幼稚園受験は、「普段の子育ての延長を見る受験」「遊び中心の試験だから特別な対策はいらない」と言われることがあります。
しかし、実際の入試現場を見てきた立場から申し上げると、対策なしでの幼稚園受験は無謀と言わざるを得ないケースが大半です。
この記事では、
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なぜ「対策なし」が通用しないのか
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受験直前期からでもできる現実的な対策は何か
について、幼稚園受験の実情に即して解説します。
なぜ「幼稚園受験は対策なしでも大丈夫」と思われがちなのか
まず、「対策なしでもいける」と考えられる背景を整理してみましょう。
試験内容が「遊び中心」に見えるから
幼稚園受験では、ペーパーテストがなく、
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遊び
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行動観察
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集団活動
が中心となる園が多くあります。
そのため、
「遊びを見るだけなら、普段よく遊んでいるから大丈夫」
と考えてしまいがちです。
しかし実際には、
遊びを通して「指示理解」「集団性」「生活習慣」「家庭環境」まで細かく見られています。
年齢が低く、対策の成果が見えにくいから
幼稚園受験は2〜3歳が中心です。
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努力がすぐに結果に出ない
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成長の個人差が大きい
という理由から、「対策しても意味がない」と感じる方もいらっしゃいます。
しかし、乳幼児期こそ、生活・関わり方・声かけによる差が最も出やすい時期でもあります。
園から「特別な対策は不要」と言われるから
説明会で、
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ありのままのお子さまを見ます
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特別な受験対策は必要ありません
と言われることも多くあります。
この言葉は嘘ではありませんが、
「何もしていない状態でよい」という意味ではありません。
家庭での基本的なしつけや関わりは、すでに“前提条件”と考えておく必要があります。
「対策なし合格」の成功談を目にするから
SNSやブログで、
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対策なしで有名園に合格
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幼児教室に通わず合格
といった体験談を見ることがあります。
ただし、その多くは
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家庭学習をしていた
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習い事が充実していた
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親が受験に詳しかった
など、実質的な対策を行っているケースがほとんどです。
定員割れの園も存在するから
確かに、定員割れしている園では形式的な試験のみで入園できる場合もあります。
しかし、
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名門園
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難関園
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人気園
を目指す場合、対策なしでの合格は現実的ではありません。
受験直前期からでもできる【お子さま】の対策
「今からでも間に合いますか?」というご相談は非常に多くあります。
ここでは、直前期からでも取り組める現実的な対策をご紹介します。
① 生活習慣を整える
幼稚園受験の土台は生活習慣です。
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睡眠時間を一定にする
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食事・排泄のリズムを整える
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靴を揃える、衣服を整える
といった基本的な行動は、短期間でも改善が可能です。
② 指示を聞いて動く経験を増やす
家庭でも、
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「○○を持ってきてね」
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「先に△△をしてから××しよう」
など、簡単な指示→行動の経験を増やしましょう。
できた時には、
「お話を聞いて動けたね」
と必ず言葉で認めてあげることが大切です。
③ 時間を区切って行動する練習
試験では切り替えが重要です。
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「あと3分でお片付け」
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「この音が鳴ったら終わり」
など、時間の見通しを持たせる声かけを意識しましょう。
④ 志望園の過去傾向に合わせる
園ごとに試験内容は異なります。
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平均台・運動がある園
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絵本の読み聞かせがある園
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言葉・名称確認がある園
など、志望園に合わせた経験を優先しましょう。
⑤ 幼児教室の直前講座・模試を活用
可能であれば、
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直前講座
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模試
に参加することで、
お子さまの課題と強みが明確になります。
受験直前期に【親が】必ずやるべき対策
幼稚園受験は「親の受験」と言われるほど、保護者対応が重要です。
① 正確な情報収集
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教育方針
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試験内容
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当日の流れ
を把握しておくことで、願書・面接対策が格段にしやすくなります。
② 願書・面接対策
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願書の内容
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話し方
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表情・立ち居振る舞い
は合否に直結します。
直前期こそ、プロの視点を入れる価値が高い部分です。
③ 受験の目的を家族で共有する
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なぜ受験するのか
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どこまでを目標とするのか
を家族で共有しておくことで、結果への納得感が変わります。
場合によっては、
幼稚園受験から小学校受験へ切り替える判断も選択肢のひとつです。
まとめ
幼稚園受験において、
「対策なしで大丈夫」という考えは、多くの場合通用しません。
ただし、
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今からでもできること
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短期間で改善できる部分
は確実に存在します。
完璧を目指すのではなく、
「今できる最善」を積み重ねることが、合格への近道です。
焦らず、しかし現実から目を背けず、
納得できる幼稚園受験準備を進めていきましょう。
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