青山学院初等部は、東京都渋谷区に所在する私立の男女共学校で、幼稚園から大学・大学院までを擁する学校法人青山学院の一貫教育の出発点となる小学校です。
キリスト教に基づく教育理念のもと、知性と感性のバランスを育みながら、子どもたちの個性を大切に伸ばしていく教育方針が特徴です。
緑豊かな青山キャンパス内で、豊富な体験学習や礼拝を通して、社会に貢献できる人材を育成しています。伝統と革新が共存するこの環境が、長年多くの家庭に支持され続けています。
そんな青山学院初等部の受験倍率は、現在どの程度なのでしょうか?プロが詳しく解説します。
【青山学院初等部】伝統校群において唯一、右肩上がりに倍率を伸ばす!
青山学院初等部は、慶應義塾幼稚舎(東京都)、学習院初等科(東京都)と並び、私立小学校御三家の一角を担う歴史ある伝統校です。
学校法人青山学院が運営するこの初等部は、幼稚園から大学・大学院までを擁する共学の一貫教育体制を築いており、初等部卒業後はほとんどの児童が中等部、さらには大学へと進学しています。
また、青山学院初等部は、定員の少なさでも知られています。御三家のうち、慶應義塾幼稚舎や学習院初等科は、それぞれ100名を超える定員を有していますが、青山学院初等部の合格定員は男女各44名、合計88名のみ。非常に狭き門となっています。
志願倍率においても、青山学院初等部は例年5倍前後という高い水準を維持してきましたが、近年ではその倍率がさらに上昇。現在では7倍に迫る超高倍率となっており、大きな注目を集めています。
一般的に、伝統校や名門校と呼ばれる私立小学校では、倍率は微増・微減を繰り返しながら比較的安定して推移するものです。そのため、誰もが知る有名校である青山学院初等部が、ここまで顕著に倍率を伸ばしている現象は、まさに歴史的快挙と言えるでしょう。
このような背景から、年を追うごとに「合格」を勝ち取るための競争は、よりし烈さを増しています。さらに、青山学院初等部では男女間の倍率差が小さいことも特徴です。
これは、慶應義塾幼稚舎のように男女別で大きく異なる募集定員を設けていないことや、学習院初等科と比べ、大学まで内部進学を目指す児童が多いことに起因していると考えられます。
また、青山学院初等部では長らくペーパーテストが実施されていませんでしたが、2021年以降、新たにペーパーテストが導入されました。
これにより、青山学院初等部に特別な縁故やコネクションを持たない家庭でも、ペーパーテスト対策を通じて受験のチャンスをつかもうと挑戦する動きが広がり、さらに倍率上昇を後押しする結果となっています。

【青山学院初等部】倍率推移
青山学院初等部の受験倍率は年々上昇傾向にあり、歴史ある名門校でありながら、今なお成長を続ける人気校となっています。
では、具体的にその倍率はどのように推移してきたのでしょうか。ここでは詳しく見ていきましょう。
青山学院初等部の受験倍率は、この約10年間、常に高水準を維持しており、「私立小学校倍率ランキング」でも毎年ベスト10入りする常連校となっています。
また、東京都の私立小学校では、多くの学校が11月上旬に入学試験を実施しますが、青山学院初等部も例年2日間にわたり試験を行っています。その中で、これだけの高い倍率を記録していることからも、同校の人気と注目度の高さがうかがえるでしょう。
なお、年度によって男女別の倍率には若干の変動が見られますが、青山学院初等部は基本的に男女間で大きな倍率差が出にくい学校としても知られています。
以下に、過去13年間(2012年~2024年)の推定出願倍率の推移をまとめています。
■総合倍率
2024年 約6.7倍
2023年 約6.5倍
2022年 約7.1倍
2021年 約5.8倍
2020年 約5.5倍
2019年 約5.6倍
2018年 約5.1倍
2017年 約5.1倍
2016年 約4.4倍
2015年 約4.0倍
2014年 約4.5倍
2013年 約4.6倍
2012年 約4.8倍
■男児の倍率
2024年 約6.8倍
2023年 約6.0倍
2022年 約7.0倍
2021年 約5.6倍
2020年 約5.3倍
2019年 約5.8倍
2018年 約4.9倍
2017年 約4.5倍
2016年 約4.3倍
2015年 約3.5倍
2014年 約4.4倍
2013年 約4.5倍
2012年 約4.8倍
■女児の倍率
2024年 約6.5倍
2023年 約7.0倍
2022年 約7.3倍
2021年 約6.1倍
2020年 約5.7倍
2019年 約5.3倍
2018年 約5.3倍
2017年 約5.6倍
2016年 約4.5倍
2015年 約4.4倍
2014年 約4.5倍
2013年 約4.7倍
2012年 約4.8倍
(※正確な数値は公表されていないため、推定値を含みます。)
少子化の影響で他の私立小学校では倍率が下がる傾向がありますが、年々倍率(受験者数)を伸ばす青山学院初等部の人気は右肩上がりであり、今後も伸びていくと予測されています。
【青山学院初等部】倍率が高い理由
青山学院初等部の倍率は、なぜこれほどまでに高いのでしょうか。その背景には、他校にはない特色と長年積み重ねてきた信頼が深く関係しています。
ここでは、4つの大きなポイントに分けて、プロの視点から詳しく解説していきます。
都内屈指の名門大学附属校であり、大学まで一貫した教育を受けられるから
青山学院初等部は、東京都渋谷区という都心にありながら、緑豊かな環境に恵まれた青山キャンパス内にあります。
幼稚園から大学・大学院までを擁する一貫校であり、青山学院初等部に入学できれば、原則として中等部・高等部、そして青山学院大学への進学が可能です。
途中の進級時に内部試験は課されますが、外部受験に比べれば精神的な負担は大きく軽減され、のびのびと成長できる環境が整っています。
長期的な視点で子どもの未来を考えるご家庭にとって、幼少期から大学まで安定した進学ルートを確保できることは、非常に大きな安心材料となっているのです。
附属校である中等部が中学校受験において高倍率・高偏差値校だから
青山学院初等部の卒業後に進学する青山学院中等部は、中学受験市場でも常に高い人気を誇る進学校です。
大手塾の四谷大塚による偏差値データでは、男子60、女子65という高水準を維持しており、特に女子にとっては憧れの難関校のひとつとなっています。
「小学校卒業後は、できる限りレベルの高い中学校、大学へと進ませたい」という教育熱心な家庭にとって、青山学院初等部からの内部進学というルートは大変魅力的です。
慶應義塾幼稚舎に次ぐ位置づけとされることも多く、初等部からの志願者増加、ひいては倍率上昇の流れにつながっています。
「洋上小学校」をはじめとする、他に類を見ない独自の宿泊教育があるから
青山学院初等部では、1年生から6年生まで、学年ごとにテーマを持った宿泊行事が組まれています。
たとえば、1年生の「なかよしキャンプ」ではキリスト教に基づく共同生活を学び、2年生の「農漁村の生活」では自然の恵みと人の営みに触れます。
3・4年生の「山の生活」では登山を通じて自然との共生を体験し、5年生の「平戸・海の生活」では遠泳に挑戦、6年生の「洋上小学校」では実際に船に乗り込み、数日間航海しながら生活します。
さらに3〜6年生にかけて毎冬行われる「雪の学校」も特色のひとつで、縦割り班で生活を共にする中で年齢を越えた絆が育まれます。
これらの宿泊行事を通じて、子どもたちは体験を重ねるたびに自立心と社会性を身につけ、大きな成長を遂げていきます。他校にはない、こうした独自プログラムに魅力を感じるご家庭が多いことも、倍率上昇の大きな要因です。



貴重な男女共学宗教校(プロテスタント)としての教育を受けられるから
青山学院初等部は、プロテスタント系キリスト教を教育の根幹に据えた共学校です。
宗教教育を行う私立小学校は数多くありますが、多くは男子校・女子校に分かれており、男女共学で宗教教育を実施している学校は非常に限られています。
青山学院では、毎日の礼拝や聖書の学びを通して、神を敬い、人を愛する心を養うことが重視されています。
また、単なる宗教儀式にとどまらず、日常生活の中で「誠実」「奉仕」「協力」といった価値観を実践できるよう指導がなされています。
信頼関係を築きながら成長できるこの環境に、他者を思いやる心を育てたいと考える多くの保護者が共感しているのです。

歴史を重ねたことで生まれる高い教育力の元ゆったりと学べるから
青山学院は1874年の創立以来、日本の私立教育をリードしてきた名門校です。初等部もその長い伝統を受け継ぎ、自由と規律を両立させた教育を実践しています。
教育理念「地の塩、世の光」(青山学院全体の教育方針)に基づき、ただ知識を詰め込むだけでなく、社会の中で周囲に良い影響を与えられる人材を育てることを目指しています。
授業においては、探究心を刺激するアクティブラーニング型の取り組みも取り入れられており、自ら考え、表現し、他者と協働する力を育むことに力を注いでいます。
また、教師陣は経験豊富でありながら、常に時代に即した教育改革にも前向きであり、こうした高い教育力への信頼が、さらに青山学院初等部の人気を支えています。
【青山学院初等部】【青山学院初等部】倍率が高い!男女倍率の差は?その実情を解説!まとめ
青山学院初等部が、長い歴史を誇る伝統校でありながら、近年ますます倍率を伸ばしている背景には、「附属校としての安定した進学ルート」や「男女共学のプロテスタント校という希少性」だけではなく、「独自性あふれる宿泊教育プログラム」や「高水準の教育環境」といった、数々の魅力が挙げられます。
名実ともに“狭き門”であることは間違いありませんが、その先には、お子様たちの未来に無限の可能性を広げるフィールドが待っています。
青山学院初等部の合格を目指すのであれば、単に得意な分野を伸ばすだけでは足りません。ペーパーテスト、絵画工作、運動といった全領域でバランスの取れた力を磨き上げ、総合的な実力を高めていく必要があります。
また、青山学院初等部が何よりも大切にしているのは、受験生家族による「学校理解」です。
社会的な肩書きや表面的な学歴よりも、学校の教育理念や価値観をどれだけ深く理解し、ご家庭のあり方として体現できているかが重視されます。
パンフレットや公式資料でも繰り返し強調されているこの「学校理解・教育理解」をどれだけ本質的に掴めるかが、合格への鍵となるでしょう。
青山学院初等部の理念をしっかりと受け止め、それを日々の家庭生活に根付かせる覚悟が、受験成功への大切な一歩となるはずです。