ねて作る本格的なイグルー制作や、雪の結晶や風景を観察しスケッチする学習的なプログラムも組まれており、自然との関わりをより深いものにしていきます。
さらには、黒姫地域の暮らしや文化についてのフィールドワーク、地元の小学生との交流の時間も設けられ、地域とのつながりを感じる学びへと広がっていきます。
全学年での活動
全学年で取り組む活動としては、開会式・閉会式や礼拝をはじめ、クロージングセレモニー、雪像づくり、夜の振り返りの会などがあります。これらは、学年を越えた児童同士が協力し合い、互いに理解し合う貴重な機会となっています。
特に人気が高いのが雪像づくり。チームごとにテーマを決め、雪を掘り進めながら独創的な作品を完成させていく中で、創造力や表現力、そしてチームワークが自然と養われていきます。
夜には、全体でその日の出来事を振り返りながら、学びや気づきを言葉にする時間も設けられ、心の成長を内省的に深める貴重な時間となっています。全体での活動を通じて育まれる“横のつながり”と“集団としての一体感”は、雪の学校ならではの醍醐味です。
【コラム】コロナ禍での雪の学校
2021年度の雪の学校は、新型コロナウイルスの影響により中止となりました。長い歴史の中でも中止となるのは非常にまれであり、多くの児童・保護者にとっても残念な出来事でした。
しかし翌2022年度以降、安全対策を講じたうえで行事は再開され、2025年1月には第53回の雪の学校が開催されました。
この年は2019年以来、久しぶりに3年生から6年生までの全学年が全期間を共に過ごす形式が復活。自然の中での活動を通じて、お子様たちは仲間との絆を深め、雪と向き合う日々の中で心身ともに大きく成長していきました。
【青山学院初等部】雪の学校とは?壮絶?スキー合宿?“本物の学び”を徹底解説!まとめ
雪の学校は、青山学院初等部の教育理念を象徴する宿泊行事のひとつです。厳しい自然と向き合いながらも、仲間と支え合い、異学年の交流や大学生リーダーとの関わりの中で、多くの学びと成長を経験します。
この行事は、単なる冬の体験学習ではなく、お子様たち一人ひとりの心に深く残る“人生の節目”ともいえる特別な時間です。雪の学校で得た経験は、卒業後もその後の人生を支えるかけがえのない力となっていくことでしょう。
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