「幼稚園受験」と聞いても、具体的にどんな試験が行われるのか分かりづらく、不安に感じるご家庭も多いのではないでしょうか。
実際には、子どもだけでなく、保護者も試験の対象となることがほとんどです。幼稚園は、子どもと家庭環境の両方を見て、「この子を安心して預かれるか」「家庭と協力して成長を支えられるか」を見極めます。
本記事では、幼稚園受験で行われる試験内容や、保護者の役割について詳しく解説します。
【幼稚園受験】子どもは何をする?試験内容を解説
幼稚園の入園試験は、単なる学力テストではなく、子どもの心身の発達や家庭でのしつけ、社会性などを総合的に見るものです。年齢や園の教育方針によって内容は異なりますが、一般的に行われる主な試験内容を詳しくご紹介します。
行動観察・集団活動
複数の子どもと一緒に遊んだり、決められた活動に参加する様子を先生たちが観察します。
〇具体的な内容例
・積み木やブロック、おままごとなどの自由遊び
・絵本の読み聞かせを静かに聞く時間
・簡単なリズム遊びや手遊び歌
・輪になって行うグループゲーム
〇評価されるポイント
・集団の中での振る舞い:自分勝手な行動をしていないか
・順番やルールが守れるか:割り込みをしない、指示されたルール通りに行動できるか
・友達との関わり方:貸し借りや譲り合いができるか、暴力的な言動はないか
・集中力・落ち着き:一定時間、椅子に座って話を聞いたり待てるか
・家庭での育ちがそのまま出やすい試験でもあります。
〇家庭でできる対策
・お友達やきょうだいと遊ぶ機会を増やし、「順番を待つ」「譲る」経験をさせる
・公園や児童館などで、集団の中で自然に振る舞えるようにする
・「一緒に片づけようね」など、家庭でも小さな協力体験を積む
おすすめ声かけ例は、
「順番だよ、待ってみようか」
「ありがとう、貸してくれてうれしいね!」
など、自己肯定感も持てるような褒め方をしつつ、社会のルールを習得させていきましょう。
指示行動・模倣運動
先生の指示に従って身体を動かす「指示行動」、お手本の動きを見て同じように真似する「模倣運動」が行われます。
〇具体的な内容例
・「立ってください」「座ってください」といった基本的な指示
・「赤いボールを拾ってください」などの色や形の理解を含む指示
・「先生と同じように歩いて」「手を叩いてジャンプして」などの模倣運動
〇評価されるポイント
・指示を正しく理解して動けるか
・集中して先生の話を聞けるか
・楽しんで取り組む姿勢があるか
普段の生活の中で、親の声かけに反応して行動できているかが基礎になります。
〇家庭でできる対策
・「まねっこゲーム」で、親の動きを真似する(例:グー・チョキ・パーを順番に)
・朝の支度や片づけを「○○してね」の声かけだけでできるようにする
・指示は短く、ゆっくりはっきり伝えるようにして、理解しやすくする
おすすめの遊びは、
「ジャンプして、くるっと回って、座るゲーム」
「〇〇を取って、ママにどうぞ!ゲーム」などです。
親子の触れ合いを通して、遊び感覚で「聞いて動く」習慣を身に着けられるのでおすすめです。
知能検査・口頭試問
年齢相応の知的発達をしているかを確認するため、簡単な認知テストや口頭での質疑応答が行われます。
〇具体的な内容例
・絵カードを見て「これは何?」と聞く(語彙力・記憶)
・「1つだけ違うものはどれ?」(分類・思考)
・数を数える、「大きい・小さい」の比較などの数・空間認識
・「好きな食べ物は?」「保育園は楽しい?」などの質問
〇評価されるポイント
・質問の意味を理解し、言葉で答えられるか
・自分の気持ちを言葉で表現できるか
・常識的な内容(食べ物、動物、家族など)の理解
・落ち着いて質問に取り組める態度
聞かれる質問の内容自体は難しいものではありませんが、「知らない大人に聞かれて答える」経験が少ないと、答えられないこともあるため、家庭での練習が効果的です。
〇家庭でできる対策
・絵本の読み聞かせを日課にして、言葉のインプットを増やす
・「これは何色?」「どっちが大きい?」などの問いかけを生活に取り入れる
・自分の気持ちを言葉で表現する練習(「どう思った?」「うれしかった?」など)
子どもの気持ちを引き出しやすくするためのおすすめ会話は、
「今日は何が楽しかった?」
「好きな食べ物は何?なんで好き?」
などがあります。
言葉の力・理解力は日々の会話で育つので、親子で会話を楽しみながら表現力を磨いていきましょう。
面接
面接室に子どもだけが入り、先生と1対1または少人数で会話ややりとりを行います。これは、子どもの受け答えや表情、落ち着きの有無などを直接見るための時間です。
〇具体的な内容例
・「お名前を教えてください」
・「今日は誰と来ましたか?」
・「朝ごはん、なにを食べましたか?」などといった質問
・簡単な絵やおもちゃを使ったやりとり
〇評価されるポイント
・名前や年齢などをしっかり言えるか
・丁寧な言葉で受け答えができるか(はい/いいえだけでなく文で答える)
・知らない人とでも落ち着いてやりとりができるか
・話しかけられたときに表情や視線が自然に向けられるか
面接は、子どもにとって少し緊張する場ですが、日頃から挨拶や「自分のことを話す」練習を積んでおくことで、自信を持って受け答えができるようになります。
〇家庭でできる対策
・親が先生役となって、家庭で「模擬面接ごっこ」をする
・「お名前は?」「いくつですか?」などの挨拶・自己紹介を元気にする練習
・ぬいぐるみと一緒に「○○ちゃんにインタビュー!」ごっこ
楽しく練習するコツは、やりすぎずに楽しむことが最優先です。
試験対策といっても、小さな子どもにとっては遊びの延長で行った方が緊張感を持たせすぎず、楽しみながら少しずつ「できた!」を増やしていくことが成功のカギです。
【幼稚園受験】親は何をする?保護者面接や願書の役割
幼稚園受験は、子どもだけが評価の対象ではありません。
園は、子どもとともに長く関わっていく家庭そのものを見ています。
そのため、保護者の姿勢や価値観、園との相性がとても重視されます。
以下では、保護者に求められる具体的な準備と心構えについて詳しく解説します。
面接(保護者面接・親子面接)
園が見ているのは、家庭の教育方針と保護者の人柄です。
〇保護者面接
保護者単独の面接では、以下のような質問がよく出されます。
「どのようなお子さんに育ってほしいですか?」
「ご家庭で大切にしているしつけや教育方針は?」
「園の教育理念を読んで、どう感じましたか?」
ここで求められるのは、「園の方針に共感し、協力していく意思があること」と「家庭として子育てに真摯に向き合っていること」です。
過剰に理想を語る必要はありませんが、具体的なエピソードを交えて話すと、説得力が増します。
〇親子面接
親子で面接を受ける場合は、子どもへの接し方・声かけ・態度が見られています。
例えば、
・子どもが言葉に詰まったときに、親がどうフォローするか
・子どもが自由に振る舞ったときに、親がどう対応するか
といった場面で、日常の関係性が垣間見えます。
決して完璧である必要はありませんが、あたたかく見守る姿勢があると好印象です。
願書・アンケート
願書は「幼稚園入園への熱意を伝えるもの」だと思って、丁寧に仕上げましょう。
幼稚園によっては願書1枚に大きな比重を置く園もあります。
内容としてよく問われるのは、
・家庭で大切にしている教育観
・子どもの性格や長所・短所
・入園を希望する理由と園への共感
どれも、子どもや家庭について具体的に伝えることが重要です。
例えば、「明るく元気な子です」だけではなく、「初めての場所でもすぐに友達を作れる社交性があります」など、具体的な行動を添えると園に伝わりやすくなります。
アンケートは、面接と内容が重なることも多いため、記入内容と話す内容に一貫性を持たせることが大切です。矛盾があると、準備不足と見なされることもあります。
服装・マナー・立ち居振る舞い
親子共に、見た目・態度も「家庭の在り方」の一部として評価されます。
そのため、服装は落ち着いた色合いで清潔感があり、場にふさわしいものを選びましょう。派手すぎず、地味すぎずが基本です。
例えば、
母親:ベージュやネイビーのスーツ、シンプルなワンピースなど
父親:ネクタイ着用のジャケットスタイルが基本
などが好まれやすいスタイルです。
また、靴の汚れや鞄の大きさなど、細かな印象も見られています。
園内では、丁寧なお辞儀や挨拶、靴の脱ぎ方など、ちょっとした所作にも注意が必要です。
また、控室や待機時間の過ごし方も見られることがあります。他の受験家庭との無用な会話やスマホ操作などは避けましょう。
まとめ:「何をする?」を理解して受験準備を始めましょう
幼稚園受験で問われるのは、特別な知識や技能ではなく、その年齢なりの基本的な生活習慣や人との関わり方、親子の関係性です。日々の暮らしの中で丁寧に育まれた力が、そのまま試験につながります。
当社は、幼稚園受験に向けた願書作成のサポート・面接レッスン・対策サポートなどを行い、「何から始めたらいいか分からない」などといったご不安をお持ちの方は、幼稚園受験個別相談で家庭での取り組みを具体的にサポートするプログラムをご用意しています。
ぜひお気軽にご相談ください。