学習院初等科は、明治時代に華族学校として設立され、皇族や華族の教育機関としての歴史を持ちます。現在も私立小学校御三家のひとつに数えられ、入学難易度が高く、多くの受験生が憧れる名門校です。そんな学習院初等科の制服が、ダサい!?古い!?と噂されています。その理由をお受験のプロが詳しく解説します。
【学習院初等科】制服がクラシカルで気品があり大人気
結論から申し上げると、学習院初等科の制服は決してダサかったり古臭いことはありません。そのような噂が広まった背景としては、学習院初等科は皇族の方々をはじめとする著名人の子女が多く在籍をし、その制服姿がメディアなどに取り上げられる機会が多いからと推察されます。昔ながらの学ランとセーラー服の装いは、一見すると確かに少しクラシカルで没個性的に見えるかもしれません。また「皇族が通う学校」「歴史のある学校」というイメージが先行することで、結果的に「古臭い、ダサい」といったネガティブな要素がひとり歩きしてしまったのでしょう。
しかし、実際の学習院初等科の制服には、品の良さの中に、学習院らしいこだわりと、高いデザイン性を兼ね備えているのです。そんな魅力あふれる学習院初等科の制服は、どんなデザインであり、一体どのような秘密が隠されているのでしょうか?
【学習院初等科】制服はどんなデザイン?!
学習院初等科の制服と言えば、真っ先に思い当たるのが歴史を感じさせる伝統と品位を重んじたデザインです。男女ともに、季節に応じて冬服と夏服が用意されており、それぞれのデザインには伝統を重んじたクラシカルさがあります。その上で、かわいらしさや品の良さ、個性的なあしらいといった独自の特徴があります。以下に、性別ごとに冬服・夏服のデザインについて詳しく解説します。

【学習院初等科】制服デザイン 男児編
まずは、東学習院初等科の男児制服について詳しく解説します。
【学習院初等科】 男児冬服
男児の冬服は、伝統的な立襟の詰襟(学ラン)スタイルが採用されています。
詰襟の両端には校章をあしらった金ボタンが添えられています。合わせ部分や裾部分には赤に近い臙脂(えんじ)色の細いラインと、黒のリボン地の縁取りが施され、女児のセーラー服のスカーフと対になっています。
ボトムスは同素材の半ズボンで、全体的に落ち着いた色合いでまとめられています。
学習院初等科男児の制服では、制帽も大変特徴的です。
明治時代から続く伝統的なフォルムの真ん中には金の桜章(学校のロゴ)があしらわれています。
この制帽に憧れて学習院初等科を目指すご家庭も多くいらっしゃるのではないでしょうか。黒いソックスと、指定の黒革靴があります。
【学習院初等科】 男児夏服
夏季には、軽やかで涼しげなデザインの制服が用意されています。
白い半袖のボタンシャツで、両襟の端には桜章(学校のロゴ)が紺色で刺繍されています。
ボトムスは、冬服と同じ濃紺のデザインですが、素材は夏用の軽量素材が採用され、暑い季節でも快適に過ごせるよう工夫されています。
靴下は白となり、制帽も選択可能な綿素材になっています。汗をかきやすく汚れやすい夏期にぴったりの、清潔感を維持しやすいデザインとなっています。
【学習院初等科】制服デザイン 女児編
次に、学習院初等科の女児制服について詳しく解説します。
【学習院初等科】 女児冬服
女児の冬服は、伝統的なセーラー服が採用されています。
トップスは濃紺に3本の白ラインがあしらわれています。
胸元に白い桜章(学校のロゴ)が刺繍されている点が特徴です。
同色のプリーツスカートを組み合わせることで、正統派のセーラー服スタイルを確立しています。スカーフは落ち着いた赤色でやや臙脂(えんじ)がかかっています。
靴下は男児と同色の黒です。靴はストラップのついた黒革靴です。女児の冬服に制帽はありません。
【学習院初等科】 女児夏服
夏季には、涼しげなデザインのセーラー服が用意されています。
白い半袖のセーラーブラウスに、冬服と同色、同形状となる紺のプリーツスカートを組み合わせます。スカーフは共有の赤色。
セーラー襟は紺色で、白の3本ライン、胸元に白い桜章(学校のロゴ)が刺繍されている点も冬服と共通です。
素材は通気性の良いものが選ばれ、暑い季節でも快適に過ごせるよう配慮されています。
男児と同じように、靴下は白となります。また、冬服にはなかった制帽が登場するのも特徴的です。男児と同デザインで、全体の統一感が保たれています。
ホームクリーニングが可能な素材であるのが嬉しいポイントですね。
【学習院初等科】ランドセルは学習院から生まれた
余談となりますが、現代の日本の小学生のほとんどが利用しているランドセルの由来は学習院にあります。
明治時代。官立の模範小学校として開校した学習院初等科が、学校指定の鞄を設けましたが、これがランドセルの起源と言われています。
学習院では明治10年の開校当初から制服が採用されていました。しかし、通学方法に指定がなかったため、徒歩通学のお子様はもちろん、保護者や使用人に送迎されるお子様、馬車や人力車を利用するお子様など様々な方法が存在しました。その際に、荷物の持ち方もバラバラで、教科書を風呂敷に包んで自分で持ち運ぶ場合もあれば、使用人に荷物を預けっぱなしのお子様もいたそうです。
その後、同校では「教育の場での平等」という理念のもと、自身の学用品は自ら運ぶことにルールを改めました。同じタイミングで、馬車や人力車で通学すること、使用人に荷物を預けることも禁止されたそうです。
そこで採用されたのが、持ち運びに便利で、体に負担のかかりづらい軍隊用の布鞄であった「背嚢 (はいのう) 」。いわゆるバックパックです。
オランダ語で背嚢を示す「ランセル」が変化して、「ランドセル」という言葉が生まれたのだそう。
背負うタイプの形状によって、お子様の両手がふさがらず、安全性を確保できると考えられました。また、指定鞄があることで、自分で支度をして背負って通学する習慣がつく。自立教育の第一歩となったとも言われています。
【学習院初等科】制服が人気!?おしゃれ!?その秘密をプロが徹底解説!まとめ
本記事では、学習院初等科の制服がダサくて古いと言われる真相を探りました。実際の学習院初等科の制服は品性と歴史を感じさせる正統派の装いです。伝統的なデザインを踏襲しつつ、季節ごとに快適さと機能性を兼ね備えた工夫がされています。このように、学習院初等科の制服は、児童たちの品位と誇りを象徴する重要な要素となっています。日本の私立小学校御三家に数えられ、数多くの受験家庭が大本命として対策をする学習院初等科は、その制服までもが伝統的で凛とした美しさを兼ね備えているのです。