公立小学校から私立小学校への編入を目指す場合、必須であるのが「ご家庭に合った塾」を選ぶこと。
しかし、小学校受験や中学校受験と異なり「編入試験」となると、対応できる塾は大変に限られますし、その情報自体も中々得られないもの。
とはいえ、憧れの私立小学校への編入を目指すのであれば、絶対に妥協してはならないのが「塾選び」です。
私立小学校に編入する為の塾とはどのようなものがあるのか
そもそも、私立小学校に編入する為の塾とはどのようなものがあるのでしょうか。
各塾を比較できるようメリットデメリットをあげた上で、プロが詳しく解説します。
私立小学校の編入試験に強いお教室
私立小学校編入試験に特化したお教室は、試験対策に必要な学習プログラムや、各学校の特徴に応じた指導を行います。
編入募集がかからない期間は、学年に合った基礎学力を定着させる指導を行い(一般的な進学塾に近しい)編入情報が出次第、舵を切って編入試験対策に取り組むことになります。
編入に特化しているため、各校の過去の試験傾向や合格事例を基に、的確な指導が受けられるのが特徴です。
また、どの学校がどの時期に編入募集をかけるのかといった情報戦にも強いです。
各校と独自のパイプを持ち、一般情報より早めに情報を得られるようなネットワークを持っている場合もあります。
また、こういった塾は、模擬試験はもちろん、保護者に向けた願書・面接対策など、包括的なサポートも期待できます。
【メリット】
- 編入に特化した専門知識が豊富で、各校ごとに対応可能。
- 過去問や合格者のデータが充実している。
- 保護者も対象とした総合的な編入サポートが受けられる。
【デメリット】
- お月謝や諸費用が高額となる場合が多い。
- すべての私学を網羅している訳ではない、偏りはある。
- 定員が少なく、入塾するためキャンセル待ちなどが当たり前にある。
個人の先生が主催されるお教室
個人の先生が主催するお教室では、少人数または個別対応で丁寧な指導を行います。
個人の先生のお教室は、特定の学校に特化していることが多く、またその学校の近くに教室を構えているのが特徴です。
また、こういった個人の先生は、得意な学校の在校生や卒業生家族とのパイプも太く、長年の実績から、学校側とも信頼関係を構築している場合も多いです。
そのため、特定の学校ではありますが、最新かつ角度の高い情報をしっかり持ち、確実な方法で編入をサポートしてもらえることが最大の魅力と言えます。
また、小規模が故に各家庭に対する細やかな指導や、柔軟なスケジュール対応も魅力です。
【メリット】
- 個別対応が可能で、お子様やご家庭の状況に合わせた指導が受けられる。
- 特定の学校に特化している場合が多く、得意校に抜群の結果を残す。
- 比較的、通塾費用が安価に抑えられる。
【デメリット】
- 特定の学校以外は対応が難しい場合がある。
- 入塾の為に、紹介者や身上書提出などが必要な場合がある。
- 良くも悪くも個性的なので、ご家庭との相性問題にぶつかる可能性も。
小学生向けの一般的な進学塾
一般的な進学塾はに入塾し、志望校の編入募集を待ちながら中学校受験を視野に入れるご家庭も多くいらっしゃいます。
私立小学校の編入試験でほぼ出題されるペーパーテスト(国語、算数など)では、年齢相当の学力がついているか、またその学校の進度についていけるだけの基礎力が身に付いているかが問われます。
そのため、いつ募集がかかっても良いように基礎学力の定着を日々意識することが重要かつ中長期的な編入対策のキモともなるのです。
また、もし志望校の編入募集がかからなかった場合、中等部以降からの入学を目指すために、中学校受験向けの学習を積んでおくことも戦略的な取り組みと言えるでしょう。
編入試験に特化していない分、幅広い対応ができるバランスの良い教育が受けれる点が魅力の選択肢です。
【メリット】
- 編入試験に必須の基礎学力を高めることができる。
- 編入募集がかからなかった場合、中学校受験に舵を切りやすい。
- 学習習慣が身に付き、知的好奇心を育める。
【デメリット】
- 志望校に特化した情報や対策はできない。
- 編入情報・試験内容・過去問などの情報が集めづらい。
- 保護者向けの対策(面接・願書)はしてもらえない。
- 編入目的は少数派の為、お子様が中学校受験を志してしまう可能性もある。
家庭教師
家庭教師はお子様のペースや弱点に合わせたマンツーマン指導が可能です。特定の学校の編入試験に詳しい家庭教師を選べば、より効果的な対策が期待できます。お子様の家庭学習環境に合わせられ、移動時間が不要で、予定調整をする手間も省けること、親御様の負担を軽減できることも魅力と言えます。
【メリット】
- 完全オーダーメイドの指導が可能。
- お子様の進度に合わせた柔軟な学習計画が立てられる。
- 通学の必要がなく、時間の自由がききやすい。
【デメリット】
- 家庭教師費用が高額になりがち。
- 志望校によっては、得意な教師はすでに満席の可能性がある。
- 他のお子様との競争心や刺激が少ない分、モチベーションが保ちづらい。
私立小学校編入の塾選びで重要なポイント
次は塾選びのポイントを解説します。
公立小学校から私立小学校へ編入を目指す場合「ここだけはどうしても外してはいけない!」重要なポイントがいくつか存在します。
それを見逃さないことが編入成功の重要なポイントになりますよ。プロが詳しく解説します。
編入情報のキャッチアップスピードや正確性の高い塾を選ぶ
編入試験は学校ごとに時期や内容が異なるため、最新情報を迅速かつ正確に提供できる塾を選ぶことが重要です。
私立小学校は、児童の急な転校などで学期中に突然編入枠が生じる場合もあるため、最新情報をいち早く収集し、適切にアドバイスできる塾は強い味方になります。
また、学校ごとの特性や求めるご家庭像を理解している塾であれば、編入後の学校生活になじめるかといった相性面も考慮した指導が期待できます。
情報源の信頼性や更新頻度を確認し、塾の担当者(講師)が学校関係者とのネットワークを持っているかどうかも確認しましょう。
過去に実施された編入試験の情報を持っている塾を選ぶ
私立小学校の編入試験は学校ごとに異なる形式や特徴を持つため、過去の試験情報を持っている塾を選ぶことで、より効果的な対策が可能です。
また、過去の合格事例を参考にしながら、お子様に適した学習方法や試験対策を提案できる塾は心強い存在です。
塾を選ぶ際には、どの程度の編入試験データを持っているかや、過去問や模擬試験の提供が可能かを確認しましょう。
保護者に対する願書・面接対策までしてくれる塾を選ぶ
私立小学校の編入試験では、お子様自身の学力だけでなく、保護者の教育観や属性も審査対象となります。
受験児童がどんなに優秀でも、その家族が私立小学校や既存の保護者と合わないと、今まで築き上げてきた学年のまとまりや学校全体の調和を乱す原因になりかねないからです。
そのため、私立小学校の入学試験と同様かそれ以上に願書・面接が重要になります。
塾選びの際には、お子様の指導と同様に、保護者に対して願書の書き方や面接対策をサポートしてくれる塾を選ぶことが大切です。
経験豊富な塾であれば、具体的なアドバイスや模擬面接を通じて、効果的な対策を提供してくれます。
また、保護者の疑問や不安にも親身に応えてくれる塾であれば、試験に向けて安心感を持って準備を進められます。
塾のサポート体制や実績を確認し、信頼できるパートナーを選びましょう。
私立小学校編入の塾選びの進め方
ここからは、私立小学校編入のための塾選びについて、その進め方を具体的に解説します。
どんな私立小学校に編入したいかを考える
私立小学校への編入試験は、すべての学校で決まった時期に必ず実施されているわけではありません。
欠員が出た場合のみ試験が行われるケースが多く、必ずしも希望する学校で受験の機会が得られるとは限らないのが現状です。
そのため、編入を強く希望する場合、志望校をひとつに絞り込むことはとても危険です。
複数の学校を視野に入れ幅広い情報収集を心がけましょう。
学校ごとの教育方針や環境、ご家庭の立地から通学可能な範囲などを比較し、柔軟に対応できるように情報を集めましょう。
幅広く学校を検討することで、編入のチャンスを逃さないよう準備を整えることができます。
志望校の情報収集をする
学校を調べていくうちに編入募集がかかりやすい学校が見えてきます。
そんな学校群を対象に、編入を希望する私立小学校の試験内容や教育方針、出題傾向を徹底的に調べましょう。
編入試験では、学校ごとに求められる能力や試験形式が異なります。
これらを把握することで、必要な対策が明確になります。
学校のホームページや説明会、過去の受験者の体験談を参考にしながら、学校側が求めるお子様像を理解することが重要です。
塾のカリキュラムや授業内容を確認する
学校研究と同時進行で、私立小学校の編入試験に対応している塾を探しましょう。
塾のウェブサイトや口コミ、説明会に参加し、志望校への合格者数や指導方針を確認してください。
また、公立小学校からの編入希望の場合、今お通いの小学校生活を送りながらの通塾になります。
授業がスタートする時間に通塾ができるのか。
授業が終わり帰宅できるのは何時か。
家庭学習はどの程度必要か。
現在の経済状況で、塾にどれだけ費用をかけられるのか。
など、お子様やご家族の負担にならないよう具体的に確認しましょう。
保護者とお子様双方が、その塾と相性が良いかを確認する
塾選びでは、お子様だけでなく保護者もその塾と相性が良いかを確認することが重要です。
保護者も審査対象となる私立小学校の編入試験対策では、塾側の対応やアドバイスが信頼できるかが鍵となります。
説明会や体験授業に参加し、講師の指導スタイルや塾の雰囲気を直接感じ取ってください。
また、お子様が「ここで学びたい」と思えるかをしっかり聞き、無理なく通える環境かどうかを判断しましょう。
親御様も、腹を割って話せる信頼できる講師を見つけることは今後の編入試験の大きな追い風となることでしょう。
保護者と塾が一体となってサポートできる関係を築ける塾を選ぶことが成功につながります。
入塾手続きと通塾準備
入塾先を決定したら、最後に入塾手続きと通塾準備を始めます。
塾費の引き落とし先の設定や入塾金のお支払いを進め、同時進行で通塾用の鞄や学用品を揃えましょう。
塾によっては学用品の指定があったり通塾に関するルールが異なります。自己判断をせず必ず確認してください。
自宅から遠方の場合は、送迎は必要か。
必要な場合誰が担当するのか。
お子様ひとりで通う場合は、移動方法や道順の確認なども行いましょう。
また、習い事などをしている場合は、曜日や時間帯の調整を行い、もしお子様の負荷が高まるようであれば習い事関係の整理も必要になるかもしれません。
ここまで無事におえられましたら、晴れて通塾開始です。
私立小学校編入の塾選びでよくある失敗例とその対策
最後に、私立小学校編入の塾選びでよくある失敗例とその対策を解説します。受験者家庭がぶつかりやすい問題を早めに把握しておくことで、余計な心配や失敗を未然に防ぐことができます。
ご家庭のねらいに合わない塾を選ぶ
「私立小学校に編入する為の塾とはどのようなものがあるのか」で取り上げた通り、編入を目指すご家庭向けの塾には様々なタイプが存在します。
どちらも一長一短ではありますが、大切なことはご家庭の趣旨に合ったタイプの塾を選ぶことです。
例えば、どの学校でもよいから絶対に私立小学校に編入したい!という場合であれば「編入専門の塾」を選ぶことになりますし、特定の学校だけにこだわるのであれば個人塾が第一選択となります。
逆に、特定の学校だけを目指すご家庭が「一般的な進学塾」を選ぶと、大きなミスマッチが起き双方の負担にもなりかねません。
ご家族で「編入試験を受けること」の目的を、改めて棚卸することでこのミスマッチを防ぐことができますよ。
親御様の対策が一切できない塾を選ぶ
編入試験では、お子様の試験と同等かそれ以上に親御様の資質や教育観を測られます。
学校側は願書・面接を通して「このご家庭を我が校に迎え入れても問題がないか」という点を慎重に検討しますし、親御様の評価が合否を分けるなんてことも当たり前にあります。
このように、「親御様の評価」は受験結果を大きく左右するにも関わらず、その対策になれている親御様というのは少数派です。
小学校受験を経験していない限り、ほとんどの親御様が初心者と言っても過言ではありません。
そのため、小学校受験経験過程でない限りは、親御様に対する指導を行える塾を選ぶことがキーポイントとなります。
志望理由や教育方針の考え方をはじめ、願書の書き方のコツや面接練習などを行ってくれる塾を探しましょう。
また、模擬面接や親子面接の指導がある塾を選ぶことで、実際の試験環境に慣れることができます。
お子様の特性に合わない塾を選ぶ
塾の指導スタイルやクラス規模がお子様の性格や学習ペースに合っていないと、十分な成果が得られない場合があります。
たとえば、大人数クラスでは質問しづらい子や、ペースの速い授業についていけない子もいます。
入塾前に体験授業を受けさせ、お子様自身がその塾に通いたいと思えるかを確認しましょう。
個別指導や少人数制の塾も選択肢に入れ、お子様が無理なく学べる環境を見つけることが大切です
私立小学校編入で失敗しない塾選びのコツをプロが解説まとめ
公立小学校から私立小学校へ編入を目指すご家庭にとって、塾選びはその合格を左右する大変重要な決断です。
しかし、編入に対応した塾は少なく、その情報を見つけることも容易ではありません。
ご家庭の編入に関するスタンスをしっかり話し合い、希望に沿った相性の良い塾を見つけることで編入試験を成功に導けます。
ぜひ妥協することなく、ご家族にぴったりの塾を見つけてくださいね。