幼稚園受験で最も悩むのが「志望動機」です。
園ごとの教育方針や保育の特色に合っていなければ、どれだけ丁寧に書いても伝わりにくくなります。
本記事では、合格家庭が実際に意識した“伝わる順序”と“言葉選び”、好印象・NG例、さらにそのまま使える例文・テンプレートまで、実務目線で解説します。
願書と面接で一貫性のあるメッセージを整え、家庭の想いを誠実に届けましょう。
1. 幼稚園受験で「志望動機」が重視される理由
志望動機は、家庭の教育方針と園の理念が合っているかを判断する重要な材料です。
幼稚園が見ているのは「入園後も安心して通えるか」「家庭と園が同じ方向を向いているか」。これは願書・面接・行動観察のすべてに共通する評価軸です。
また、幼児教育では「何を教えるか」より「どう育てるか」が大切です。
志望動機を通じて、園は保護者が子ども主体で成長を見守る姿勢を持っているか、しつけや生活習慣が園の考えと一致しているかを見ています。
そのため、「人気だから」「近いから」といった理由ではなく、実際に感じた共感点や家庭での取り組みを具体的に伝えることが大切です。
2. 志望動機に入れるべき3つの要素
志望動機は、単に「入園したい理由」を述べるものではなく、園と家庭が同じ方向を向いていることを伝える場です。
そのためには、以下の3つの要素を意識して組み立てると、自然で信頼感のある文章になります。
①園の教育方針への共感
まず大切なのは、園の理念をしっかり理解していることを示すことです。
パンフレットや説明会、見学で印象に残った言葉を思い出し、「どの点に心を動かされたのか」を具体的に書きましょう。
たとえば「自然の中で学ぶ」「自分で考える保育」「一人ひとりの個性を尊重する」など、園ならではの方針を盛り込むと、単なる一般論ではない“リアルな共感”が伝わります。
「園の理念を理解している=入園後も方針に沿って協力できる家庭」と受け止められるため、面接でも好印象につながります。
②家庭の教育方針と子どもの個性
次に、家庭でどんな考えを大切にして子育てをしているか、そしてその考えが子どもの日常にどう表れているかを具体的に示しましょう。
「挨拶を大切にしている」「挑戦する姿勢を見守っている」「感謝の気持ちを伝える習慣を持っている」など、家庭での取り組みや声かけ方を簡潔に書くと、教育方針の実践力が伝わります。
さらに、「友だちの話をよく聞く」「一度決めたことを最後までやり抜く」など、子どもの性格・行動の特徴をエピソードと一緒に入れることで、文章に温かみと信頼性が生まれます。
「親の希望」よりも「子どもの姿」が中心になると、読み手に“この子らしさ”がしっかり伝わります。
③園でどんな成長を望むか
最後に、園でどのように成長してほしいかという未来への展望を添えましょう。
ここでは「家庭と園が協力して育てたい」という姿勢を明確に示すことが大切です。
たとえば、「先生方の温かいまなざしのもとで、友だちと協力する力を伸ばしてほしい」や「自然の中での活動を通して、思いやりや挑戦する心を育ててほしい」など、園の特徴と結びつけて描くと具体的です。
入園後の成長像を思い浮かべながら、**“任せる”ではなく“一緒に見守る”**というスタンスを意識すると、文章に一体感が生まれます。
構成のコツ
志望動機を書くときは、以下の順序を意識すると、短い文でも流れがスムーズになります。
- 結論(なぜこの園を志望するのか)
- 共感の理由(園の理念とのつながり)
- 家庭での具体例(教育方針と子どもの姿)
- 入園後の展望(どんな成長を願うか)
この4ステップを意識すると、自然に「家庭の方針」と「園の理念」が結びついた、芯の通った志望動機に仕上がります。
3. 好印象な書き方のコツ
志望動機は、丁寧さよりも伝わりやすさと一貫性が大切です。読み手(園の先生)が「この家庭なら安心して任せられる」と感じるポイントを押さえましょう。
| ポイント | 解説 |
| 主語は「子ども」中心に | 「親が〜させたい」ではなく、「子どもは〜が好き」「〜に興味を持っている」と書くと、自然で温かい印象になります。親の希望が強すぎると受け身に見えがちです。 |
| 「結論 → 理由 → 具体例」で構成 | 文章の流れをそろえると読みやすく、面接でも同じ順序で話しやすくなります。例:「貴園の方針に共感しました → 見学で感じた印象 → 家庭での取り組み」。 |
| 自然で温かい言葉を選ぶ | 「〜させていただきたく存じます」などの過度な敬語は避け、やわらかく誠実な表現(例:「〜を願っております」「〜と感じました」)にしましょう。 |
| 表記は「貴園」で統一 | 「御校」「御園」などの混在は避けましょう。全体を通して「貴園」で統一すると、文章が落ち着きます。 |
| 併願時のコピペは厳禁 | 方針・環境・行事など、園ごとの特徴を一文でも取り入れると誠実さが伝わります。内容の差し替えを忘れずに。 |
| 曖昧な表現は具体化する | 「頑張り屋」より「毎朝自分で水やりを続けている」など、日常の行動で性格を表すと説得力が増します。 |
| 願書と面接の一貫性を保つ | キーワード(例:「自分で考える」「挨拶」「挑戦」)を3つほど決めて、願書・面接・エピソードで共通させると印象が強まります。 |
4. NGな志望動機例と修正ポイント
ここではNGな志望動機の例と修正ポイントを見ていきましょう。
| NG例 | 問題点 | 改善の方向 |
| 有名だから志望しました。 | 理由が浅く、家庭の方針が不明確。 | 有名さではなく理念×家庭の実践で書く。 |
| 友人に勧められました。 | 主体性がない印象。 | 説明会や見学で得た自分の気づきに置き換える。 |
| 家が近いから便利です。 | 利便性のみはマイナス。 | 通いやすさ+理念の一致を主軸に。 |
| 学力が伸びると聞きました。 | 幼児期の発達観にミスマッチ。 | 生活・遊びの中で育つ力に視点を移す。 |
| 厳しく指導してほしい。 | 責任を園に丸投げ。 | 家庭での取り組み+園の環境で深めたいに変更。 |
ポイントは、「なぜこの園なのか」が読み手に一目で伝わる具体的な言葉を入れることです。抽象的な称賛は、どの園にも当てはまるため評価に繋がりにくいのです。
5. 志望動機の例文
志望動機の例文も幼稚園の傾向ごとに見ていきましょう。
例文① のびのび系幼稚園
「子どもは屋外での遊びや生き物の観察が好きで、休日は家族で自然に触れる時間を大切にしています。説明会で「自然の中で発見し、考える力を育む」というお話に深く共感しました。家庭でも“自分でやってみたい”気持ちを尊重しており、できる範囲で道具の準備や声かけをしています。貴園の環境で、友だちと一緒に挑戦しながら好奇心をのびのび広げていってほしいと願い、志望いたします」
ポイント:園の方針(自然・発見)と子どもの興味(観察・挑戦)が一致しており、家庭での実践も具体的に描かれています。
例文② しつけ重視型幼稚園
「毎日の挨拶や、相手の話を最後まで聞く姿勢を家庭で大切にしてきました。貴園が“けじめのある生活”を通じて思いやりや自立心を育てておられる点に共感しております。子どもは恥ずかしがり屋ですが、一歩踏み出すと粘り強く取り組める性格です。集団生活の中で、役割を意識しながら自分の考えを言葉にできるよう、家庭と貴園で協力して成長を見守りたいと考え、志望いたします」
ポイント:家庭のしつけ方針と園の理念(けじめ・思いやり)が一致し、子どもの性格も踏まえた“協力して育てる姿勢”が伝わります。
6. 面接で聞かれる「志望動機」への答え方
ここでは、面接で聞かれた際の志望動機の答え方をまとめていきます。
・暗記せずに、自分の言葉で話す
書いた内容をそのまま暗記して話すと、どうしても硬い印象になります。
「〜と感じました」「〜が印象に残っています」など、自分の感じた言葉で伝える方が誠実さや思いが伝わりやすいです。
多少言葉が詰まっても、“自分の想いで話している”と分かることの方が大切です。
・家庭での会話を交える
「子どもが“また行きたい”と言っていました」など、実際の会話や子どもの反応を入れると一気に温かい雰囲気になります。
面接官は家庭での関わり方や子どもの素直な気持ちを知りたいと考えているため、日常の一コマを交えることで家庭の様子が伝わります。
・“共に育てる姿勢”を伝える
「家庭と園で力を合わせて成長を見守りたい」という一言を加えるだけで、一方的な願望ではなく、協力して子どもを育てる姿勢が伝わります。
面接では「任せる」よりも「一緒に見守りたい」という姿勢が何より好印象です。
7. 志望動機を仕上げる前のチェックポイント
志望動機を仕上げる前にチェックしておきたいポイントも見ていきましょう。
| チェック項目 | 確認ポイント |
| 家庭の教育方針が明確か | 「挨拶」「生活」「挑戦」「思いやり」など、家庭の方針を3語でまとめられますか? |
| 園の理念との一致点があるか | 見学で感じた印象や先生の言葉など、園の方針とつながる具体例が書かれていますか? |
| 子ども主体の視点になっているか | 「親が〜させたい」ではなく、「子どもが〜している」「〜を楽しんでいる」と書けていますか? |
| 受け身表現を避けているか | 「育ててもらいたい」など任せる表現ではなく、「一緒に見守りたい」と協力姿勢が伝わりますか? |
| 面接でも自然に話せるか | 書いた内容を60秒程度で口頭説明しても、違和感なく話せますか? |
| 誤字脱字・表記の統一 | 「貴園/御校」などの表記や「です・ます調」が統一されていますか? |
8. プロに添削を依頼するメリット
志望動機は、ほんの一言の違いで印象が変わる繊細な部分です。
自分の言葉でまとめたつもりでも、「園の理念と少しずれている」「伝わりづらい表現になっている」ことも少なくありません。
そんなとき、第三者の目で確認し、伝わる文章に整えるサポートを受けることで、内容の確かさと安心感が大きく変わります。
・志望園の理念に合わせた表現へブラッシュアップ
園ごとの方針や先生の言葉に寄り添った文章に仕上げます。言葉の選び方・文のトーン・表記の統一などを細かく調整し、自然に理念へ共感が伝わる志望動機を完成させます。
・願書と面接をつなぐ“一貫シナリオ”を構築
願書と面接の内容がずれてしまうと印象が弱くなります。どの質問をされても芯の通った答えができる流れを一緒に作り上げます。
・初めての受験でも安心の伴走サポート
「何から始めればいいのか分からない」「提出期限が迫っている」そんな状況でも、スケジュール管理から練習の進め方まで丁寧にサポートします。
願書の書き方講座(願書添削はこちら)
面接対策(面接レッスン)
総合対策(受験対策サポート)
個別で相談(個別相談)
一文一文を丁寧に磨きながら、“家庭らしさ”を最大限に引き出していきます。
それがプロ添削のいちばんの価値です。
まとめ|園と家庭が同じ方向を見ていることが一番の「志望動機」
志望動機は、うまく飾るための文章ではなく家庭の想いを誠実に伝えるためのものです。
・どんな子どもに育ってほしいか
・園のどんな言葉に共感したか
・家庭でどんな関わりを大切にしているか
この3つが自然につながっていれば、それだけで十分に伝わります。
大切なのは、園と家庭が同じ方向を向いていることです。
“選ばれるため”ではなく、“共に育つため”の志望動機を意識することで、文章にもあたたかさと一貫性が生まれます。
志望動機は「上手く書く」より「誠実に伝える」ことと意識しましょう。
園の理念と家庭の想いが自然に重なる文章こそ、面接官の心に残ります。
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