青山学院初等部は、キリスト教の価値観に基づきながら、心と体、そして知性をバランスよく育てることを教育の柱とする伝統校です。渋谷区青山という都心にありながら緑あふれる恵まれた環境の中で、6年間の小学校生活を通じて児童一人ひとりが豊かに成長していくことを目指しています。
そんな青山学院初等部には、ユニークでこだわりの詰まった「給食」が存在することをご存知でしょうか?保護者や教育関係者の間でも注目される、特別な給食の秘密に迫ります。
【青山学院初等部】給食について詳しく解説!
まずは、青山学院初等部の給食について詳しく解説します。完全給食なのか?メニューは?どこで食べるの?など、皆様の疑問にプロが詳しくお答えします。
【青山学院初等部】完全給食制?
青山学院初等部では、週4日(月・火・水・金)が給食、木曜日のみお弁当の日という“部分給食制”を採用しています。
ただし、木曜日には毎週1学年だけが「ランチョン」と呼ばれる特別給食をいただくというユニークな制度があり、これは学校の食育方針の集大成ともいえる行事です。
【青山学院初等部】1学年だけのスペシャル給食 ランチョン
木曜ランチョンは昭和45年に始まり、「一人ひとりの食事を大切にする」という理念のもと、1学年ごとに週替わりで行われます。
通常は6学年で分担される調理と配膳のリソースを1学年に集中させ、丁寧に手をかけた“理想的な食事”を提供するのが特徴です。
料理は旬の食材を使い、昆布やかつお節で出汁をとった和食や、洋中それぞれの基本に忠実なスープなど、調理法にもこだわりが感じられます。食器には陶磁器や塗り物が使われ、食事のマナーや器を大切にする心も養われます。

【青山学院初等部】給食は教室で食べない?どこで食べる?
青山学院初等部の給食をどこで食べるのか?といった疑問をインターネット上で検索される方が多いそうです。一般的に考えれば、給食は各教室か食堂などでいただくことが通常と言えるでしょう。
しかし、青山学院初等部の児童が給食を食べる環境は少し変わっています。詳しく見ていきましょう。
食堂での給食(スクーンメーカーホール)
青山学院初等部の給食は、6学年中2学年ずつが順番に「スクーンメーカーホール」と呼ばれる食堂で提供されています。
このホールは、青山学院を創設した宣教師スクーンメーカー先生の名を冠しており、初等部の食文化を象徴する重要な施設として長年にわたり大切にされてきました。
食堂は地下1階に位置していますが、北側に設けられた大きなガラス窓から自然光がたっぷりと差し込む構造になっており、開放感と清潔感あふれる空間となっています。
約300名が一度に利用できる広さがあり、児童と教職員が共に過ごす食事の時間を支える場として機能しています。静かな空間の中で、友人や先生と食事を囲む時間は、単なる給食以上に、心を育む豊かなひとときです。
ペア学年で食事を共にする意義
スクーンメーカーホールでの給食は、単なる栄養補給の時間にとどまらず、学年を超えた交流の場としての役割も担っています。初等部では、上級生と下級生がペア学年となり、同じテーブルで一緒に食事をとるスタイルを導入しています。
この取り組みによって、上級生には下級生を導く立場としての責任感が育まれます。食事中のマナーを教えたり、食器の扱いを手伝ったりする中で、自然とリーダーシップや思いやりの心が養われていきます。
一方、下級生にとっては、身近にいる頼れる存在としての上級生を見習い、礼儀や姿勢などを学ぶ貴重な機会になります。
こうした日常のなかで育まれる信頼関係は、学校全体の温かな雰囲気づくりにつながっており、青山学院初等部の伝統や精神を自然と次の世代に継承していく大切なプロセスの一部となっています。
教室での給食風景
食堂を利用しない学年では、それぞれの教室で給食の時間を迎えます。各教室には、温かいものを温かく、冷たいものを冷たいままで提供できるように工夫された保温・保冷ワゴンが2台ずつ設置されており、衛生的で快適な配膳環境が整っています。
配膳には木製の配膳台や専用のワゴンが活用されており、器具や食材の扱い方にも配慮が行き届いています。食器やカトラリー類も丁寧に保管されており、お子様たち自身が責任を持って準備や後片付けに取り組む姿勢を身につける場ともなっています。
教室では、机の配置を変えて4人組のテーブル形式にしたり、ランチョンマットを敷いたりするなど、それぞれのクラスで独自の雰囲気づくりが行われています。食事の時間を学級の中でのコミュニケーションの場と捉え、豊かな人間関係の育成にもつなげているのが特徴です。
コロナ禍を経ての変化
新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、青山学院初等部の食堂給食にも大きな制限が加わりました。
従来は2学年8クラスと教職員を含め、約300人が一堂に会していたスクーンメーカーホールでの給食は、一時的に1学年2クラス(約70人)にまで縮小され、ソーシャルディスタンスを保ちながら前を向いて静かに食べる形式がとられていました。
しかし、感染状況の緩和とともに2023年度からは段階的に人数が拡大され、現在では1学年と教職員(約160人)が一緒に食事をとれるように戻りつつあります。
まだ大声での会話を控えるといった配慮は残されていますが、児童たちが隣の友だちや先生と顔を合わせながら食事を楽しめるようになり、笑顔と活気が戻り始めています。
お子様たちの「食を囲む喜び」を再確認しながら、日常が少しずつ取り戻されていく様子は、学校全体にとっても希望と前進の象徴となっています。今後も衛生対策をしっかり講じながら、かつてのような温かな給食時間の風景が完全に復活する日が待たれます。
【青山学院初等部】給食にかける想い
初等部では、食事を「ただ食べる」ものではなく、「命をいただく時間」として大切にしています。お子様たちは食を通して、感謝や配慮の気持ち、心と体の健やかな成長を学んでいきます。
給食の基本的な狙い
旬の食材を使い、栄養バランスのとれた献立を提供 ・できる限り手作りにこだわり、加工品を減らす ・温かいものは温かく、冷たいものは冷たく提供 ・多様なメニューで“味の経験”を豊かにすることなどにこだわり、メニュー開発や調理が行われています。
このように細部までこだわった食事づくりが、初等部ならではの食育につながっています。
ご家庭との連携
青山学院初等部のご家庭には、献立予定表が毎週配布されており、ご家庭でも夕食などの献立を調整しやすくなっています。
牛乳が出ない日にはヨーグルトでカルシウムを補うなど、家庭と学校が連携してお子様の健康を支える体制が整っています。
家でも味わえる!青山学院初等部のレシピ公開
青山学院初等部のレシピは、なんとインターネットで一般公開されています。だれでも閲覧可能なこのレシピ集では、学校で実際に提供されているメニューを家庭で再現することができます。
受験を検討するご家庭にとっても、初等部の価値観や教育方針を感じる貴重な資料となるでしょう。ぜひご覧ください。
https://www.age.aoyama.ed.jp/school_life/lunchmenu/lunchmenu2020.html
【青山学院初等部】給食プロジェクトとは
青山学院初等部では、日々の給食を「食べる」だけの時間で終わらせず、お子様たちが“食”というテーマに対して主体的に関わる機会を設けています。
その代表的な取り組みが「給食プロジェクト」です。児童自身が食材や調理法、文化やマナーといった多角的な観点から「食」にアプローチし、学び、考え、学校全体に向けて発信することで、実体験を通じた食育が実現されています。
給食プロジェクトの目的
このプロジェクトの目的は、単に食の知識を身につけることではありません。お子様たちが自ら興味を持ち、仲間と協力しながら調べ、考え、発信するという一連のプロセスを通じて、「食べること」の背景や意味、そして感謝の心を育てることに重きが置かれています。
給食室との協働によって新しい献立を考案する活動や、季節の食材について学びながらポスターや資料を作成する活動もあります。
中には、学校全体に親しまれるようなキャラクターを自分たちで考案する班もあり、お子様たちの創造性が発揮される場にもなっています。
こうした活動は、知識を得るだけでなく、「伝える力」や「表現する力」を育む絶好のチャンスでもあり、初等部全体の食文化を児童の手で育てていく貴重な経験となっています。
活動の内容
給食プロジェクトでは、児童たちはいくつかのグループに分かれ、それぞれのテーマに応じて調査・企画・発表といったプロセスを踏んでいきます。各グループには担当の教員がつき、対話を重ねながら、主体的に活動を進めていきます。
あるグループは「新しい献立の提案」をテーマに、季節の旬の食材や栄養バランスを意識しながらメニューを構成し、実際に給食室と連携して試作に挑戦します。また、別のグループでは「学校給食に関するキャラクターの創作」を行い、食べることの大切さを楽しく伝えるポスターや資料を制作。
さらに、四季折々の料理や、日本ならではの行事食など、食文化を切り口にした調べ学習に取り組み、その成果を全校児童へ向けて発信する取り組みもあります。これらの活動を通じて、お子様たちは食に対する関心と理解を深め、伝える力やチームで協働する力も自然と身につけていきます。
児童の声
プロジェクトに参加した児童たちからは、「自分たちで考えた献立が実際に給食で出た時、すごく嬉しかった!」「食材のことを調べてみたら、家での食事でも気になるようになった」といった感想が寄せられています。
また、「友だちと意見が合わない時もあったけど、話し合って決めることで、もっとおいしいアイデアが生まれた」「家族に給食の話をしたら『そんなことまでやってるの?』って驚かれた」など、家庭との会話が増えたという声も多く、活動が学校だけにとどまらず家庭にも広がっている様子がうかがえます。
自分たちの学びが実際の食事に生かされるという体験を通じて、お子様たちは“食べること”の奥深さや、それを支える人々の存在に気づき、さらに感謝と誇りを持つようになります。このように、給食プロジェクトは単なる学習活動ではなく、心の成長につながる大切な教育のひとつとなっているのです。
【青山学院初等部】給食費はいくら?
これだけ手間と工夫が詰まった給食ですが、費用は年額85,000円(月額換算で約7,000円)。公立の給食費よりは高めですが、メニューの多様さや設備、そして木曜ランチョンなどの特別食を含むことを考えれば、納得の価格設定です。
【青山学院初等部】給食がすごい!レシピが公開されている!?秘密をプロが徹底解説!まとめ
青山学院初等部の給食は、栄養やおいしさはもちろんのこと、食育としての意義や児童の心の成長までも見据えた、まさに“学びの食事”です。
美味しくて、安全で、そして学びにもつながる。そんな青山学院初等部の給食は、お子様の6年間の成長を支えるかけがえのない時間となっています。