幼稚園受験において最も大切なことの一つは、どのような問題が出るのかをきちんと把握しておくことです。受験といっても、小学校受験とは異なり、お子さんの発達段階や生活習慣に即した内容が中心になります。そのため、どんな準備が必要か、どう対策すべきかは、出題傾向を知らなければ判断できません。
この記事では、幼稚園受験でよく出題される問題の種類や形式について、実際の傾向をふまえてプロが詳しく解説します。
【幼稚園受験】問題の出題パターンは?
幼稚園によって出題内容には違いがありますが、よく出題されるパターンには一定の傾向があります。それぞれの分野がどのような意図で行われ、どのような力が見られるのかを知っておくことが、対策の第一歩です。
特に人気・難関とされる暁星幼稚園と白百合学園幼稚園では、個性ある出題が見られます。以下では、それぞれの園で実際に出題された内容も交えて出題パターンを紹介していきます。
知能考査
ねらい | 言語・数量・図形などの基礎的な認識力を確認 |
出題例 | ・絵カードを見せて「これは何?」と質問
・同じ形・同じ大きさ・仲間外れを選ぶ ・「りんごはどれ?」「3つ数えてみよう」といった課題 |
ポイント | 年齢相応の語彙力や理解力、聞く力が問われます。
「答える力」よりも、「話を聞いて行動に移せるか」が重視される傾向もあります。 |
▶ 暁星幼稚園では、「仲間分け」「形の分類」「カードを見せて答える」といった図形・数量の認識問題が例年出題されています。
運動・リズム考査
ねらい | 身体の発達状況と指示理解力・模倣力・集団行動の様子を見る |
出題例 | ・ケンケン、スキップ、ジャンプなどを先生の指示通りに行う
・音楽に合わせて歩いたり止まったりするリズム遊び ・マットの上で転がる・ボール運びなど |
ポイント | できる・できないよりも、「意欲的に取り組めるか」「楽しんで動けているか」が評価の軸になります。 |
▶ 白百合学園幼稚園では、音楽に合わせて模倣動作を行うリズム課題がよく出題されており、表現力と集団の中での動きの理解力が見られます。
行動観察(指示行動)
ねらい | 集団行動の中での社会性・協調性・指示理解力の確認 |
出題例 | ・「好きな遊びをしていいよ」→自由遊び中の様子を観察
・「○○を取ってきて箱に入れてね」などの指示行動 ・お友達とのやりとり、順番を守れるかなど |
ポイント | 言葉でなく行動で表現できる力が重視され、自己主張と協調のバランスがカギになります。 |
▶ 暁星幼稚園では、「母子分離後の自由遊び」や「ぬいぐるみ・おもちゃを使った集団場面」が観察され、遊びの中でのやりとり・ルール意識などが評価されます。
絵画・制作
ねらい | 創造力、集中力、手先の巧緻性、課題遂行力を観察 |
出題例 | ・のり貼り、ちぎり絵、型抜き
・「好きなものを描いてください」 ・お手本を見て折り紙や制作物をつくる |
ポイント | 完成度よりも、「先生の話を聞いて取り組む姿勢」「自分なりの表現をしようとする意欲」などが評価対象です。 |
▶ 白百合学園幼稚園では、二次選考で「ケーキ制作」が課題として出される年もあり、折り紙・色鉛筆・のりなどを組み合わせ、短時間で創造力を発揮する必要があります。
▶ 暁星幼稚園では、折り紙やシール貼り、裏返しの服を畳むなどの巧緻性を見る課題が実際に行われています。
親子遊び
ねらい | 保護者との関わり方、信頼関係、親の接し方を見る |
出題例 | ・親子でボール運びや手遊びを行う
・課題をクリアする協力型のゲーム ・「名前を呼ばれたらお母さんのところへ行く」など |
ポイント | 子どもだけでなく、保護者の態度・関わり方も評価対象になります。親が指示を出しすぎたり、先回りする行動はマイナスに見られることも。 |
▶ 暁星幼稚園では、親子で「積み木を使って動物のお家をつくる」課題が出題され、家庭での関係性や自立支援の姿勢が見られます。
生活習慣
ねらい | 幼稚園生活に必要な基本的な生活習慣が身についているか確認 |
出題例 | ・靴を脱いで並べる
・トイレの使い方 ・あいさつ、手洗い、食事のマナーなど |
ポイント | 「できるようになっていること」よりも「普段から取り組んでいること」が伝わるかどうかが大切です。園によっては入室・退出時の所作も見られています。 |
▶ 白百合学園幼稚園では、試験中・前後の「椅子に座る」「挨拶をする」「持ち物を片付ける」といった一連の行動が細かく観察されています。
面接
ねらい | 家庭環境・教育方針・子どもとの関わり方を確認する |
出題例 | (保護者)
・「なぜこの園を志望されましたか?」 ・「普段どのように過ごしていますか?」 ・「子育てで大切にしていることは何ですか?」 (子ども) ・「お名前は?」 ・「何歳ですか?」 ・「好きな食べ物はなに?」 |
ポイント | 親子面接がある場合は、家庭としての教育方針と園の理念の相性が大きな評価ポイントです。自然体で話せるよう、事前に家族で共有しておくことが大切です。 |
▶ 暁星幼稚園・白百合学園幼稚園ともに、親子同席の面接が実施され、保護者だけでなく子どもへの簡単な質問も行われます。
特に白百合では「お子さまのよいところを教えてください」など、保護者の語り方からも家庭像が見られます。
【幼稚園受験】問題の出題形式は?
幼稚園受験では、「何が出るか(内容)」と同じくらい、「どのように出されるか(形式)」も重要です。子どもが自然な状態で実力を発揮できるように、出題形式を理解しておくことは欠かせません。
以下に、代表的な出題形式と、実際の有名幼稚園(雙葉小学校附属幼稚園・青山学院幼稚園・暁星幼稚園・白百合学園幼稚園)での出題例も加えてご紹介します。
口頭試問
先生からの問いかけに対して、子どもが自分の言葉で答える形式です。
質問の内容は「お名前は?」「好きな食べ物は?」「何歳ですか?」など、日常会話に近いものが多く、コミュニケーション力や理解力、語彙力が試されます。
〇一般的なポイント
・質問の意図を理解し、相手の目を見て話せるか
・答え方(丁寧語が使えるか、はっきり話せるか)
・緊張の中でも自分らしく答えられるか
〇実例
青山学院幼稚園では、絵カードを提示したうえで「バスの中には誰がいるかな?」などの質問が出され、「です・ます調」での返答が求められます。
雙葉小学校附属幼稚園では、個別テストとして絵の記憶や数量理解、言語力を測る口頭課題が出題されます。
白百合学園幼稚園では、「好きな遊び」「絵本の名前」など、子どもらしい受け答えが評価される質問が行われます。
模倣
先生の動きや音楽に合わせて、子どもがその動作を真似する形式です。リズム感・観察力・集中力・模倣力・指示理解力などが評価対象になります。
〇一般的なポイント
・楽しんで模倣できるか(表現力)
・指示をしっかり聞き取り、正確にまねできるか
・集団での行動ができるか
〇実例
暁星幼稚園では、「ケンケン」「ワニ歩き」「ボール投げ」などの模倣運動が出題されます。先生の見本を見て、同じように動けるかを観察。
白百合学園幼稚園では、音楽に合わせて身体を動かす模倣課題があり、リズムやテンポの理解・表現力が評価されます。
青山学院幼稚園でも、先生や音楽に合わせて「手を叩く・ジャンプする・スキップする」など、模倣形式の出題があります。
行動観察
子どもたちが自由に遊ぶ時間や、先生の指示に従って行動する様子を観察する形式です。社会性・協調性・自立心・感情の安定性などが主な評価ポイントです。
〇一般的なポイント
・自分から遊びに入っていけるか
・お友だちと関わろうとする姿勢があるか
・指示を理解して正しく行動できるか
・トラブル時の対応(譲り合い・助け合いなど)
〇実例
雙葉小学校附属幼稚園では、5組程度のグループで自由遊びを行い、遊びの様子・協調性・親子関係・分離適応を観察。
暁星幼稚園では、自由遊びやお片付けなどを通して、指示理解力や集団内でのふるまいが評価されます。お母さんと一緒に行う「積み木で動物のおうちを作る」課題もあり。
白百合学園幼稚園では、制作課題や自由遊びの中で、「友達とのやり取り」「順番を守る」「最後までやり遂げる」といった行動が重視されます。
青山学院幼稚園でも、ボールを使った遊びや歌遊びの中での様子を観察されます。
まとめ:問題の傾向を把握して適切な準備を
幼稚園受験は、子どものありのままの姿を見る試験ともいえます。しかし、何も知らずに本番を迎えるのはやはり不安がつきまといます。出題内容や形式を知ることで、「今どこに力を入れるべきか」が明確になり、家庭での準備や幼児教室での取り組みにも的確な方向性が生まれるので安心できます。
当社の幼児教室では、幼稚園受験に向けた願書作成のサポート・面接レッスン・対策サポートなどを、実際の受験傾向に即したカリキュラムで、一人ひとりのお子さまに合わせた対策を行っています。幼稚園受験個別相談なども経験豊富な講師が、保護者の不安にも丁寧に寄り添いながら、合格に向けたサポートをしています。
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