1877年創立の長い歴史を持ち、質実剛健の教育方針や教育指導力の高さから、多くのご家庭に「第一志望校・熱望校」として圧倒的な指示を得る学習院初等科。
幼稚園から大学までの教育機関を持ち一貫した教育方針の元、最長18年にわたる同環境で過ごすことができます。受験競争と一定の距離を置き、気の置けない仲間や教育観の近いご家庭と共に、穏やかかつ落ち着いた環境で学べる点も人気の理由です。
本記事では、そんな人気校である学習院初等科の受験倍率を紹介しながら、その倍率が高い理由についてプロが詳しく解説します。受験を検討しているご家庭はぜひ参考にしてください。
【学習院初等科】倍率が高いと噂される理由は!?
学習院初等科の入学試験は、ペーパーテストがなく、父母面接・集団テスト・個別テストが課されます。ペーパーテストがないと聞くと、一見その試験内容は簡単なものに思われるかもしれません。しかし、学習院初等科の個別テストでは、試験官である教職員が児童と一対一となり進んでいきます。その会話内容を通して受験者の能力を測っていくのです。そのため、学習院初等科の受験生は「自分で考えて自分の言葉で発言すること」「深い思考力と豊かな表現力」「協調性と共に学ぶ姿勢」の3つが必要となり、〇×で答えられるペーパーテストと比べ大変に難しい試験とも言われています。
そのため、学習院初等科に合格するためには、専門的かつ高度な対策が必要となります。しかし、そんな高難度の試験を課せられるにも関わらず、学習院初等科の人気は例年下がる様子を見せず、第一志望のご家庭を中心に熱い支持を受けているのです。ここからは、学習院初等科の実際の倍率推移を詳しく見ていきましょう。

【学習院初等科】倍率推移
学習院初等科の受験倍率は、開校以来一貫して高倍率を維持しており、特に女児の倍率が非常に高いことが特徴です。以下は、過去5年間(2020年~2024年)の推定倍率です。
・総合の倍率
2024年 | 約9.0倍 |
2023年 | 約8.5倍 |
2022年 | 約9.2倍 |
2021年 | 約8.0倍 |
2020年 | 約9.5倍 |
・男児の倍率
2024年 | 約7.8倍 |
2023年 | 約7.3倍 |
2022年 | 約7.8倍 |
2021年 | 約7.0倍 |
2020年 | 約8.2倍 |
・女児の倍率
2024年 | 約10.0倍 |
2023年 | 約9.5倍 |
2022年 | 約10.5倍 |
2021年 | 約9.0倍 |
2020年 | 約10.8倍 |
(※正確な数値は公表されていないため、推定値を含みます。)
学習院初等科では、例年女児の倍率が非常に高いという特徴があります。女児の倍率は毎年9〜10倍以上となる傾向があります。
これは、学習院女子中等科→学習院女子高等科→学習院大学という進学ルートを希望するご家庭が多いためです。
学習院女子中等科は中学校受験でも大変な人気校であり、想定偏差値60前後(四谷大塚)となっており、その受験倍率も大変高いです。そのような人気難関校への入学が確約されるという点において、小学校受験でも飛び抜けた人気となっています。
男児の倍率は7〜8倍程度が多く、女児と比べれば比較的合格のチャンスが高そうに見えますが、それでもかなりの高倍率であり、十分な対策が必要です。
男女総合の倍率をみると、概ね8〜10倍程度で推移しています。
少子化の影響で他の私立小学校では倍率が下がる傾向がありますが、学習院初等科の人気は安定しており、今後も同様の推移であると予測されています。
【学習院初等科】倍率が高い理由
では、なぜ学習院初等科の倍率はこれほどまでに高いのでしょうか。その理由を4つのポイントに分けて、プロが詳しく解説します。
都内屈指の名門大学附属校であり、大学まで一貫した教育を受けられるから
学習院初等科の倍率が高い最大の理由のひとつは、学習院大学までの一貫した教育を受けられることにあります。学習院は、初等科・中等科・高等科・大学と連携した教育を行う、日本でも数少ない名門大学附属校のひとつです。特に、学習院大学は文部科学省の「スーパーグローバル大学創成支援」にも選ばれるなど、国際的な視点を持つ教育機関としても評価されています。
学習院初等科の児童は、内部進学を通じて学習院中等科・高等科へと進学することが可能であり、一般の受験生が経験するような激しい競争を避けながら、質の高い教育を受けることができます。そのため、難関中学・高校受験のプレッシャーを軽減し、のびのびとした環境で学びを深められる点は、保護者にとって大きな魅力となっています。
また、学習院は「自重互敬」の教育理念を掲げており、学力だけでなく、社会で求められる品格や協調性、思いやりの心も重視しています。大学まで一貫した環境の中で、単なる知識の習得にとどまらず、長期的な視野を持ち、社会に貢献できる人材を育成することを目指しています。こうした環境の整った学習院初等科に入学したいと考える家庭が多いことが、高倍率の大きな要因となっています。
圧倒的な知名度と、歴史を重ねたことで生まれる高い指導力の元学べるから
学習院初等科は1877年(明治10年)創立という長い歴史を持ち、日本の教育界において確固たる地位を築いてきました。その伝統と格式、知名度の高さが、受験倍率を押し上げる大きな要因となっています。
学習院は、もともと皇族や華族の子弟の教育機関として設立されましたが、時代の流れとともに広く一般の家庭にも門戸を開きました。それでもなお、格式や品格を重んじる校風は受け継がれ、学問と品性を兼ね備えた教育を提供する学校として、多くの家庭に支持されています。
また、長い歴史の中で培われた指導力の高さも、学習院初等科の大きな魅力です。経験豊富な教師陣が、児童一人ひとりの個性を尊重しながら、適切な指導を行っています。学習面だけでなく、生活指導や礼儀作法の教育にも力を入れ、知識だけでなく、品格のある人材を育成することを重視しています。
このような歴史に裏打ちされた確かな教育と、長年にわたる信頼が、学習院初等科の高倍率につながっているのです。
「自重互敬」「正直と思いやり」を大切にし、豊かな人間関係を育めるから
学習院初等科では、学力だけでなく、心の教育にも力を入れていることが大きな特徴です。その根幹となるのが、「自重互敬」(自らを律し、他者を敬う)という学習院の教育方針です。これは、自分自身の行動に責任を持ち、同時に他者を尊重することを重視する考え方であり、学校生活のあらゆる場面に根付いています。
また、学習院初等科では、日々の生活の中で「正直と思いやり」を育むことを大切にしています。授業や行事を通じて、子どもたちは自然と協調性や相手を思いやる気持ちを身につけていくことができる環境が整っています。このような教育が行われていることで、学習院の児童は、単に勉強ができるだけでなく、周囲との関係を大切にし、社会で活躍する上で必要な人間力を身につけていくのです。
このような人間教育の充実が、多くの家庭に評価され、学習院初等科の人気を支えているのです。
豊富な体験学習や日本文化教育といった、独自の教育を受けられるから
学習院初等科では、知識の詰め込みではなく、実体験を通じた学びを大切にする教育が行われています。そのため、一般的な小学校にはない、独自の体験学習や日本文化教育が充実しており、これが多くの家庭にとって大きな魅力となっています。
例えば、学習院初等科では農業体験や自然体験を積極的に取り入れています。お子様たちは、実際に野菜を育てたり、自然と触れ合うことで、教科書だけでは学べない生命の大切さや環境への配慮を学ぶことができます。また、日本の伝統文化に関する授業も充実しており、書道や茶道、和歌などの日本文化に触れる機会が多く設けられています。
このような教育の背景には、学習院が掲げる「経験重視」の方針があります。知識を詰め込むのではなく、実際に体験し、五感を通じて学ぶことで、子どもたちの自主性や創造力を育てることを重視しているのです。
学習院初等科の児童は、このような豊富な体験学習を通じて、バランスの取れた人間性を育みながら成長できるのです。こうした独自の教育環境の魅力が、学習院初等科の人気の高さ、そして受験倍率の高さにつながっています。
【学習院初等科】倍率は高い!?その理由は??まとめ
このように「大学までの一貫教育の魅力」、「歴史と伝統に裏打ちされた確かな指導力」、「人格形成を重視する教育理念」、「豊富な体験学習と日本文化教育」といった理由から、学習院初等科は都内屈指の人気校として圧倒的な地位を築いています。このような魅力あふれる教育方針や指導力と、伝統と風格のある校風も相まって、多くの家庭から支持され、毎年高倍率の受験競争が繰り広げられているのです。学習院初等科への合格を目指すのであれば、高倍率を突破するだけの専門性の高い対策と一歩踏み込んだ学校研究は必須です。ぜひ、他のご家庭と差をつけられるよう努力されてください。