小学校受験の最高峰に位置し、1877年(明治10年)の創立以来、日本の初等教育を牽引し続けてきた「お茶の水女子大学附属小学校」。
何十倍もの高倍率を潜り抜け、選ばれたお子様だけが袖を通すことができるその制服(標準服)は、保護者様にとって単なる通学服以上の「憧れ」と「誇り」の象徴です。
伝統的な女子のセーラーワンピースや男子の知的な装いは、一目で「お茶の水」と分かる格式の高さを誇りますが、実は今、その制服文化が大きな変革の時を迎えていることをご存知でしょうか。
2023年秋にはジェンダーレスや機能性の観点から女子制服に「スラックス」が導入され、通学鞄においても従来の革製ランドセルから、廃棄漁網を再利用した豊岡産のスクールリュック「UMI(ウミ)」へと切り替えが行われました。
150年近い歴史の重みを守りながら、SDGsや多様性といった現代の価値観を柔軟に取り入れる姿勢こそが、この学校がトップであり続ける理由なのかもしれません。
本記事では、長年受験指導に携わってきたプロの視点から、男子・女子それぞれの制服デザインの細部、帽子や徽章に込められた意味、そして最新の購入事情までを網羅的に解説します。
お子様が茗荷谷のキャンパスに通う姿を具体的にイメージするための、決定版ガイドとしてご活用ください。
お茶の水女子大学附属小学校の制服はどんなデザイン?
お茶の水女子大学附属小学校の制服を語る上で、まず理解しておきたいのが、これが単なる「制服」ではなく「標準服」と位置づけられている点、そして独自の「校内着」システムの存在です。
多くの私立小が登下校から授業中まで同じ制服で過ごすのに対し、お茶の水では「活動性」と「清潔」を非常に重視しています。
登下校時は、女子ならセーラーワンピース、男子ならジャケットやポロシャツといった「式服(フォーマル)」としての装いで、国立附属校らしい品格を保ちます。
しかし、一歩校内に入ると、その様子はガラリと変わります。
実は、子供たちは制服の下に「校内着」と呼ばれる専用のインナー(女子は水色のワンピースなど)を着用しており、教室に着くと上着(セーラー部分など)を脱いで、この校内着姿で一日を過ごすことが認められています。
図工で汚れることもあれば、休み時間に校庭で走り回ることもある小学生。
「汚れることを気にして萎縮するのではなく、思い切り学んで遊んでほしい」
そんな学校の思いが、この「重ね着」スタイルには込められているのです。
また、男女ともに左胸には「お茶の水」バッジ(校章)を佩用(はいよう)します。
これは昭憲皇太后から賜った御歌「みがかずば」に由来する鏡をモチーフにしたもので、性別や服装の形が変わっても、お茶の水生としての精神的支柱は変わらないことを象徴しています。
それでは、この独自性あふれる制服の、男子・女子それぞれの具体的なデザインを見ていきましょう。
【お茶の水女子大学附属小学校 】男子の制服のデザインは?
女子大学の附属校という名称から女子校と誤解されることもありますが、小学校・中学校は男女共学です。
男子児童の定員は1学年わずか25名(男女各25名)と非常に少なく、その制服姿を見かけることは極めて稀少であり、街中で見かけた際の凛々しさは格別なものがあります。
男子の制服は、華美な装飾を削ぎ落とした、非常にシンプルで知的なデザインが特徴です。
お茶の水女子大学附属小学校 男子 夏服
男子の夏服は、活動的で清潔感あふれるスタイルです。
基本は「白の半袖ポロシャツ」に「グレーの半ズボン」を着用します。
ここで注目したいのは、シンプルさの中に光る「お茶の水」バッジ(校章)の存在です。
夏服期間中も、左胸にはしっかりと校章を佩用(はいよう)します。
この校章は、昭憲皇太后から下賜された御歌「みがかずば」にちなんだ八稜鏡(はちりょうきょう)をモチーフに、蘭と菊を配した非常に格式高いデザインです。
グレーのズボンという色選びも絶妙で、黒や紺ほど重たくならず、かといってカジュアルすぎない、都会的な洗練さを感じさせます。
汗をかきやすい男の子の学校生活を考慮し、機能的でありながらも国立附属校としての品位を損なわない、完成された夏スタイルと言えるでしょう。
お茶の水女子大学附属小学校 男子 冬服
冬服になると、ぐっとフォーマルで引き締まった印象に変わります。
「白のポロシャツ」に、格式高い「紺の半ズボン」を合わせ、その上に上着(ジャケット)を着用します。
冬の上着は、しっかりとした仕立てで、男子児童の背筋を自然と伸ばしてくれるような端正さがあります。
また、男子の制服においても女子同様にセーラーカラーの要素や意匠の共通性が見られ、学校全体としての統一感が図られています。
特筆すべきは、冬の装いにおける「学帽」の着用義務です。
近年、帽子の着用を自由化する学校も増えていますが、お茶の水では伝統的な学帽スタイルを維持しています。
紺の半ズボンにジャケット、そして学帽を被った姿は、昭和初期から続く日本の良き小学生像を現代に伝えるものであり、見る人に「お茶の水生」としての誇りを感じさせます。
【お茶の水女子大学附属小学校 】女子の制服のデザインは?
お茶の水女子大学附属小学校の女子制服は、多くの受験生や保護者様にとって憧れの的です。
伝統的な「セーラーワンピース」スタイルは、一目で「お茶の水」と分かるアイコニックなデザインでありながら、細部に子供たちの学校生活への配慮が凝縮されています。
お茶の水女子大学附属小学校 女子 夏服
夏の女子制服は、鮮やかな「水色(サックスブルー)」のセーラーワンピースです。
この爽やかな水色と白のコントラストは、文京区の緑豊かなキャンパスに非常によく映えます。
デザインの細部を見ると、袖口やポケットには白の1本ラインが施されており、清楚なアクセントになっています。
襟元には共布のリボンやネクタイがあしらわれ、可愛らしさの中にもきちんとした印象を与えます。
そして、お茶小の女子制服を語る上で外せないのが「校内着(インナーワンピース)」というシステムです。
実は、制服の中には水色のインナーワンピースを着用しており、校内では上着(セーラー部分)を脱いで、このインナー姿で過ごすことが認められています。
工作や休み時間の外遊びなど、活発に活動する際には動きやすい校内着になり、登下校時は正装に戻る。
この「メリハリ」こそが、お茶の水の教育方針である自主自律を育てているのかもしれません。
お茶の水女子大学附属小学校 女子 冬服
冬服は、深みのある「濃紺」のセーラーワンピースへと衣替えします。
素材は保温性の高い毛(ウール)100%が使用されており、重厚感と温かみがあります。
冬服の最大の特徴は、襟と袖口に入った「黒の3本ライン」です。
一般的なセーラー服のラインは白が多いですが、あえて黒を選ぶことで、非常に落ち着いた知的な雰囲気を醸し出しています。
また、襟には白の「付け襟(襟カバー)」を装着します。
この白い襟が顔周りを明るく見せると同時に、汚れたら取り外して洗濯できるという衛生的なメリットも兼ね備えています。
さらに、2023年秋からは女子制服に「スラックス」が導入されたことは大きなニュースとなりました。
これは生徒会が主体となってアンケートを行い、導入を検討したもので、従来のセーラー服にも合う「ワイドパンツ」シルエットが採用されています。
これはかつての「袴(はかま)」姿をオマージュしたデザインでもあり、伝統を受け継ぎつつ現代の多様性に対応する、お茶の水らしい革新と言えるでしょう。
【お茶の水女子大学附属小学校 】帽子
制服のコーディネートを完成させるのが、帽子です。
お茶の水女子大学附属小学校では、帽子にも細やかな規定と伝統が息づいています。
男子は前述の通り、伝統的な「学帽」を着用します。
一方、女子には専用の通学帽(校帽)があり、季節に合わせて衣替えを行います。
特に冬帽はフェルト等の温かみのある素材でできており、制服の紺色と調和する上品なデザインです。
興味深いのは、女子の帽子のリボン(あご紐や装飾リボン)の色が学年によって異なる場合があるという点です。
低学年では愛らしい「赤」のリボンですが、高学年になるとシックな「黒」へと変化するという伝統があります。
この色の変化は、単なるデザインの違いではありません。
上級生になるにつれて「お姉さん」としての自覚を促し、下級生にとっては「いつかあの黒いリボンになりたい」という憧れの対象となる、無言の教育効果を持っています。
帽子一つをとっても、子供たちの成長の節目を感じられる素敵な仕組みです
【お茶の水女子大学附属小学校 】制服・帽子の購入方法
お茶の水女子大学附属小学校の制服や帽子は、どこでも買えるわけではありません。
その希少性と品質を守るため、指定された百貨店での購入が基本となります。
主な取り扱い店は「日本橋三越本店」です。
合格手続き後の説明会などで案内される指定期間中に、店舗へ出向いて採寸・注文を行う形式が一般的です。
特に新入生向けの採寸会は完全予約制となることが多く、合格の喜びを噛み締めながら親子で訪れる、最初の大切なイベントとなります。
三越伊勢丹のオンラインストアなどでは、在校生向けの買い替え対応はありますが、新規購入には厳格な確認が必要であり、一般に流通することはまずありません。
また、近年注目を集めているのが通学鞄です。
以前は革製のランドセルが主流でしたが、現在は「UMI(ウミ)」というスクールリュックが導入されています。
これは兵庫県の「豊岡鞄」ブランドを手掛ける株式会社アートフィアー製で、廃棄漁網を再利用したナイロン素材で作られています。
重さは約1,230gと軽量で、タブレットや水筒まで全て収納できる大容量設計。
子供たちの身体への負担軽減と、環境問題への配慮を両立させた最先端の通学鞄です。
この「UMI」も指定品として購入することになります。
初期費用としては、制服一式、体操服、そしてこの通学鞄などを合わせると、入学時に約45万円程度の費用(諸経費含む)を見込んでおく必要があります。
【お茶の水女子大学附属小学校】制服・帽子まとめ|男子・女子のデザインを詳しく紹介まとめ
お茶の水女子大学附属小学校の制服は、140年以上の歴史が紡いできた「伝統」と、子供たちの未来を見据えた「革新」が見事に融合したデザインです。
男子のシンプルで知的な装い、女子の気品あるセーラーワンピース、そして生徒たちの声から生まれた新しいスラックスや、環境に優しいランリュック「UMI」。
これら一つひとつに、学校が大切にしている「自主協同」や「みがかずば(自らを磨く)」という教育理念が込められています。
お受験を志す保護者様にとって、この制服はお子様の成長した姿をイメージさせる希望の象徴でもあります。
願わくは、この素晴らしい制服にお子様が袖を通し、茗荷谷の学び舎で健やかに成長されますことを、心より応援しております。
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