公家や皇族の子弟の教育機関として創設された学習院初等科は、現在も「自重互敬」の精神を基盤に、豊かな人間性と創造力を育む教育を実践しています。
私立小学校御三家のひとつとして知られ、入学難易度が高く、多くの家庭から支持を集めています。そんな人気・実力を持つ学習院初等科の学費は一体どれくらいかかるのでしょうか。
【学習院初等科】学費は高い！安い！？その意外な金額とは
学習院初等科の学費について、ネット上で「高い」と噂されています。それは事実なのでしょうか。また事実でない場合、どうしてそのような噂が広まってしまったのでしょうか？学習院初等科の学費についてプロが詳しく解説します。
【学習院初等科】学費は高くない！
私立小学校と聞くと「高額な学費が必要となる」というイメージが先行しがちです。ご三家の一角をなす学習院初等科ともなれば、それこそトップクラスの学費が必要と思われるかもしれません。しかし、学習院初等科の学費を首都圏の私立小学校の平均と比較すると、決して高額ではないことが分かります。
文部科学省の調査によると、首都圏の私立小学校の年間学費（授業料・施設費・その他諸費用を含む）は、約100万円～200万円が一般的です。一方、学習院初等科の学費は、初年度納入金が約150～160万円と、首都圏平均の真ん中程度に設定されています。加えて、毎年の授業料も同様の水準で推移しており、他の有名私立小学校と比べて高額とは言えません。
【学習院初等科】学費以外にかかる費用は何がある！？
学習院初等科に入学した場合、学費は具体的にどの程度必要なのでしょうか。また、学費以外にどのような費用が発生するのでしょうか。詳しく見ていきましょう。
入学金（初年度のみ）
入学金とは、入学時に一度だけ支払う費用で、学校への入学を許可される際に必要となります。学校によって異なりますが、教育環境の維持や新入生受け入れの準備に充てられる費用です。私立小学校ですと、おおむね25～40万円程度が相場です。
授業料
授業料とは、いわゆる学費のことで、学校の授業や教育活動にかかる基本的な費用を指します。教職員の給与や教材費、学校運営費などが含まれています。私立小学校では公立と異なり、充実したカリキュラムや特色ある教育を提供するために、この授業料が重要な財源となります。
維持費
維持費とは、学校の施設や設備を適切に維持・管理するための費用です。空調や照明、校舎の補修など、快適な学習環境を維持するために使われます。公立小学校にはない費用ですが、私立ならではの充実した施設を維持するために必要なものです。学習院初等科では、維持費の中に施設設備料も含まれています。施設設備料とは、学校の建物や教育設備の充実のために使用される費用です。たとえば、新しい校舎の建設、教室のリニューアル、冷暖房器具の設置、実験機材やICT機器の導入などに充てられます。より良い学習環境を整えるための重要な資金となります。
父母会費
学習院初等科の在校生保護者が入会する保護者会の会費です。学習院初等科の父母会は、学習院教育の進展に協力することを目的として児童の父母や保証人が会員となり活動しています。運動会や初等科祭の受付、初等科祭のお弁当の販売、幹事会への出席、初等科から四ツ谷駅までの下校の見守り、各学校の在校生に対する奨学金や課外活動助成事業等の支援活動といった活動が主です。
輔仁会費
輔仁会費は、学校法人学習院の学校で納付する会費で、本部会費と支部会費の合計です。学校法人学習院の学校に所属する児童・生徒・学生は必ず支払う必要のある会費になります。所属する学校によって支部会費の金額が異なります。
寄付金（任意）
学習院初等科には「学習院教育改革推進資金」と呼ばれる、いわゆる寄付金が存在します。1口100,000円5口以上が基準です。任意ではありますが、入学が決まったご家庭のほとんどが入学時はもちろん、進級するタイミングなどで定期的に寄付をしているそうです。
寄付金は、図書の充実、最新のICT機器の導入、校舎の改修など、お子様方の学習環境をより良くするために活用されます。私立小学校ならではの充実した教育の一環として、多くのご家庭が協力をしています。
その他（給食費・教材費・タブレット端末代など)
学習院初等科の諸費用「その他」の中には給食費・教材費・タブレット端末代などが含まれます。
給食費は、学校で提供される給食の食材費や調理費に充てられます。給食は成長期のお子様にとって重要な栄養源であり、安全でバランスの取れた食事を提供するために必要な費用となります。
教材費は、学校生活において必要となる教材費や行事費などに使われるお金です。たとえば、工作の材料費、学年ごとの特別活動の費用など、日々の学びを充実させるために活用されます。
タブレット端末代は、タブレットやパソコンを活用した学習のために必要な費用です。ソフトウェアやオンライン教材の使用料、ネットワーク環境の整備費などが含まれ、現代のデジタル教育を支えるために活用されます。
【学習院初等科】学費とそれ以外にかかる費用の総額とは
| 入学金 | 300,000円 |
| 授業料 | 774.000円 |
| 維持費 | 312,000円 |
| 父母会費 | 5000円 |
| 輔仁会費 | 1000円 |
| その他 | 180.000～250,000円（年度によって変動アリ） |
| 寄付金（任意） | 1口100,000円5口以上 |
| 初年度合計 | 約1,566,000円 |
学習院初等科の入学年度（1年生）で必要となる金額はおおむね1,500,000～1,600,000円です。
学習院初等科の学費は学校ホームページ等には記載されておらず、毎年9月ごろに発売される「入学試験要項」の中に詳しく紹介されています。「入学試験要項」は、出願の際に必ず必要になる書類ですので、受験予定のご家庭は忘れず購入してください。
【学習院初等科】学校以外にかかることになる金額
学習院初等科に入学が叶った場合、実は学校に納める諸費用以外にも様々な費用が掛かることをご存じですか。学習院初等科に限らず、私立小学校への入学を目指す場合は避けて通れない出費となります。どのような費用が必要になるのでしょうか。プロが具体的に解説していきます。
季節の行事、旅行などの費用
学習院初等科では、日本文化を理解し、親しむことを大変重要視した教育を行っています。そのため、児童や在校生家族にも自然とその意識が芽生え、日常生活でも季節の行事や歴史・自然・日本文化に触れたり、季節を感じて過ごすようになるそうです。
例えば、四季折々の行事を体験することで、日本の文化や伝統への理解が深まり、社会科や作文の学習にも役立ちます。また、旅行や週末のお出かけ、キャンプなどを通じて、地理や歴史を肌で感じることができます。
特に、中学受験では体験をもとにした記述問題が出題されることも多いため、こうした経験が重要になります。これらの活動には当然ながら費用がかかるため、家族のライフスタイルや教育方針に応じた計画的な支出が求められます。また、学習院初等科では高学年で海で行われる遠泳が名物行事です。気力体力の育成はもちろん、実際の海で泳ぐ経験を学校まかせにするのではなく、ご家庭でも積極的に取り組みます。その他、春はキャンプ、冬はスキーといったように、季節に直結したアクティビティを楽しむことも、学習院初等科をはじめとする私立小学校にお子様を通わせるご家庭の定番です。
習い事の費用
学習院初等科の児童は、学校生活だけでなく習い事にも積極的に取り組んでいます。
特に、お習字、茶道・華道といった日本古来から受け継がれる手習いが人気です。
また、海外との交流も盛んなため、英会話や英語学習に取り組むご家庭も多いです。
さらに、サッカーやピアノ、バレエ、水泳、武道などのスポーツ・芸術系の習い事も人気があります。学校外での活動を通じて、協調性や自己表現力を養うことができるため、多くのご家庭が習い事を重要視しています。
習い事の種類や回数にもよりますが、月謝だけでも総額で月に2万円～5万円程度かかるケースが一般的です。複数の習い事を掛け持ちする児童も多いため、年間の総額を考えるとそれなりの費用負担が発生することを念頭に置いておく必要があります。
その他の費用
学習院初等科のような私立小学校にお子様を通わせる場合、学費や習い事、学習塾の費用以外にも、さまざまな費用が発生します。
例えば、交通費は通学距離によって大きく異なりますが、多くの私立小学校の児童は電車やバスを利用するため、定期代が3,000～5,000円程度かかることが一般的です。
また、交際費や交友関係に関する費用も見逃せません。私立小学校では、クラスメイト同士や保護者同士の交流が盛んであり、誕生日会やクリスマス会、ホームパーティーなどのイベントに招かれる機会が増えます。こうした場では、プレゼント代や食事代、場合によっては会場費などが発生することがあります。
[季節の行事、旅行などの費用]の項目で解説した旅行費ですが、お子様だけで参加するサマースクールやキッズキャンプ、長期休暇を利用した短期の習い事（英語、プログラム、理科実験）なども私立小学校の児童の定番です。
英語学習の一環として、長期休みにお子様だけで海外留学や短期ホームステイに参加させるご家庭も少なくありません。こういった諸費用が発生することも念頭に置いておく必要があります。
【学習院初等科】学費についてプロが徹底解説！まとめ
世間のイメージと異なり、私立小学校としては平均程度の金額である学習院初等科の学費。しかし私立小学校に進学すると、学費以外にも何かとお金がかかる現実もお分かりいただけたかと思います。とはいえ、私立小学校ご三家のひとつである学習院初等科に平均的な金額で入学できるのであれば、思ってもみない僥倖とも言えるでしょう。一般家庭であっても十分に挑戦できるでしょう。ぜひ諦めず、最後までチャレンジし続けてくださいね。
