幼稚園受験では、お子さまの発達や特性に応じた対策が求められます。
家庭対策のご相談を受けていると、
「トイレトレーニングが終わらない」
「言葉の発達がゆっくりな気がする」
といった不安と並んで、
「指しゃぶりをしているのですが大丈夫でしょうか?」
というご相談をいただくことがあります。
本記事では、幼稚園受験における指しゃぶりの評価の考え方と、
受験に向けて家庭でできる現実的な対応について解説します。
幼稚園受験で指しゃぶりは不利になる?
結論からお伝えすると、
指しゃぶりをしたから即不合格になることはありません。
自由遊びや面接の最中に一時的に指しゃぶりが見られたとしても、
それだけで結果が決まることはないでしょう。
ただし、試験中に指しゃぶりをしていないお子さまと比べた場合、
指しゃぶりが頻繁に見られるお子さまの評価が下がりやすいのは事実です。
3歳前後になると、日常的に指しゃぶりをしていないお子さまが多くなるため、
試験という集団の場ではどうしても目立ってしまいます。
また、指しゃぶりは
不安・緊張・ストレスと結びついている行動と捉えられることが多く、
幼稚園側からは
「情緒が不安定なのではないか」
「集団生活で不安を抱えやすいのではないか」
と受け取られる可能性があります。
そのため、可能であれば受験までに減らしていくことが望ましい と考えてください。
指しゃぶりはなぜ起こるのか
指しゃぶりは、決して「悪い癖」から始まるものではありません。
赤ちゃんは、お腹の中にいる頃から
「吸啜(きゅうてつ)反射」と呼ばれる反射を持っています。
これは、生まれてすぐ母乳を飲むための大切な準備です。
生後数か月までの指しゃぶりは自然な行為であり、
・安心感を得る
・手や口の発達を促す
といった役割があります。
一般的には、1歳を過ぎる頃から手を使った活動が増え、
指しゃぶりは徐々に減っていきます。
ただし、
・活動範囲が広がって不安が増えた
・眠い時やぼんやりしている時
・緊張やストレスを感じた時
などに、心を落ち着かせるために指しゃぶりが続くお子さまもいます。
指しゃぶりを注意してはいけない理由
2〜3歳になっても指しゃぶりが続くと、
「やめさせた方がいいのでは」と感じる親御様は少なくありません。
しかし、
指しゃぶりを注意したり叱ったりすることは逆効果 です。
指しゃぶりは不安を和らげる行為であるため、
注意されることでさらにストレスが増し、
結果として指しゃぶりが強化されてしまうケースが多く見られます。
眠い時などに無意識で行う程度であれば、
受験への影響はほとんどありません。
必要以上に気にしすぎないことも大切です。
幼稚園受験に向けた指しゃぶりへの5つのアプローチ
安心できる関わりを増やす
叱らず、抱っこやスキンシップ、穏やかな声かけを意識します。
寝る前に手をつないで読み聞かせをするなど、
安心感を与えながら自然に指しゃぶりの機会を減らす工夫も効果的です。
手を使う遊びを増やす
積み木、パズル、お絵かき、手遊び歌、ボール遊びなど、
楽しく手を使う活動を増やすことで、自然と指しゃぶりは減っていきます。
テレビや動画など受け身の時間が長いと、
指しゃぶりが出やすくなる傾向があるため注意しましょう。
生活リズムを整える
睡眠不足や疲労は情緒を不安定にします。
規則正しい生活と十分な外遊びは、
指しゃぶりを減らす土台になります。
言葉でそっと意識づけする
指しゃぶりをしていない時に、
「最近指しゃぶりしなくなってきたね」
「もうすぐ幼稚園のお兄さん(お姉さん)だね」
と、ポジティブな声かけを行います。
絵本を活用する
指しゃぶりをテーマにした絵本を通して、
楽しく卒業を促す方法もあります。
・ゆびたこ
・れんくんおしゃぶりをやめる(りんちゃん版あり)
・たこたこおにおにおんころぽい
指しゃぶり防止グッズについての考え方
手袋、苦味のあるマニキュア、矯正器などのグッズもありますが、
あくまで最終手段 と考えてください。
即効性がある一方で、
心理的負担が大きくなる場合もあり、
無理にやめさせることで別の問題が出ることも指摘されています。
まずは環境と関わり方を見直すことが最優先です。
まとめ|指しゃぶりは「癖」ではなくサイン
幼稚園受験において、
指しゃぶりだけで合否が決まることはありません。
ただし、
頻繁な指しゃぶりは情緒面の評価に影響する可能性があります。
大切なのは、
無理にやめさせることではなく、
・なぜ指しゃぶりをしているのか
・どんな不安や疲れがあるのか
を理解し、適切に関わることです。
成長とともに自然に減っていくケースも多いため、
受験を理由に追い込みすぎず、
お子さまの発達を支える視点を大切にしていきましょう。
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